『 諸星大二郎 ―怪を語り、快を生み出す― 』(文藝別冊) 読了

読了と書いてますが、まったくの未読です。積ん読状態長し。
何か、2017年度下期の論功行賞でもらったクオカで買ったのじゃいか。
周囲では好評です。ひとつだけ言うとすると、星野之宣の新連載が鄭和とは啞然です。陳舜臣大人が晩年構想しておられた?ような、現実の中国に対するオルタナな中国、マニ教徒喫菜事魔の話になると胸アツなのですが…
陳舜臣アジア文藝館のブログを見たら、2018.06.11 Mondayの記事で、展示ちゅうの単行本未収録生原稿が、「酔いざめ日記」『まぜ酒』というタイトルで、個人的にヤラレタと思いました。
http://asia-bungeikan.com/

上は、神戸新聞のプレオープンの時の動画
以上
【後報】
とりいそぎ対談と、未収録呶々山マンガと、お蔵出し企画諸星大二郎責任編集ページを読みました。

頁46
 このたびは文藝別冊『総特集 諸星大二郎』増補新版をお買上げいただき、ありがとうございます。前とほとんど同じ内容なのに描き下ろしを加えただけでまた同じ本を売ろうというあくどい商法にもかかわらず、また買ってくださったお客様には、特に厚くお礼申し上げます。

前の文藝別冊は図書館に寄贈して、開架されてるのを確認してたのですが、こうなると、ツタヤ図書館でもないと二冊併蔵はしないでしょうから、今回のは自宅にため込むつもりです。

編集後記によると、文藝別冊史上最も厚い本だとか。

対談は、ひたすらおそろしいです。人間この年になると本当にこわいものはないですね。お互い息子さんがどういう仕事をしてるのか宮崎吾郎で、ノホシの息子さんは父親のアシストだとか。市井の人間にアシストを頼んでいたが、その人の今後の人生を鑑み、独り立ちをキックするにあたり、じゃー次は息子でいいっしょ、みたいなことだったとか。かつてさいとうたかをプロの、銃器専門アシさんの、さいとう本人と幾つ違いなのか生涯いちアシで妻子とか養えていけたのか、みたいな感想を視聴者に抱かせるインタビューをテレビで見たことありますが、そういうことは大変だなあと。かたや音大出の鯤じゃなくて鳥のほうさんは、手塚るみ子主催「二世の会」に取り込まれつつあるとか。おそろしい。
山口県から来るアシの人の話は、私は初耳でしたが、狭い社会なので、旧ミクシィとかでは常識なのかもしれません。
諸星大二郎のすごさというか、謎を謎のまま解かないといわれるわりには、地図の謎解きは加門七海さんもしょっちゅうやってる、水木しげるの妖怪絵は、鳥山石燕なんかを参考にしてるのは分かる、オリジナルはねずみ男くらいではないか、など、解けるもの、出典を説明できるものは即座に出来る箇所に舌を巻きました。えーと、えーと、あれはなんだっけ、で、編集が助け舟を出しているのをリライトしてると思ってもそれは自由ですが、知識の引き出しを自在に出し入れ出来るレベルであえて謎をそのまま提出して来る、読者に突き付けてくる、というふうに解釈したほうがよりいっそうファンの多幸感が高まるです。
星野さんが回想で、一部記憶違いがあるかもしれませんかとの前置きで、手塚治虫漫画賞受賞時、萩尾山岸美内等錚々たるメンバーが少女ファンのように行列してサインをもらっていたのを見て妬けたというのも、よかったです。袋の中の一場面、肩幅のない主人公が壁ドンする場面、思わず後ろに後ずさって自分の肩が壁にドンする場面、もし女性が殺到して来たら、そうなるのが若い頃だったのではないか、その後成長して斉天大聖となって、衆生の恨みを晴らしてくれているんだなあと。以上
(2018/7/2)