ビッグコミックのズージャマンガ『ブルー・ジャイアント』で、結婚式で演奏する仕事、ウェディング・ギグの話があって、検索すると、キングサンが同名の小説を書いてたので、読みました。
カバー表(部分)
カバー・アートディレクション+デザイン 松永 真(装丁も)
イラストレーション 矢吹申彦
短編集のタイトルはスケルトンクルーなのですが、スケルトンクルーという作品は収録されてません。邦訳は、原書を三冊に分けて出版されています。
この後たぶんサンケイ文庫がなくなって、扶桑社ミステリーになって、そこからまた出たみたいです。そうウィキペディアに書いてありました。
カバー裏の作品紹介。
カバー折の著者写真。若い。まだラリってた頃でしょうか。
後年の自伝表紙に使われている写真。大けがもしたのですが、あざなえる縄をよってよって、そして、祝福される人生ではないかと。
最初に饒舌な序文。1984年4月15日。メイン州バンゴル市にて執筆。矢野浩三郎訳。長いです。この短編集に収録されている作品には、学生時代大学の文芸誌に掲載されたような古いものもあるのですが、その文芸誌の名前が"Ubris"で、キングサンは"Hubris"(傲慢)のコックニー訛りだと思っていたとか。今検索しましたら、ラテン語で「胸」の意味とありますが、分かりません。メイン大学の文芸誌だそうで、メイン州はコックニー使いが多いんでしょうか。
頁14「序文」
「減量で痩せるのと、お金持ちになるのは、どんなに過ぎても行きすぎってことはないのよ」
キングサンはこの一文を真理としていますが、お金はともかく、摂食障害とかいろいろある21世紀からすると、前段は昔の話だと思います。
以下まあまあネタバレ。
『握手しない男』 - "The Man Who Would Not Shake Hands"(1982)訳:山本光伸
呪いにかけられた男の話。コロナカならまたちがった展開を見せていたでしょう。なにしろ触るものがみな…という話なので。
『ウエディング・ギグ』 - "The Wedding Gig"(1980)訳:山本光伸
身内のブサイクをけなされたギャングが冷静さを失って抗争相手の罠にはまる話。バンド活動をしていると、いろんなことに巻き込まれるという話。
『カインの末裔 』"Cain Rose up"(1968)訳:松村光生
合衆国で時々起こる、上階の窓から外の人間を無差別に撃つ事件、ランダムシューテシングの話。なんでこういうタイトルなのかは分かりません。内容はとても分かりやすいです。大学の学生寮を舞台に持ってきています。
『死神』 - "The Reaper's Image"(1969)訳:松村光生
鏡が死神なんです(棒)!!!!
『ほら、虎がいる』 - "Here There Be Tygers"(1968)訳:松村光生
現実の虎なのかもしれませんが、時代的には、観念の実体化みたいな感じ。小学生が小学校の校舎で見て、せんせいが食べられます。いや校舎じゃないか。
『霧』 - "The Mist"(1980)訳:矢野浩三郎
映画化もされたけっこう長い作品。
映画になった作品なので、ほかかも出てます。文春のはウィキペディア未記載ですが、ハヤカワのは本書より先で、本書の方がちょっとだけ結末など変えられているとか。作者がやったことですが、好みが分かれてしまうのかな。
頁145、シェイモアという地名が出て、地元ではシャイモアと発音するとあります。メイン州で、お隣はケベックなので、そうなるのでしょうか。もう一つの隣りのバーモント州にバーモントカレーはないと、娘がバーモント州に留学してる人から聞きました。
もしこの話の霧が、バーモントカレーだったらと考えてみるのも面白いかもしれません(うそです。おもしろくない)
以上