『妻への家路』(原題:帰来/归来/歸來)(英語タイトル:Coming Home)劇場鑑賞

公式:http://cominghome.gaga.ne.jp/

北京五輪演出総監督チャン・イーモウ最新作!伝説のCG花火から早や6年7年…
浅利慶太がこの映画を観たかどうか知りませんが、
スピルバーグが絶賛したのは、彼もマザコンですから、それでそういう人として、
介護問題などに直面していたのかもしれない、と思いました。

妻への家路

妻への家路

この、原作のアマゾンレビューにたったひとつ寄せられたレビューが非常に秀逸で、
映画と原作の違いはほとんどこれで理解することが出来ます。
確かに上海を舞台にしてしまうと、張藝謀では彼自身が満足するものは作れない、
と思います。彼は上海の人ではないし、簡単なセリフの同語反復とその余韻が
彼の映画の持ち味だから、上海語を使わないわけにもいかないし、
映像作品に於ける方言の過度の使用は、時として微妙に政治的な風にさらされ、
お蔵入りになったりすると困るし嫌だし、ということで舞台は北京になったのかと。

少し前なら文革を舞台にした映画のロケなど簡単に出来たと思うのですが、
急速にそれが難しくなった、雰囲気のある社会インフラが海嘯のように消えてゆく、
と思いました。北京の白い雪など、どのように再現したのか。どこで撮ったのか。
映画駱駝のシャンツに出てくる、雪の鼓楼のシーンなど、前世紀のまぼろしなのでは。
大気汚染、どこまで深刻なのか、私は知りません。

雰囲気的に、あの駅は北京南駅ではないかと思いましたが、
西寧からの列車が到着するというと、西駅ですかね。
西駅は早くから新しい駅になったので、古い駅を知りません。
それとも老站でしょうか。文革時代の逃亡者というより、
ただのコジキのような恰好ではないかと思いました。
(中国の乞食もこんな格好です)眼鏡やマスクなど、文革時代を再現しようにも、
物資の豊富な現代なので、主観や記憶も左右されてうまく再現できなかったような…
http://www.mansuno.com/user/i/140430/1059113922-1.jpg
http://www.mansuno.com/201404/13632.html
http://hebei.hebnews.cn/attachement/jpg/site2/20140519/6c626d01596814e426221b.jpg
http://hebei.hebnews.cn/2014-05/19/content_3944868.htm

原作の原題“陆犯焉识”の意味が分からないので検索しましたが、
Q&Aサイトでもいろんな意見が出ていて、面白かったです。

豆瓣电影 《归来》原著小说为什么叫陆犯焉识?
http://movie.douban.com/subject/21352814/questions/10818/

空き家の婉玉をアレしようとした?幹部の姓が「方」で、
「犯」とは西北方言では区別がつかなくなるな、と今思いました。"n"と"ng"
そういうテーマの映画だと、反中国プロパガンダとみせかけて、
実はティーンズオリエンタルポルノ?の下記とかもう本当にひどいと思いました。
コネ社会でよるべのない人間にもういろんなオスが身体目当てにつけこむつけこむ。

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で、今検索したら、同じ原作者だった…アマゾンレビューで、原作はムッツリでエロ、
と書いてありましたが、中国人のムッツリスケベ率は日本人を遥かに凌駕していますし、
元祖ノーベル文学賞受賞中国人作家高行健もそんな小説ばっかりなので、
(とにかく機会は外さない逃さない)私はたぶんこの映画の原作は読みません。
張芸謀はそういう芸風でないので、エロシーン入れなくて、よかったです。
エロは、チェン・カイコーのほうですね。

カイコーは俺のことかと凱歌言い
ゴンリーはあてのことかと巩(鞏)俐言い
ゴンリーなら合ってるか。タンスにゴンリー、鬼瓦ゴンリー。

けっこう尺の短い映画で、もう少し尺を取って、
娘さんの結婚や出産などの人生も描ければよいのに、と思いました。
http://img31.mtime.cn/CMS/News/2014/03/21/094934.28408200_620X620.jpg
http://news.mtime.com/2014/03/21/1525659.html
http://photocdn.sohu.com/20140422/Img398655098.jpg
http://yule.sohu.com/20140422/n398655097.shtml
おさげをほどくと縦ロールになるのがよかったです。

あと何かまた思いついたら書きます。取り急ぎ以上。

【後報】
アメリカンスナイパー見たら、やっぱこの人の"The Flowers Of War"、
『金陵十三釵』も観たくなりました。やらないかな。やれないんだろうな。

金陵十三釵 Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E9%99%B5%E5%8D%81%E4%B8%89%E9%87%B5

基本的に同じテーマだと思いますが、だいぶ違うというか、難しいかな。
要するに便衣狩り。
(2015/3/18)