済東鉄腸サンの本*1に出て来た本の中の一冊。どういう文脈で出て来たのか、もうまったく忘れてます。が、読みました。たぶんこのシリーズをいちばん熱く語ってたんじゃいか。
装丁者 荻窪裕司(META+MANIERA) Design:Yoshihiko Kamabe 第6回電撃ゲーム小説大賞〈金賞〉受賞作
頁58、『白旗計器』の意味が分かりませんでした。検索しても出ない。成田サンは今をときめくいい加減にしてよアグネス大学、もとい林真理子理事長の日大文理学部地球システム科学科のリモートセンシング研究室(中山裕則研)を卒業とのことですので、理系用語だとは思うのですが、それ以上分からない。昼行燈みたいな意味でしょうか。
頁176、バリツの意味を私は完全に曲解していて、私が数えるほどしか行かず買わずのコミックマーケットで購入した同人誌『少年チンプ』にシャーロック・ホームズがスタンドみたいのを使う荒木飛呂彦パロディまんがが載っていて、そこでのスタンドが「バリツ」と呼ばれていたので、それだと思ってしまったです。たしか少年チンプはその号で主力作家さんが商業誌デビューすることになったのでこれでおしまいとあり、そうか、それが成田良悟サンか、と勝手に脳内暴走してストーリーを作ってしまいました。少年チンプで検索すると、主催者の人は同人歴30年でサラリーマンとのことですので、成田サンではない。ちがった。
このシリーズはチャイナタウンの話もあると脳内で模造記憶が構築されていて、この第一作がおもしろかったらそれも読もうと思っていたのですが、今検索してもチャイナタウンの話がヒットしませんので、模造記憶上等なだけかもしれません。頁184にリア・リンシャンという華人の姑娘が出ますが、「リア」なんて北京語は〈俩〉"lia"しかないので、てきとうにリア・ディゾンとリンシャンカイホウ(嶺上開花)を足して作ったキャラだと思います。このページに北京ダックみたいな料理が出ますが、ロティサリー・チキンみたいにそのまま身まで食べる感じです。皮だけを味噌と胡瓜と葱でクレープに包んで食べる感じではない。
頁187、密造酒時代のもぐり酒場は酒税を払わなくて済むので儲かるはずが、マフィアへの用心棒代や警察や禁酒法執行官への鼻薬、政治団体ほかへの賄賂等が月に五百ドル(当時)にも達してしまうので、禁酒法前よりかえって店の営業は高くつくことになったとか。成田サンは異世界ものをイチから構築するのがめんどうなのでリアル世界を舞台に書くことにして、考証の多さに後悔したそうで、こういうねたを集めて蘊蓄するのは確かに大変そう。
成田サンは上記を、この地区担当の警官で主要キャラのひとり(にしたかった、銭形的キャラ?)は清廉潔白で絶対ワイロ受け取らないという、その一行の補強に使っています。こういう描写を読むと、ラノベだなあと思います。ふつうの小説でも賄賂を受け取らない警官は出るでしょうが、「なんとなく気が進まないのだ」など、ぼやき調で説明したりする気瓦斯。あるいは、須賀田さんのように、小銭はナンボでもちょろまかす、プチダークヒーロー登場。
イラストと文の描写の齟齬として、エリスの外見が、せりふなどを読んで想像したのと違うな、というのがあります。もっと、ブレードランナーのレイチェルみたいなイメージでした。女子アナ的な。
まったく関係ありませんが、私は在日イタリア人がナポリ出身者ばかりなので、本気でカモッラと関係あるのかと勘ぐったことがあります。「オーノー、トンデモナーイ」とか言われましたが。
裏表紙。何故日の丸。矢車老人が出るからなのか。『愛の矢車草』はLGBTQ?を描いた橋本治の小説。
以上