『ローサは密告された』(原題:MA' ROSA)劇場鑑賞


下の日本版予告に比べると、やけに静かな上のInt'lトレーラー。

http://www.bitters.co.jp/rosa/
https://en.wikipedia.org/wiki/Ma%27_Rosa
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%81%AF%E5%AF%86%E5%91%8A%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F
甲府や信州、浜松の上映に行けばいいかと思ったのですが、
それが非現実的なアイデアであることに気づいて、
今日雨で時間が作れたので通常料金で見てきました。
アルテリオ最終日。原題の意味が分かりませんでしたが、
検索して出てきたフォーブスジャパン?の記事によると、
ローサの前の冠言葉は、「母なる〜」みたいなタガログ語だけど、
特に意味を限定していない、そうです。

Forbes JAPAN 2017年9月1日 14時30分 (2017年9月3日 10時46分 更新)
邦題をつけ字幕をつけ─ 「カンヌ受賞作」が日本で公開されるまで
http://www.excite.co.jp/News/economy_clm/20170901/ForbesJapan_17538.html

私はフィリピンに行ったことがないのですが、それは、
私はフィリピン語はマレー・ポリネシア語だと思っていて、
むかしはあまりそれがおおっぴらでなかったので、
インド=アーリア語族という定義が英国インド統治のための方便、
と同様、ボルネオとミンダナオ等フィリピン南部の共通点を隠蔽してる、
みたいな匂いを感じて、あー言語学は政治的なものだなー、
と思ってその風潮がイヤだったので行きませんでした。

マレー・ポリネシア語派 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%83%8D%E3%82%B7%E3%82%A2%E8%AA%9E%E6%B4%BE
オーストロネシア語族 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%8D%E3%82%B7%E3%82%A2%E8%AA%9E%E6%97%8F

あと、シンガポールを除く東南アジアで英語が一番通じるので、
白人天国みたいな話も聞いていたので、それもイヤだった。
まーフィリピンは東南アジアと言うよりラテンアメリカと考えた方が、
しっくりくると言う人もいます。元スペイン領のカソリック国で、
絶えずアメリカの影響を受けている国だからかな。

で、この映画見て、アイスとかプッシャーとかの単語以外に、
ありがとうをサラマッと言っていて、サラームなのか、
マレー語のスラマッなのかと思いました。でもテリマカシじゃない。

salamat の発音 タガログ語 Forvo
https://ja.forvo.com/word/tl/salamat/#tl
Selamat tinggal の発音 インドネシア語 Forvo
https://ja.forvo.com/word/ind/selamat_tinggal/#ind

なので、パンフ買ってフィリピンのお勉強しました。
パキスタン映画「娘よ…」見た時、パンフで後から、
考えの修正や補強をさせてもらって、大いに助かったので、今回も。

サリサリストアの品物をスーパーで仕入れる場面に、
まず驚いたのですが、実際そうらしく、高くバラ売りすることで、
利益を上げてるとか。中国人だったら絶対問屋街でまとめ買いして、
さらに仕入れ代値切るのに。何故そうしないのか。
仕入れ金がないわけでも、ないだろうに。

鶏の血を固めたキューブの串焼きを、ベータマックスと呼ぶのは、
ソニーのβビデオと色が似てるからだそうで、じゃー、
わりと新しい食材なのかな、いや、台湾や中国では、ありふれた、
むかしからある食材なので、う〜んどうかなと思いました。
中華食材は豚の血だったりしますが、清真なら豚以外の血ですし。
揚げたサバヒーは、パダン料理でも見た気がしました。
まーありふれた調理法なのか。

覚せい剤を日本語からの外来語のシャブとも呼ぶとパンフにありますが、
注意して聞いてなかったので、映画でそう言ってるかは分かりません。
この映画、覚醒剤以外麻薬出ないんですよね。一ヶ所、ガキが、
コンビニ前でトルエン吸ってる場面がありますが、それだけ。
最初から最後まで覚せい剤ばっかし。で、若者や子どもがいっぱいいる。
そういうところが、既に高齢化しつつある日本と、違うと思いました。
処方箋薬の濫用とかダウナー系でなく、ジャンジャン!バリバリ!
いきまっせぇ〜!!!!!!みたいな覚醒剤ばっかりってところが、
成長過程にある国家、社会って気がします。だから、金作の場面も、
日本だったらローサ70代くらいにしてオレオレになるんだろうなあ、
と思いました。警察が公然とワイロ要求して、家族一致団結して、
頼母子講からの前借とか売春とか質屋(たぶんイスラム系インド人、
 と思いました。ラジブって名前と、フンザハットから)とか、
親戚からの借金で、必死に金を作るところが素晴らしかったです。
長男が、家売ろうと言って、ローサ大反対、路上で寝る生活なんか、
絶対したくない!!!ここも痺れました。大金借金しても、
なあなあで人間関係凌ぎきれるだろうけれど、不動産等の固定資産は、
再構築出来ない、という怖さが見えたので。踏みとどまろうとする力。

パンフ 監督インタビュー
フィリピンでは、平日に捕まれば、麻薬の売人はすぐに刑務所に行きます。しかし、金曜の夜に捕まると、月曜まで警察に留め置かれる。なので、警察は週末にガサ入れしようとするのです。48時間の交渉の余地があり、金と引き換えに釈放することができるからです。

構造的に、ワイロでなんとかなる余地があるんですね。
映画の番宣は、ドゥテルテ大統領の麻薬戦争とその死者を絡めてますが、
監督によるとこの映画の構想ともとになる話を聞いたのは、
前大統領の時だったそうです。だから麻薬戦争あまり関係ない。
映画の中で、売人が警察上層のツテに助けを求めようとメールして、
相手から着信入ったところで、ご丁寧に登録名からそれが割れて、
捕まえた現場警察官がやりすぎ的に売人ボコる場面があります。
でも結局ワイロ要求するわけですが、売人、娑婆に出たらまた連絡して、
上層から所轄叩かれないのかな〜と思いました。途中で、署長が、
制服着て外出する場面がありますが、ネゴしに行ったのかもしれない。

パンフ 監督インタビュー
――警察署のシーンはどこで撮影したのでしょうか。
本物の警察署です。普段そこに勤務している警察官たちは、私たちが撮ろうとしている内容を知っていました。しかし、彼らは、自分たちのことだとは全く感じていなかったのです!マニラの警察署は住所不定の子供が大勢います。ちょっとした盗みを働いて捕まるのですが、家族がいないので警察に留まり、小間使いをしたりしています。よくあることなのです。

売人が思ったよりたくさんお金を持っていたので、
その金をガメた警官たちが、
パシリのガキにサンミゲルライトとチキン買いに行かせる場面があり、
麻薬科刑事たちの酒宴になるのですが、いつのまにか、
ローサの旦那のネストールもいっしょに飲んでいて、
ローサは男どもが飲んだくれているのをしり目に、
せっせと床にモップとかかけて掃除してる場面が一番笑いました。
ネストールは売りものをあぶって吸って?しまう髪結いの亭主なので、
その属性がよく出た場面だな〜と思って。

そう、この映画、マニラももうこんな雑然とした杂铺街はないだろ、
と思うくらい、私たちの考える貧困アジア的風景を撮っていて、
まだあるんだ〜と思いました。で、役者が演じてるからか、
フィリピンは上に行くほどスペイン系の顔立ち、と思っていたのが、
意外とみんな彫りの深い顔立ちで、で、初級なんとかの警官が、
サバンナの八木というか成宮寛貴みたいな顔立ちで、
三級なんとかの警官が長原成樹みたいな顔で、署長は、若い頃の、
神田正輝みたいな顔で、要するに、ヒラでない刑事以上がみな、
https://assets.rappler.com/9CA5744F400343D79E5CBE56C7D73D04/img/21F2BF4C91974FF7BF7C3BBF906554C4/ma-rosa-screengrab-005_21F2BF4C91974FF7BF7C3BBF906554C4.jpg
https://www.rappler.com/entertainment/movies/138846-ma-rosa-review-jaclyn-jose-brillante-mendoza
モンゴロイドっぽい顔立ちで、私に、フィリピン華僑は見えにくい存在、
とされるその階級がここにいるのか、あるいは悪役属性=華僑なのか、
と考えさせてしまいました。フィリピンの華僑はマニラに、
死者だけの住む本物と同じサイズの住宅を並べた街をもっていたり、
高学歴の中国人が人口過密の国内競争を避けてフィリピン国籍とって、
アベしんぞうさんが訪マニラしたときに謝罪と賠償の質問したとか、
そういう話は聞いてますが、実際どうなのかな、と思いました。
アキノは華人系でしたか、で、マルコスも、貴種流離譚で、
華人の血が入っていると頭よく見えるとかで、さだかでないのに、
華人の血が入ってると噂されたこともあったとか。なんか思い出しました。

この映画のオチもかなりすごくて、釈放されるかどうかが、
ネタバレになるので言えませんが、言えない時点でネタバレか、
という最後で、そこのローサの顔はパンフにバーンと載ってて、
何食べてるかはちゃんとパンフに書いてあります。
http://geoffreview.com/wp-content/uploads/2016/07/marosa-fishball.jpg
http://geoffreview.com/movies/the-passion-of-ma-rosa-2016
東南アジア女優初のカンヌ受賞バンザイ!!!以上
【後報】

新百合ヶ丘

雑貨を売る。
麻薬を売る。
それが日常。

第69回
カンヌ国際映画祭
主演女優賞受賞
〈ジャクリン・ホセ〉

マニラの無法地帯。
腐敗した警察も、密売する女も、
法の目をくぐりここで生きている。

(2017/9/26)