『ママはぽよぽよザウルスがお好き ふたたび』"Mama Loves the Poyopoyo-Saurus Return" by Aonuma Takako 青沼貴子 読了

左は婦人生活社版カバー(部分)右はカバー折。怪獣名もですが(アンギラスといいつつ絵はラドン)科特隊だかウルトラ警備隊のコスチュームみたいな絵もすらすら描けるものだな、世代的なものだろうなと思いました。鳥山明なんかもこういうのは目をつむっても画けそうな。

カドカワ版の表紙も二巻からは婦人生活社版を踏襲してるとカンチガイしてましたが、カンチガイでした。ちがった。

月刊育児雑誌「プチタンファン」1993年5月号から1994年10月号までの連載をまとめ、1989年12月号に載った、著者初めての育児まんがを「おまけマンガ1」として、1991年5月号に載ったマンガを「おまけマンガ2」として掲載。エピローグは描き下ろしとの由。

英題はカバーや表紙から。リターン、いいですね。

デザイン スタジオ・ギブ 

各話のあいだに挿入される描き下ろし「はみだし育児日記」はさすがに疲れたのか、途中から絵が手抜きになって、各キャラが表情のない人形になります。しょうがない。すべて同じテンションとレベルで描き切れたら、それはおそろしいこと。

最近こっている食べモノ ②タイのカブト煮(この歯が一番ヤダ)外で食べさせてからリュウとアンがこってしまった 製作中キモチ悪くて一度は貧血を起こす

頁54、「はみだし育児日記25」より。右はホールズ。鯛の兜煮が好きな乳児って、スゲエと思いました。

「part1」はカラーで、①いじめられるタイプの長男、いじめるタイプの長女を観察し、どう親が介入するか(自分の子がいじめられたら怒るだけでなく自分の子がいじめてたらちゃんと怒れるか、など)②おけいこごと、早期教育について、(a)オール反対派(子どもは自然のままに)(b)オール肯定派(スポンジが水をしみこむようなものだし、エスカレーター式の一貫校がいい)(c)どうでもいい派のうち(c)である青沼家の話、③しかりたくないのにしかってしまい、あとで罪悪感にかられる親の行く道。

②で、原宿でパツキンの白人女性がやってる乳児向けの英語教室を託児所かわりにして、板橋から原宿に遠征して子どもを預けちゃあショッピングざんまいを繰り返してたら、チケット制から定額制になって、安くないのでやめたという話がよかったです。もちろん子どもに英語は1㍉も身につかず。

「part2」は日常。ねかしつけ、モノを壊す、発熱(上の子は甘えたになるが、下の子はひとりで床に入って何も言わず回復を待つ、ローンウルフのような子になる)プール(五階のベランダプールが一階から水が飛ぶとの苦情で中止のくだりは、う~ん)おしゃぶりなど。

おどまぼんぎりぼーんぎり

頁71。私はこの歌、知識としては知ってるんですが(しりあがり寿水島新司パロディの野球漫画に出てくる)メロディを知りません。こういうのも、知識を継承しないとだなと思います。

www.youtube.com

逃~げえたあ女房にゃあ未練は無いがああお乳ぃ~……

頁73。父親のオンブ。この歌も、ここで出るのがすばらしい。そして、

浪曲子守唄 - Wikipedia

「part3」は幼稚園。おもらしの話がさらっと軽くて、いいなと思いました。

頁97。モブの描き方とか、トライしてていいですよね。これを育児と並行してやってるという…

「幼稚園のせんせい」の絵が、美人なのか性格がいいのかかいもく分からない「若いムスメ」の絵で、すばらしいです。でも卒園式は父母そっちのけでギャン泣きする。この先生がおもらしパンツのオミヤゲや食事の食べ方がキタナイ点などには寛容で、しかし容赦なく手縫いのかぱんや体操着の名前ふだつけ、座布団カバーなどの手芸を矢継ぎ早に親に申し付ける場面はすばらしかったです。

上の子がお弁当幼稚園で疲弊、下の子はなんとしても給食幼稚園に入れようと必死になり、上の子とちがう園にしたがる親の魂胆や裏事情(前の園でトラぶってないか、など)を面接で鋭く追及され、「働いてるんで弁当無理なんです」と泣きながら本音を絶叫すると、すとんと理解してもらえる場面もよかったです。数々の手抜きお弁当の中の極めつけは、冷食もなんにもないかったので、カップ焼きそばを弁当箱に移し替えて、ビンの青海苔(青沼家にはあるらしい)を大量に振ったもの。子どもが帰宅して、「おかーさんきょうヤキソバだったねえおいしかったあ!」とにこにこ語るコマが秀逸。

頁100、101。ママ友とのつきあいに悩む読者投稿と、青沼家の場合の紹介。このストレートヘアの女性の髪形が異様になつかしかった。そしてこの地獄必勝法は、板橋なら出来るかもしれないが、地方の過疎地域では無理ではないかと思いました。

「Epilogue」は、父親としてのダーリンは点数をつけるとしたら何点か。なんていうか、今世紀が養育費バックレの世紀になるなんて、想像も出来なかったのではないでしょうか。ある養育費バックレの人は、ママ友ナンパして沖縄ダブル不倫旅行してその後すぐ「飽きた」と言って別れてた。ただれた時代だなあ。SNSも強力だし。以上