『美味しんぼ』㉔ カレー勝負 "Oishinbo" vol.24 "Curry match" Written by Kariya Tetsu Illustrated by Hanasaki Akira 作:雁屋 哲  画:花咲アキラ(ビッグコミックス)読了

忘年会で「美味しんぼにも登場するモルジブフィッシュ」について話を聞いたので、その巻を読んでみました。ブッコフで¥110税込。

装丁/海野一雄 カバー・フォト/菊地和男

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美味しんぼ 24 | 雁屋 哲 花咲アキラ | 【試し読みあり】 – 小学館コミック

1990年5月1日初版第1刷発行 著者 雁屋 哲 花咲アキラ

読んだのは初版。十六ページも三色カラーがあります。すべてアナログ色指定。

中表紙のこの女の子が誰か分かりませんでした。フローリングの床が斬新だった、「ワンルームマンション」の時代。この右上に神保町のインドレストランの料理写真が貼ってあって、電話番号も明記されています。市外局番03の次が三桁。これを出先から予約するために、テレホンカードで公衆電話からピポパと打ってたんでしょうか。

Oishinbo - Wikipedia

Oishinbo - Wikipedia, la enciclopedia libre

Oishimbo – Wikipedia

Oishinbo — Wikipédia

Oishinbo - Wikipedia

Oishinbo - Wikipedia Bahasa Melayu, ensiklopedia bebas

私は『美味しんぼ』(一発変換出来るのもすごい)の「ん」は後ろが濁音なので、M音の"OISHIMBO"になると思っている*1のですが、そうしてるのはドイツ語版ウィキペディアだけで、ほかはぜんぶN音の"OISHINBO"です。

اويشينبو - ويكيبيديا

アラビア語ウィキペディアを音声読み上げで読み上げると、確かにاويشينبوはOishinboと聞こえますので、N音でもいいことにします、インターナショナル的に。

맛의 달인 - 위키백과, 우리 모두의 백과사전

美味大挑戰 - 维基百科,自由的百科全书

ハングルは「マシ(うまし)の達人」で、中文はメイウェイダーティアオジャン "meiweidatiaozhan"です。

初出が書いてありません。この頃の小学館はそうだったんですね。講談社はむかしからしつこく初出を書いてましたが、小学館はちがった。

お話としては、海原雄山が街のカレー屋で「店主一つ聞こう、カレーとはなんだ」と無茶振りのカスハラで心理的に負担をかけ、休業にまで追い込むのですが、本人には全くその自覚がなく、「野暮だった」で済ませてしまいます。カスハラ常習者には世界はそう視えている。そこに山岡が現れ、究極と至高のカレー対決となります。

関係ありませんが、私の周りでは、関西人でもないのに海原さおりしおりを知っている人が多く、それで海原雄山を「うなばらゆうざん」と読んでいた人も少なくないかったです。

それはそれとして、本書は目次では第一話から第九話まであることになっているのですが、各話扉を見ると違います。

すべて第一話。全話第一話。担当編集が壊れてたんでしょうか。遊人が『ANGEL』を連載したのはヤンサンでスピリッツじゃありませんが、スピリッツも森山塔みやすのんきが連載していた。

上の目次の上の模様をスマホカメラがQRコードと認識してしまい、弱りました。1990年にQRコードがあるわけないっつーの。目次に載ってるインド人のオバサンもけっこう実はぁゃιぃキャラで、菜食主義者だとは思うのですが、ボンベイ南インドミールスでなくラジャスタン州*2の料理(しかも鶏でもマトンでもなくサブジ)を食べさせたりして、北インドの料理しか山岡一行に体験させません。もちろんムスリムやネパール料理はアウトオブ眼中。

インドとスリランカに行ったり識者に話を聞いたりしながら、究極のメニュー作りは続くのですが、冒頭で海原雄山にメンタルを壊されるまでやられた栃川というシェフは、下記の書籍を書いた辛島昇・貴子夫妻でないほう、森永卓士からも「自分で調合しても市販のカレー粉よりまずいこともありますからねえ」とメチャクチャな言われようをされています。実在の人物が作中でこんな発言するとは。

カレーの身の上 (河出書房新社): 1986|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

カレーライスと日本人 (講談社): 1989|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

これは マンニョカというイモの種類をゆでたものです。 カレーと一緒に食べると美味しい。

この頃まだキャッサバはそうと知られていなかったと。スリランカはほんとにブラジルと同じ呼び方なんですね。ポルトガル人が伝えたんだろうなあ。本書のスリランカカレーはアチャールとサンボルしか出ず、「モージュ」も「マッルン」も出ません。サンボルも、ポルサンボルやシニサンボルは出ません。インドに関して言うと、ナンが出ません。チャパティとロタ(ローティ)だけ。表紙にはナンの入った写真が使われているのに、本文にはない。これは素晴らしいです。ナンでなくチャパティで食べたい私としては。

料理対決は、料理帰社歴記者歴ン十年岸朝子的決着がつけられます。味覚は人間のいちばん保守的な感覚器官なので、ブリア・サヴァランがいくら「新しい天体」と言ったところで、慣れ親しんだ味の方がおいしく感じられてしまう。しかしモルジブフィッシュをそのまま使わず、カツブシで代用する発想は、ちょっと待てとしか。

ええい、 この バカ男めが! 二木まり子に指輪をやるなんて! ドカカッ ズコ ズコ

流石『男組』『男大空』の作者。武闘、バイオレンス、パワハラセクハラカスハラをおそれない。

そのいやらしい根性にヤキを入れてやるわ! グリ ど……どうして、 どうして……!

すばらしいです。関係ありませんが、五家宝はやっぱり群馬の銘菓、否埼玉北部の銘菓から来てるんでしょうか。

五家宝:熊谷市ホームページ

ぶわっかもーん!! ドカ あぎゃーっ

はてなブログでなく、FC2ブログを書いてる気分です。うなば…海原雄山が豚バラを選択した理由が分かりません。鶏やマトンにすべきだった。以上

【後報】

本書は読了後、スリランカ料理店にあげたのですが、そしたら、お店の息子さんが読んでくれてるそうです。よかったよかった。

(2023/12/30)