表紙の人は存じ上げませんでしたが、主人公の後輩だとかで、この巻のさいごのほうで突然物語が炸裂してます。そういう人なのか。
cover design : Kobayashi Mitsuru (GENIALÒIDE:inc) 装丁 小林満(ジュニアロイド)連載担当 浜本邦生 単行本編集責任 土田和之 単行本編集 連載担当と橋本俊輔(小学館ナニング)ヤンサンとスピリッツが合併してからもうだいぶ経つわけですが、どの号にどの作品が掲載されるかのアルゴリズムを解析した人はいるんでしょうかという。2018年第42・43合併号、第52号、2019年第2・3合併号、第6号、第14号、第16号、第18号、第20号、第23号、第26号掲載。このペースで作家さんは食えるものなのか。食えてるんでしょうけれど。
帯
子どもの貧困は子どものせいじゃない。じゃあ…悪者はどこだ?生活保護CWケースワーカー奮闘劇、最新刊。累計(紙+電子)80万部突破!連続TVドラマ化!第64回小学館漫画賞[一般部門]受賞!!子どもの貧困編、完結。大反響!!
帯裏
読む者すべてに問いかける、今この国で考えるべきことを。真実に迫る本格社会派コミック!子どもは大人になる…子どもの頃のあらゆる思いを抱いて。
吉高由里子、ではなく吉岡里帆主演で、フジでまあまあの時間帯でドラマやって、単行本七冊出して八十万部かぁ…という。小学館漫画賞は欅のエース登板の『響』と同時受賞。小学館編集のアオリはおおぎょうなので、割り引いて考えるとして、頁34あたりの、風景の中の人物という描き方は、作者としては新しい構図ではないかと思いました。
人物のしわ寄せた顔や上半身や、町の鳥瞰とかはお家芸だと思うのですが、頁34あたりは、この巻のテーマがまあまあ普遍なので、息を抜きたかったのかなと思いました。
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巻末に謝辞一覧。頁154あたりの、恫喝慣れした人間に、怒ることも普段あまりない人間が渡り合うムリクリの場面と涙は、『前科者』の最近の号でも見ました。大変ですよね。相手は脅すことに慣れてる。この巻は、メインの話と並行して、以前登場した、回転寿司でバイトしてた高校生が、「頭悪くて勉強出来ない」けど大学行きたいという話を丹念に追っていて、どっちの話も細かい行政知識と細かい金銭が次々出るので、調べる人もつなげる人も大変だったと思います。
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「頭悪くて勉強出来ない」って歌が昔あったと思ったのですが、検索しても出ませんでした。なんでだろう。多動性とか学習障害とかの言葉に逃げないで、ただたんに頭悪い方向で突き進んだので、それはそれでよかったと思います。巻末の生活保護Q&Aで、こう書いてあるのは、日本全土が一律貧困だった後期高齢者の世代には、受け入れられない人がたくさんいると思います。朝日裁判ですら、「俺だって下着は一枚きりだったんだぞ」と怒る人がたくさんいるので。
上記ページ
高卒よりも大卒・専門学校卒が安定した高収入を得られて、学歴による生涯賃金の歴然とした差があるのが、日本の現実。それなのに、生保世帯の子どもの進学が困難なのは不公平ではないでしょうか。
こないだも、深夜ドキュメンタリーでそんな高校生の無駄遣いの場面が、SNSで侃侃諤諤だった気がします。大卒フリーターとか、院卒非常勤講師とか、教育にかけた費用対策効果がうっすい職種の人たちの、生涯賃金や如何に、と書いても、「これだから文系は…」にしかならないかな、と。私の職場にも、専門学校新卒の人が何故かいて、月給手取り17万の契約社員で毎日イキイキと働いてます。この少子化のご時世に、新卒でふつうの会社就職出来なかったの分かるわ、とかげで言われても、強靭なメンタリティではね返して。ミスしてもはね返せる精神力はうらやましいですが、ミスしないでくれるともっと以下略
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学年成績一位だけがゲット出来る学費全額免除を勝ち取った人と授業でふたこと三言会話したことがありますが、その人が私と結婚してくれればよかった。ありえないけど。絶対ヒキも強いと思うんですよ、そういう人は。えっらいおとなしい人でしたけど。
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こういうねたは話し始めるとつきないですよ。前にも書いたかもしれませんが、現金収入のない農家だったから、勉強出来ても大学進学は勧められず、技術科高校を出て、大卒のエリートコースのアンポハンタイを縁の下から支え続けるブルーカラーになるしかなかった、という話をしていると、その話の腰を折って、欠食児童だった自分は、農家のせがれどもから弁当の中身を散々笑われた、あの恨みは一生忘れない、とタンカ切られたこともあります。私は年齢何歳なのか。
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これを読む暇もなかったので積ん読してたんですが、それで、先に、映画「沈没家族」見ることになって、それがよかったです。「沈没家族」で、この巻のテーマである、「ひとりでかかえこまない」ことについて、うまい具合に自分の中で寛解出来た。
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