ほかの人のブログに
コメントを書いた折、
半村良の名前を出しまして、
それでなんとなく
未読の作品を
一冊借りて読みました。
ハードカバーです。
作者と山田風太郎を
比較するのは
私だけではないと
思いますが、
私は両者の年齢まで
ごっちゃにしており、
(実際は十歳くらい違うのかな)
1992年出版の
『二〇三〇年東北自治区』を
読んだ時に、
作者も年取ったのかなァ
なんて思ってしまい、
以後の作品をチェックして
いませんでした。
この小説は作者お得意の
人情もので、
幾つになってもサラッと書けそうな手練の技なので、
SFのほうでウソのキレがどうなったかは分かりませんが、
またほかの作品も読もう、と思ったことは確かです。
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たぶん最後まで読まないでいくんじゃないかな、と思っています。
栗本慎一郎が絶賛していたのを読んでそう思ったわけじゃないですが…
太陽の世界も、読まなかった。
で、この作品は、架空の、現実にあったらいいな、的な、
ウキウキするような人物たちと彼らの働くバー、ホテルが舞台で、
いかにも年々作りにくくなる夢のある小説で、読めてよかったな、
と思いました。
還暦を迎えたヴェテランのバーテンが、シーマに乗ってて、
自分も出資者になってる隠れ家的なホテルのバーで腕を振るってる。
働き盛りの年齢のよく気が付く部下のバーテンダーにも恵まれ、
客層も、人と人との縁でどんどんいい方向に豊かになっていく。
"LOUIS"を、「ルヰ」と書くようなクセは、
今までの作者にはなかったな、とも思います。
オーナーがホテルのフロントを務めているのですが、
こちらがあまり経験のない設定になっていて、そこだけ少し空想過ぎるかな、
と思いました。ホテルマンも、経験の積み重ね、叩き上げという気がしますので。
あとは、恐喝屋の登場、カウンターのヤクザとのコネクション構築、
今ならハングレと呼ぶであろう半端もの、プロ、などの展開や、
高血圧で倒れて入院するキャラがふたりも出る展開など、
女関係は枯れた描写中心になるのですが、それならそれで健康は心配、
という場面が散見され、作者は、晩節を見据えて、この小説を書いていたと思います。
私がほかの人のブログのコメントにも書いた作者の『亜空間要塞の逆襲』にも、
会うたびに雨が降っていた、そんな過去の女性が出て来て、
(亜空間要塞ではそれは作者の妄想で、宇宙人はそれを嘲笑する)
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作者にとっては忘れえぬ意味がある、と思います。それがなんなのか、
もはや分かりませんし、分かる必要もないことではありますが。以上
装丁:宇野亜喜良
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半村良
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山田風太郎
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