目黒考二と椎名誠の「本の雑誌」刊行秘話をマンガ化した『黒と誠』の作者の過去の作品を読んでみようと思って、ブッコフで¥165で買いました。原作者は東村アキコの実弟の漫画家さんで、東村エッセイマンガではよくおちゃらかされてます。
英語タイトルは表紙カバーから。著者名それぞれの英語スペルは、『となりの関くん』『黒と誠』カバーから。
このマンガも昨今の連載終了まんがあるあるで、紙版は最終巻だけ品切れ増刷未定、ブッコフにも在庫がありません。アマゾンの出品はボッタ。ようするに電子版で読みましょうと。なぜ電子版で読まないの? と。
初出:Comic Walker 2015年6月19日~11月19日配信分
装幀・松本圭司 フォーマットデザイン・フィールドワーク
『黒と誠』では、人物のデッサンの狂いが気になりましたが、このマンガは、まったくそういうことはありません。まだ学校等で習った基礎を保持出来ていたのか、自分が得意とするポーズ、モノにしている絵ばかり描けていたからか。
原作者あとがきと漫画家あとがきあり。各話タイトルは有名SF小説のもじりだそうで、わざわざ元ネタを書いてくれてます。「そんなん知ってます、オタク、ボクをバカにしてます?ひょっとして」という性格がオタクな人向けに、ボツタイトルも併記してくれてます。あと、映画のサントラジャケットをもじった扉絵はそれも説明してくれてます。今のまんがはとても親切ですね。これでまだ情弱がいるようなら、豆腐の角に頭をぶつけてタヒんじまえ、ってとこでしょうか。
帯。タイムパトロールみたいな未来人が現代で遭難。救助を待つあいだ、歴史の改変を防ぐため、なるべく能動的なアクションを起こさず、「なにもしないで暮らす」話。
帯裏。その対応をするにあたって、都度時間を止めるか進み方を遅くするか自分のスピードをあげるかして、検索する時間を作って、人類第四の発明「検索」によって最適解を導き出して切り抜ける、というマンガ。考えるのとてもむずかしそう。
- なぜ大の男が四畳半で寝たままブラブラしてるのか →東大を目指している
- なぜ奇行を繰り返す →妖怪のしわざだよ
- 料理をどう褒めればいちばん無難か →味の宝石箱や
- 新聞勧誘員撃退 →寝たふり →相手は逆上して暴力に訴えてきた。
とてもむずかしそう。
歴史を改変しそうになると、レンズマンみたいな腕のサポーターが反応して、上のように警告を発してくれます。なぜ今警告が出てるのか、それを探ることから始めなくてはならないケースも多数。
大家をシンママにして、ょぅι゛ょの子守を主人公にさせたり、ひんぱんに手料理を差し入れさせたりする賛否両論な展開ですが、作者も悩んだと思います。カラテカの人の大家さんみたいにするべきだったか否か。しかし別に両方やってもよいので、一話読み切り形式を利用して、一時的に引っ越す話を作って、いろんな大家さんや管理会社を比較させてもよかったかと。
それで言えば都会の四畳半アパートである必要もなく、大洗や軽井沢近隣で軽井沢の名がつかない別荘地、ガーラ湯沢のリゾートマンションほか、ゴーストタウン化しつつある過疎地を転々と舞台にしてもよかったかもしれません。どっちが人と接触する機会が少ないか。
生活に関しては、未来の技術を駆使して各所のDBに不正アクセス、住民登録したり生活資金をプールする口座を作ったりしています。電子世界で無尽蔵にお金が作れてしまうこと自体、歴史の改変につながる要素な気がします。ゼロから有にしちゃうわけで、勝手にお金を刷ってるのと同じことで、些細な金額ながらも、インフレ要素はあるかと。さいごにはそんなこんなで自縄自縛で終わったのかもしれません(未来に帰ればオチはつきますが)
以上