『ママはぽよぽよザウルスがお好き』"Mama Loves the Poyopoyo-Saurus" by Aonuma Takako 青沼貴子 読了

ラズウェル細木サンの自伝鼎談*1を読んでいたら、幻の育児まんがのくだりで、同じ雑誌「プチタンファン」に載っていたまんがということで、これと田島みるく『あたし天使あなた悪魔』が出て来たので、ブッコフで購入して、読んでみました。¥1,800以上だと二百円安くなる時だったので、たくさん買って¥1,700くらいにしたのですが、十冊くらい買ってしまい、後悔してます。

現在出てる角川の電子版は表紙が違います。当時の絵柄とちょっと違う。

裏表紙に英文タイトルが。著者名も英文併記です。その辺、海外旅行に行く少女漫画家とバックパッカー測量士にふさわしい。

「ぽよぽよ」の英語・英語例文・英語表現 - Weblio和英辞書

hinative.com

旦那さんは測量士で、バックパッカーあがりで、仕事のあいまに小劇団に関わったり、英会話ならったりしてたそうです。青沼サンは漫画家で、板橋の2DKに住む。

婦人生活社 - Wikipedia

婦人生活社はもう倒産してるそうで、出版不況を先読みしすぎて、急激に紙の雑誌を廃刊しまくったので資金がショートしたんだとか。変わった会社ですね。婦人雑誌は紙質や広告の関係で重いので、個人書店が腰を痛めるのを気にかけていたのかもしれません。

左は婦人生活社版表紙の一部。カドカワ版は、一巻のみ表紙が違っていて、あとの巻は読者の要望があったのか、婦人生活社版にあわせているようです。
読んだのは初版の二年後の28版。すごいなあ。パート2まとめは和田容子という人、デザインはスタジオ・ギブ。東京学芸教育学部助教授の山田昌弘サン(家族社会学)のお話も交えて、今でいう育メンについて読者各位のケースを交えて語っているのがパート2。パート3は長男出産時のドタバタ(予定日は四月だったのに三月二十九日生まれ!)パート1は長男長女の育児まんが。その前のカラーページのみ描き下ろしで、あとは基本的に「プチタンファン」という雑誌に載せたものをまとめたんだとか。

恋愛結婚優勢時代のパパは、金だけ稼いでいればいいというものでなく、それなりに気づかいや参画が求められるという、それでそのまま出生率も下がらなかったらよかったんですが、みたいな感想を、今だと抱きます。三割が結婚しない時代。この夫婦とふたりの子どもは、全員思うがままにお金を使いまくるので、スゲエとしか。田舎の両親のシックスポケッツもあり、さらに両親のもとには兄弟とその配偶者もいる。いいなあ。みんなそうなってればよかったのに。

また、登場人物がほとんど偏食で、長女だけ比較的なんでも食べるという展開が、農家に育っても(測量士のダーリンは栃木出身)何でも食べるようになるわけではないという、そのまんまだなと思いました。

よくラズウェルサンは同期の連載作品を覚えていたなと、自伝鼎談を読んで思ったのですが、リモート鼎談だったので、自宅の本棚から本を引き抜いて巻末広告見ながら言った可能性が高いと思いました。けらえいこならともかく、作者同士で当時も今も交流あるんでしょうか。青沼サンのサンビス精神はとんでもなくて、いたるところおもしろいエッセーまんががみっちり詰まっているので、比べられるラズウェルサンも大変だったんじゃいかと。

すげえ板橋、カッコいい板橋と思ったのが、やっぱり息子にこの髪型をさせた箇所。ここ、本編でなく、本編の一話と一話のあいだにはさまれる四コマ三篇のうちのひとつです。ここまでサービスする。

写真はこの一枚のみ。買いたいものを買う四人家族の2DKの実情。ある意味バブルなのか。ずっとこんな育児が出来ればと、今だと思ってしまうのかどうか。

リュウの入園準備・包茎手術

頁37。アメリカではすぐ包皮切除するので日本でもやりますた、という話。異論反論オブジェクションが轟轟だったようで、この話だけ注記がものすごいです。

何しろたくさん買い込んだので、子離れした後の夫婦生活、成人を迎えたあとの子どもたちまで、それぞれまんがになってるのを、いずれじっくり読むわけですが、それにしても情報量が多い。あと、作中に出てくる町中華「中華栃尾」は今でも実在するようです。以上