『聖なる酒場の挽歌』 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)読了

アル中探偵マット・スカダーシリーズ

聖なる酒場の挽歌 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)

聖なる酒場の挽歌 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)

タイトルはこちら↓から。

http://en.wikipedia.org/wiki/Last_Call_(Dave_Van_Ronk_song)

And so we’ve had another night
of poetry and poses,
and each man knows he’ll be alone
when the sacred ginmill closes.

酒をやめたアル中が飲酒時代を回想するわけですが、
その記憶は一部模造記憶かもしれません。
それまでの作品にあった驕慢さが影をひそめ、
暴力飲酒の場面もありません。
ただ、飲むのをやめない。
浮き袋がないため絶えず泳ぎ続けなければならない鮫のように、
店をハシゴして、飲み続ける。
いつでも禁酒出来るが、する必要がないからしないだけという他キャラのセリフに、
あいまいな態度をとる。←記憶修正の疑いが…自分のセリフだったんじゃないの?
記憶をなくすシーンは多いです。

1980年代のアメリカが1970年代のアメリカを回顧する。
すぐれた小説ですが、やはり断酒後のスカダーさんの七転八倒が見たいです。