『最愛の子』(原題:亲見爱的)(英語タイトル:DEAREST)劇場鑑賞

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http://atsugieiga.com/dearest/ 公式解説http://www.bitters.co.jp/saiainoko/background.html
雨で時間が空いたので観た映画ですが、滅法面白かった。
大西游降魔篇*1で斉天大聖塚本晋也を演じたホアン・ボーと、
長沙糞尿パンチラコンサートの悲劇、旭日のヴィッキー・チャオ(趙薇)(火星人)(还珠格格)*2と、
『二重生活』*3で観た時も、韓半島夢のトンイル映画シュリの女優さんに似てると思った郝海東蕾、
むかしの知り合い(カンニングで大学入学)に似てる、誘拐家族自助グループ主催者。
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弁護士役の方は存じ上げませんでしたが、ぽっこりお腹の役作りがよかった。
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だいたい衝撃のラストとか結末とか、謳っちゃってる映画って、
実はそんなに衝撃でもなく、衝撃と感じた奴は人生経験が乏しい、
と思います(個人の感想)この映画は、そんな文句うたってないのですが、
えてしてそういう映画の中に、最後やられた、と思わせる展開があり、
この映画は、そういう感覚が本当に久々にあって、非常によかった。
そう来たか、実話を元にしたドラマなのに、追い込むな〜、突き放したな、
やっぱり中国人は人間を信じてないんだな、と思いました。
http://atsugieiga.com/wordpress/wp-content/uploads/2016/03/40a6f8b60b3caca01e690b8da5d6f85d.jpg平日昼間でしたが、
十五人以上入っていて、
最初なんでだろと
思いましたが、
たぶん映画が面白いので、
口コミだと思います。
リクエスト上映だそうですが、
英断に感謝です。

公式の解説には、
深圳の会話には
広東語もあるみたいに
書かれてますが、
普通話しか
なかった印象です。

安徽省の言葉は、
エンドロールによると
蕪湖方言とのことで、
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登山口?のひとつ
ですので、訪れた
日本人も多いんじゃ
ないかと思います。

私もむかし行って、
休暇中の解放軍兵士が
酔って乱入してきた。

映画では牛ですが、
ぬかるみに
身体を突っ込んで
餌を漁る黒ブタが
印象に残ってます。

で、そこでヴィッキー。
安徽省出身は分かりますが、
農村女性を演じさせると、
改めてこの人の彫の深さが浮き彫りになって、
どこのウイグル人だよと思いますので、
(子供の桃アレルギーは、新疆切糕の核桃仁の因果じゃねえかとか)
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http://www.zuocai.tv/baike/48867.html
なんちゅうか、熱演してるだけに、秋菊の物語、秋菊打公安の、
タンスにゴンリーみたくサマにならなかったのが、残念です。
あとは、誘拐家族の自助グループがとにかく秀逸でした。
犯罪被害者/家族の自助グループは日本にもあると思いますが、
日本の十倍以上人口があって、毎年20万人子供が失踪する中国は、
子供をさらわれた家族だけで(しかも華南だけで)グループが作れるのかと、
あらためて共同体の器の大きさの違い、文化の違いに感じ入りました。
日本が中国の十分の一の人口としても、毎年二万人児童行方不明とか、
絶対ありえないから。
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あと、自助グループ主宰者、お金持ちなので、二人目罰金払えばええやん、
そんなに、「一人目のかわり」にこだわらないで、と思ったのですが、
別にケチだからあそこでああまで荒れたわけではないのでしょう。

あとは、河北省はやはり殺伐としてるなあ、とか、
陝西省出身者が深圳でやってくのは並大抵のことじゃないだろうな、
とか、思いました。中国嫁大陸でお馴染みシンセンでさらわれたのに、
なんでホンコン国境ラゴ駅を探したのか、そこもよく分からなかったです。

http://baike.baidu.com/subview/46335/14051052.htm
一昔前なら、絶対字幕で昼のヒマな時間にNHK教育でノーカット放映、
と思いましたが、いまはどうなんでしょう。ホントに面白かったので、
けっこうみな見たらいいさ、と思います。以上

【後報】
自助グループの個所で、それまでずっと言えなかったことを、
堰を切ったように、カタストロフィというか、泣きながら告白する場面があり、
私は須賀田さんシリーズの小説『八百万の死にざま』*4しか同様の場面を知らず、
須賀田さんの場合は、「今日は仲間の話を聞きます」
「今日も一日○○のない生活を送りたいです」の一言ミーティングを続けた後で、
ある時、熟した果実が落ちるように、どっと話し始めたわけで、
この映画が、誘われて参加第一回で自身の過失告白まで行ってしまうのは、
映画の制約ではしょったのかそういう場合も無論あるのか分かりませんが、
とまれ、告白の場面は映画で見ても人の心を動かしてしまうので、
私も心を動かされながら観ました。これがルーチンワークになって、
何度でも何度でも、禊を繰り返して浄化してはまた、になって、それを指摘されたり、
指摘される先回りの理論武装をするようになると、それはそれでアレなのですが、
そういうことまで知識として知ってしまった、自分も少しわびしくて、
でも前向きに生きてゆこうと思いました。(2016/6/3)