『激安食品の落とし穴』読了

激安食品の落とし穴

激安食品の落とし穴

あっという間に読み終わったのですが、少し寝かせます。
【後報】

一月に予約した本ですが、無事順番がまわって来て、よかった。
確か朝日新聞で、プライベートブランドのありかたに警鐘を鳴らす記事で、
取り上げられてた本だったと思います。岡田イオン帝国に戦いを挑む本を、
当時は選挙のだいぶ前ですが、アサヒが取り上げているという事実が面白かった。
なにごとも是々非々ですね。納豆はもう、TV以外でも激安が普通な気がします。
この本を読むと、中国や北米はまともな豆腐で、
日本だけおかしいような読み方をする人もいるかもしれませんが、
東南アジア充填ばっかりでイヤやみたいな声を聞いたのは20年前。
インドネシア在住の知人が、充填や天然以外の凝固剤について、
当時案じていました。
プライベートブランドを利用したナショナルブランド企業のっとりみたいな話、
本書で読んで、なんでスティック糊やまるごとウィンナーパンにまで、
TV商品があるんだろうと、不思議に思っていたことの、
原因が分かった気がします。あらびきウインナーパン頑張れ。
昨日も、PBを利用した、下請けいじめのニュースがありました。

産経ニュース 2016.8.25 15:46
下請け代金6億5千万円を不当減額 ファミリーマートに勧告 公取委
http://www.sankei.com/affairs/news/160825/afr1608250022-n1.html
時事 2016/08/25-17:37
ファミリーマートに勧告=下請け代6.5億円減額−公取委
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016082500544&g=soc
ロイター 2016年 08月 25日 17:28 JST
公取委ファミリーマートに勧告 下請代金6.5億円を減額
http://jp.reuters.com/article/familymart-idJPKCN1100OG

【後報】
朝日新聞の記事は検索で見つからず。週刊朝日が出ました。これだったか自信なし。

■食品は適正価格で買うべき 土屋敦書評  2016年01月12日
http://book.asahi.com/reviews/column/2016012100001.html

(1)
まず、弁当の章、頁20「炊飯改良材」を知らなかったので、勉強になりました。
こんないいものがあるなら、家庭用に販売されてもいいのにと思いました。
過去の問題物質から、現在は油脂、酵素を駆使した改良材に切り替わってる、
とのことですし…
無洗米に入ってるわけじゃないと思いますが… そもそも、こういうモノが必要な人が、
コメを炊く習慣がないから、小売りされてないのかもしれないと思いました。
なんでもサトウのゴハン単位で換算する人がいますが、
レトルトカレーならサトウのゴハン一個半、など)
そういうところに合わせていくと、激安要なのは他で割高生活してるから、
というありきたりの結論にしかならないのだろうな、と思います。炎上JK。
しかし、Wikipediaなり厚生省なりにまとめがあるかと思ったら、
何もないのが薄気味悪い。

(2)
頁21「プリフライ」、これは、なんとなく予想がついてました。

Yahoo!知恵袋 2014/1/24 09:59:57
教えてくださいよく冷凍食品に書いてある『プリフライ』ってどういう...
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14119929224

(3)
外注で一括して大規模製造したほうが安く済む気がしてましたが、
頁24、物流センター使用料6%、ピッキングフィー3%、
センターまでの物流費3%もコストがかかるので、
店内で食材を回せるインストア弁当のほうが、弁当の超安値で釣って、
ほかのものも買わせるから赤にならない机上計算、安く出来る、
という話も面白かったです。日本語でおk
世の中何もかも前向き前向き、ドンブリオッケー強気で楽観的予測オッケー。

(4)
で、ここで、良心的な弁当屋さんが紹介され、爾後縷々同様の良心的なオヌヌメが登場、
巻末に一覧があるのですが、神奈川県がけっこうあってうれしい反面、
在京から全国を網羅するのも大変なので、あくまでこれは一部の参考資料、
くらいの気持ちがいいんだろうなと思いました。

(5)
頁35、上記のお弁当屋さんの自社農場が、有機JAS認証をとれるレベルで、
実際に申請中との文章。これは、ほんとならすごいが、有機JAS認証は、
非常に厳しい、というか、三ちゃん農業の農家が隣り合わせに耕作する地域では、
「ほかからの流入を防ぐ措置」なんてのが夢物語なので、まず取れない、
アグリビジネスの企業がほかから隔絶された環境を開墾して、
三年くらい無農薬有機続ければ、とれるかしれないので、
まあ企業有利な認証制度だと思っています。無論、日本のどこかには、
組合などがイニシアチブをとって、集落単位で一戸も欠けることなく、
有機JAS認定を狙うような、そんな、
ユートピアのようなソフホーズ地域もあるかもしれません。
http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/kikaku_26_yuki_nousan_160224.pdf
(6)
第二章のハンバーガーは、私はそれほど興味を引かれませんでした。
マクド業界標準基準フラッグシップになっているという話は、納得。
むかし百円マックが出た頃は、持ち帰りで十個買って家で五個ずつ食べたりしましたが、
もうそういうこともしなくなりました。バーガーキングに比べ、
マックは油脂が多いような気がしてましたが、そういう記述はないです。
バーガーキングは燻香がついている、とだけ。それだけの違いかなあ。

(7)
納豆豆腐に関してはもう書いたので… 小粒納豆より、大粒納豆のほうが、
美味しい納豆を作りやすいが、消費者は小粒を好むので、
激安は小粒に偏在する、という話は、なんかおかしかった。
自らまずくて安いのを志向する消費者マジョリティー。頁63。

(8)
第4章たまごは同感。相模原市は市街地に養鶏場がけっこうあるので、
SC相模原の試合観戦のついでなどに、鳥インフル流入を防ぐため、
外部完全シャタウトの養鶏場をけっこう当たり前に見れると思います。
そんだけ設備投資重ねさせられて、価格は物価の優等生であり続けろ、
なんて土台無茶な話。ちょっと頁は前に戻りますが、頁34、
たまごを割る機械「割卵機」、液状にした業務用食材「液卵」、
どちらも知りませんでした。中華料理店で芙蓉蟹用に、
毎日カラが入らないよう大量に割っていたのが、夢のようだウソのようだ。
同じものが頁99にあります→https://www.jpa.or.jp/stability/pdf/2013_06.pdf

(9)
頁107、豚肉鶏肉ほかの「インジェクション」「タンブリング」、
以前中国でよく、豚肉に注射器で水を注入してかさ増ししてた業者摘発、
なんてニュース見てましたので、ここで云う「ピックル液」だと、
日本でもかさ増しおkなんだな、法整備おkなんだな、と思いました。
これからトンカツ屋はよく考えて選ぼうと思います。
数少ない、外食で食指が動く料理なので… 
映画サタデーナイトフィーバーのトラボルタは、ペダル踏むと秤の目方が上る、
イタリア系肉屋のインチキに我慢ならず店を辞めたように記憶してますが、
もうそういう時代じゃないんですね。21世紀。

(10)
第6章お総菜、おばんざいは買わないので、今のところ、頑張ってけさい、
としか思いません。タイでソイ・パスティックを買うのは楽しいですが…
頁140のジャガイモの話はよかった。これはみんなやればいいのに。

(11)
第7章調味料。竹熊健太郎だったか誰だったかの、ジャンクフード以外、
ケミカル以外味の分からないモンスターに海原山岡親子が敗れ去る、
美味しんぼ最終回予想を思い出しました。私も、サラダ油になれてるので、
ナタネ油でないと味がなくてまずい、と言う中国人と、
油に味なんていらんのや、素材の味を油が殺したらあかんのや、油はワキ役やさかい、
淡泊な、味を感じさせないほうがええのんや、香りがほしかったらゴマ油足しよし、
みたく聞いたような口聞いて論争した思い出があります。

(12)

頁199 第8章日本の「食料自給率」と「食料自給力」を考える
僕の周りの生産農家はものすごい勢いで店じまいを始めている。後継者がいるという農家は非常に少ない。ここだけの話だが、僕は真剣に日本のどこか数カ所に農地を取得したいと考えている。可能であれば南(九州)と北(北海道)の2カ所に、拠点を持ちたい。(中略)僕は学生時代に80種類程度の野菜を栽培した経験があるし、土地と種があればなんとか食べていくだけのスキルはある

農機具と油も必要と思います。まあ、遠隔地二ヶ所なんて、
自分で耕作しきれるわけないので、けっきょく人を使う前提なんだと思います。
さすが元野村総研。こうやって書いてあることで、この人になら土地使ってほしい、
この人の下でなら小作やってもいい、という有志が現われると思いますので、
信頼関係を大切に、明るい未来を構築して頂ければ、読者としても幸せと思います。以上
(2016/8/28)
【後報】
>まず、弁当の章、頁20「炊飯改良材」を知らなかったので、勉強になりました。
>こんないいものがあるなら、家庭用に販売されてもいいのにと思いました。
⇒こう書いたところ、既に家庭用炊飯改良材は市販されていると教示頂きました。

全然関係ないけど、楽しんご、殴ったあと、どうしてるんだろう。以上
(2016/9/8)