甲府を歩いていて、しばらく行って、入った書店にあったので買いました。
cover design : Kobayashi Mitsuru (GENIALÒIDE:inc) 装丁 小林満(ジュニアロイド)連載担当、単行本責任編集、単行本編集、それぞれ明記。
本にやさしいはがせるテープ
作中はまだ今年五月の五類移行前の世界ですので、みんなマスクをつけていて、目力(めぢから)で勝負していたり、「目は口ほどにものをいう」で戦ってたりしました。作画が。
釣りバカ日誌をDISるつもりはないのですが、釣りバカ日誌は、マスクしてると人物の表情を出しにくいので、ほんとは全キャラマスクをつけてるんだけど、マスクなしで作画しますと注釈を入れてマスクなしで人物を描いたりしてました。それはそれでしかたないんですが、このまんがのように、マスクありで直球勝負の人物作画を見るのもここちよいです。
初出はスピリッツの2022年7号、11号、13号と、2023年の24, 26, 28, 30, 32, 34号。随分間があいたと思います。それだけ、貧困ビジネス編が重かったと。頁59に関連して。数年前ですが、お礼参りで再度ムショに入った人が近々出所で、もう高齢なので次のお礼参りはないとは思われるが、当人の言動とか鑑みて、どうこうという注意喚起が、知ってるところでありました。…かつての勤務経験者がアマゾンレビューで「よくあること」と言い切っており、さらに感慨を深くしました。
巻末の謝辞は私の目視計算で計67の個人・団体宛。えらい数です。でもゴールデンカムイの関係者のほうがまだ多いかも。この巻から始まるストーリーだと、ヴォソット池井田という人の本がビッグコミックオリジナル連載『前科者』に出て来たので読んだのですが、ヴォソット池井田さんはまだ?謝辞に入ってません。
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でも、頁80の森川すいめいサンも謝辞に入っていないですね。この人の本も一冊読んでいます。
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JOJO第三部のDIOが言ってることがほんとそのとおりで、人間は何のために生きるか>>>安心のために生きる。人間が望むものは「安心」 ⇒雨風しのげて、追い出されないところに住んでないと、人間安心出来ないですよね。それが、頁80の、「まず住居確保」の思想だと思いました。コロナカの収入減、失業下での公的家賃補助も同じ発想だと思う。
1934年のベンガル語小説、『タラ』は、性格はぜんぜん違うけれど、角間サンという登場人物に近い属性を持つ主人公の話で、しかしむかしのインドの農村で、生活力と行動力があるキャラなので、勝手に自分で村のどこかに家を建ててしまって、ヨメもどっかから持ってくるという展開でした。世の中が難しくなる前なら、それでよかったか知れません。その話は下記所収。
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その次のページで、自炊の食事をスマホで撮ってるのが、機器の違いを除けば、私のようでした。SNSをやってる人は、多かれ少なかれそうなんでしょうか。
閑中話で、主人公の休日の話が出ます。前にもやって、前もスーパー銭湯に行ってたと思います。これもSNSチック。人間、休日にやることなんて、おんなしですが、気づかず再掲する。
やっと百万部。されど百万部。
生活保護CW・義経えみるの勧めで療育手帳の取得、作業所での就労など、“再出発”に向け動き出す角間。 住まいの貧困に迫る“貧困ビジネス編”堂々完結!!
そしてーー 降りしきる雨、接近する台風。
この国が見えていない困窮が露わになる、驚天動地の新章開幕!
帯 新章はディザスター。
帯裏。
今、豪雨や台風で災害派遣受け入れてる府県、十くらいあるのかな。それくらいの状況ですので、「もし東京が」を、やろうということになっても不思議でなさそうです。スピリッツ編集部並びに漫画家陣に3.11ボランティア経験者が多いこととは無関係。頁192の見開きは、ほかにもやりたかった漫画家サンが多かったのではないでしょうか。でも、やる必然とか考えると、いろいろあると思います。
逆に頁139とか、そこに大画面のテレビがあっていじれるって、どこだろうと思いました。コネタは分かりますので、もうひとつの団体も出してけさい。かつてのいろんなキャラが出て来るのは、いいんですが、私はどんどん読み終わるとブッコフに売ってるので、いろいろ分からなくなってて恐縮です。
前述のヴォソット池井田サンの分類によると、この人は、「そとこもり」「ひきこもり」「ガチこもり」のうち、もっともヘヴィーな「ガチこもり」にあたるのかと。また、実体として決して少なくない女性のひきこもりは、シャワー等、清潔感を保つことなど、悩みをより多く抱えていると、上記の本で読みました。福山雅治のこの曲*1の頃は、外に出れてたのでしょうか。そしてディザスター。
これ、家屋の復旧まで包括して、そこでの公的補助、それに必要なもの、つけこむサギまでていねいに描いていくと、かなりすごいことになると思います。でも、そこまでやらないと、この巻で打ち出した「まず住居」の安心が戻って来ないんですよね。ご多幸を祈念して、終わります。