前作*1を読んだのでこれも読もうと思って紀伊国屋書店で注文して買いました。
ちなみに、このテーマだと下記もあったなと、冬に森下の古本屋のワゴンセールで見かけたのを思い出し、ブッコフで注文して買いました。¥110。森下の古書店と同じ値段。
グーグル翻訳の対応言語が大幅に増えたので、だいたいこれがフィリピンの言語かなというのを使ってみました。私はフィリピンは分からないので、漏れがあっても知りません。ミンダナオのマラナオ(回教徒)があればと思いましたが、そこまではないかった。
- Ekonomia ni Filipino Pub Lady イロカノ語
- Economics sa Filipino Pub Lady セブアノ語
- Ekonomiks ng Filipino Pub Lady タガログ語
- Ekonomiya na Filipino Pub Lady パンガシナン語
- Economics of Filipino Pub Lady パンパンガ語
- Ekonomiya kan Filipino Pub Lady ビコール語
- Ekonomiya sang Filipino Pub Lady ヒリガイノン語
- Economics of Filipino Pub Lady ワライ語
- Economics of the Filipino Pub Hostess 英語
以上五十音順。パンパンガ語が本書登場人物たちの母語なので、これをタイトルトップに持って来たかったのですが、英語と変わらないので、置いても理解されないと考え、やめました。ワライ語も英語と同じ。手抜き翻訳なのか、こういう語彙がないのか。
帯。写真は妻・ミカを演じる一宮レイゼル©映画「フィリピンパブ嬢の社会学」製作実行委員会 デザイン 新潮社装幀室 カバー折にカバーの英語"Brevity is the soul of wit, and tediousness the limbs and outward flourishes."の説明あり。『簡潔こそ智慧の心臓、冗漫はその手足、飾りにすぎませぬ』シェイクスピア『ハムレット』福田 福田恆存訳より 前巻は『カラシニコフ』作者の元朝日新聞記者サンが師匠として文章のスパルタ式特訓をやった旨解説で書いてますが、この巻には出ません。巻末あとがきの謝辞は新潮社編集の松倉裕子サンと安河内龍太郎サンへ。
帯裏 ひとつひとつの見出しにコメントをつけたくなる、そんな本です。母子手帳は、それだけは各言語が用意されてるけど、各種お知らせはそこまで多言語ではない、というか日本語オンリーのお知らせも多いという深掘り構成で、なので予防接種等あれこれ鑑みて「異国の地で一人での子育ては無理」となります。私は個人的に、英語があればフィリピンも韓国もカバー出来るのではと思ってるのですが、そこまでの英語力はないのかな。でもスマホの自動翻訳が長足の進歩を遂げてますしね。本書では、前作のプリペイド携帯国際電話時代から、現地とスカイプ常時接続への変遷もちゃんと書いてます。レンタルビデオが配信に変わって、そして。見てるとブラジルの人がけっこう常時接続してるなと私は思うのですが、さてどうでしょう。
母親の日本語能力で子どもの喋り出しが遅いとか語彙力が増えないとかは、幼稚園に行くようになれば解消されますし、無理に日本語で話さなくてもと思うのですが、どうでしょう。なぜかタイ人も中国人も日本語で話そうとしたりする。思春期の孫が、祖母の舌っ足らずの日本語の理由も理解しつつイラッとしてしまうのなど見てると、ふつうに母語で話してたらいいのではと思わなくもなく。中華街に近くなると華人も漢語で子育てする家庭が多くなり、米軍関係者で子どもに日本語で話しかけてる人間なんていまだかつて一度も見たことがない(親がグリーンカードの邦人のケースを除く)ムスリムなど、インド亜大陸の人間も親は現地語でしょうか。親の知り合いが子どもに話しかけるときは舌っ足らずの日本語の時もある。「学校はお休みなの?宿題はやった?」とか。
頁101、洗礼の箇所は、あわせてピアスをあけるかどうするかの箇所で、フィリピンでは当たり前でも「日本で生きる」のならどうするかという箇所で、子どもは二人とも女児なのでその話題ですが、さくっと、フィリピンでは男児は割礼するとあり、えっそうなのなんでと思いました。アメリカの影響でしょうか。日本人はお子さんに親切な人が多いとのことで、それはそうですが、中にはロクでもない目的で親切なのもいるので、そこはわきまえておくべきと思います。フィリピンも、以前カナダ人の年金生活旅行者が、日本の野菜の無人販売みたいな飲料販売がフィリピンの山奥にあって、なんて純朴な連中なんだ、人を信じて疑うということがないのがフィリピン人だ、と絶賛していたのですが、ならなんでマニラはクリスチャンバクシーシのストチルばっかりで、たまに平気で拳銃ぶっぱなす奴がいるのか説明しろよ、と思ったのを思い出します。下記のニュースの後、幼稚園の女児の子育てしながらベトナム料理店やってた一家が、速攻店畳んでどこかへ行ってしまいました。店の味にネットの口コミでケチつけられてたし、別の理由かもしれませんが、タイミングが絶妙だった。
〈松戸9歳女児殺害 無期懲役確定へ〉渋谷恭正被告がアルバイト店長に語っていた“性癖”「ブルマ姿になって…」 | 文春オンライン
私はフィリピン料理には興味があるので、前巻のアドボやシニガンに続き、頁115のシシグが分かってうれしかったです。
ミミガーのシシグ。2021年2月。カタンドゥネアス島出身者の店で。
豆腐のシシグ。2023年1月。カタンドゥネアス島出身者の店で。
頁217のニラガは知らなかったので、どこかメニューにある店があれば食べてみたいです。こういうの、給食に多いのが検索結果で実感出来ますが、どこまで現地の味を再現してるかはまた別の話。
https://cms.nerima-tky.ed.jp/weblog/index.php?id=106&type=2&date=20210331&category_id=4825&no=6
今日の給食は「ガーリックライス」「チキンアドボ」「ニラガ」「牛乳」でした。「チキンアドボ」と「ニラガ」は、フィリピンの家庭料理です。
ほか、奈良市、埼玉県吉川市、千葉県匝瑳市、静岡県掛川市などの給食メニューが検索で出ます。ナンプラー入れてるとおおいばりのレシピもあるのですが、フィリピンは魚醤よりタマリンドの酸っぱさで勝負ではないかと思ってみたり。
名古屋周辺ではベトナム人の店にふつうにホビロン、フィリピンでいうバロットを売ってるそうで、もっと秘した愉しみ的に売ってるのではと思ってたのが、アッケラカンとしてておかしかったです。帯にフィリピン人とベトナム人の会話について書いてありますが、ベトナム人も地味にクリスチャンが多いので、教会接点のつながりもあると思ってます。個人的にフィリピンの言語が微妙に通じるのではと思ってるのが、マレーシア、インドネシア。ミンダナオのムスリムの本を読んだ時、「バリック・イスラム」のバリックがインドネシア語でも同じ意味と知ったりするなど、ちょいちょい驚いてますので、どこまで通じるのか、フィリピンインドネシア言語バーリトゥードを見てみたいと思ってます。同じマレー系だから、けっこうイケそうな気瓦斯。
頁215、煙を出しながら外でバーベキューするフィリピンパブがなくなったという箇所は、寂しい気もします。まあ河原にみんなで行ける足があれば、あえて繁華街の一角でやる必要もないですが。
経済的依存と依存症は同じか違うか知りませんが、まあフィリピンの家族に「底つき」という概念はないんだろうなと思いました。過度の仕送り、日本への依存をやめさせろというナカシマサンと、なんであんな血も涙もない男と結婚したと責めて手まで出てしまうフィリピンの家族とで、板挟みになるヒロイン大大変そう。そういうのまでは映画になってないかも。続編の内容だし。依存という話でいいのか分かりませんが、日本の工場の外国人労働者、研修生のあいだで大麻と覚せい剤がまん延、簡単に手に入るという箇所は、外国人社会なのであまりニュースになってないせいか、( ´_ゝ`)フーンでした。炙りとかもう。それでメンタル病んで行政の支援で生きようとする人がいるところは、クルド人で聞いたような気もします。
もちろんフィリピンの親族も百パーたかってくる人ばかりでなく、たかってこない人もいるそうで(別に裕福ではない)頁138にはたかってこない人が高額治療を払いたくないので通院せず死んじゃう話があります。たかってこず、自力更生でサクセスする話ならよかったのですが、こういう例を書くのか。フィリピン映画「ローザは密告された」を見たときのカルチャーショックとして、サリサリストアの仕入れをスーパーでして、ベチャだかベモだかタクシーだかで帰宅する場面。問屋で仕入れて輸送費もなるべくかからないようにして、儲けを増やすとかの発想はないのかと驚きました。中国人の日本出稼ぎもそれなりに故郷へ還元されてるはずですが、フィリピンのようにただたんに溶けるということは少ないと勝手に思ってます。もう少し小商いするとか、溶けるにしてもアホみたいな投資話にひっかかるとかマルチ、ネズミ講にひっかかるとか、展開の違いがあるように思う。浜松で中国人の若者がブラジル人やフィリピン人の不良にボコられた後放置で凍死だか水死した件*2で、ボコった側の親の談話(日本語)で「あの中国人」「あの中国人」と言っていて*3、仲悪いんだなと思ったのを思い出します。ベトナム人もあんま溶かさないと思うので、フィリピン人とベトナム人もそのうち仲悪くなるのだろうか。タイ人は文字などの問題であんま他民族と交流しないだろうから、そもそも別ですが… カンボジアも。
コロナカのエピソードで、頁223、在日フィリピン人もワクチン接種が受けられ、10万円支給もらえたそうです。前者は接種会場で丸わかりですが、後者は知らないので、へーでした。ネットでやいやい言う人はいるかもな。
偽装結婚以外に、偽装認知という手法も頁193で紹介されます。考えたら、ナカシマサンの奥さんも偽装結婚を経てのナカシマサンとの再婚ですので、それでそうそう永住権降りたら、法のご意見番が黙ってない気もします。離婚再婚でも婚姻ヴィザが出るのは、世界的に見てけっこうゆるい気もするのですが、どうでしょう。
本書はダブルという言い方を使わずハーフという呼称を使っていて、そうしますという宣言はあるのですが、理由は書いてません。なんでだろう。ウォーク、意識高い系と思われたくないのか。あるいはハーフという言葉がすでに人口に膾炙していて、愛着があるからか。
なにしろ職場のオナクラクンまでが「齋藤飛鳥はミャンマーハーフなんですよね」と言うくらい、○○ハーフという言い方は、平成生まれにはふつうのようなので。上の「在日フィリピン人」というウィキペディアの項目には、当然ながら高安と秋元才加が載ってます。下はマレー語版ウィキペディア。
ちなみに、中文版ウィキペディアは、もっとほかの人物も入れていて、関取数名とAV女優二名です。ハングルとロシア語は個別の人名記載なし。
以上