元住吉 七月
そういうわけで行ってきました。最初、すごい席埋まってるなと思ったのですが、二階席もあって開けてたみたいで、二階がどれほど埋まっていたかは分かりません。一階は、立錐の余地もないほどではありませんが、前から詰めるようにして、空席アテンダントのスタッフがどんどん空席紹介してたので、きれいに埋まってました。こういうの、大宮など、サッカーでもよく見るのですが、フロンターレ、やってそうで、どうだったか覚えてないです。川崎はほかにもスポーツだけでもブレイブサンダーズやらなんとかロケッツやらあったはずなので、空席探しスタッフを置く文化が根付いてるのかもしれません。
左の写真はぶれてるのでちっさく貼ります。帰りの南武線に、長瀬智也が女性シンガー?の見たことある人と、川崎の高出生率をアピールする動画広告が流れてました。六時二十分開場で、三十分から吉永小百合一部アテレコのPMS灌漑DVD上映で、そこでまず観衆に概要を知ってもらい、七時講演会スタートという流れでした。主催者の川崎国際交流関係の団体の挨拶もありました。
七月に私が買った前売り券は199番。始まるまでえぽっくナカハラの隣の中華で軽く腹ごしらえしましたが、特に感想はありません。写真も撮らなかった。台風で、上陸通過まで仕事してたのはいいとして、その間の機器のトラブルとかから鑑みて、再開どうでしょうというところで、台風一過のフェーン現象の猛暑下で、今度は出勤者が陸続と渋滞や交通機関のアレで未着の中残業して、今度はお客さまの同様の条件から来るクレームやどなられに頭を下げ続けるという、真摯に受け止めるものは真摯に受け止めるとして、お笑い漫画道場みたいないちにちの終盤でしたので、砂漠が緑に変わるスライドの天丼みているうちに舟をこぎ出してしまい、「灌漑が成功して、終わりではないんです」のあたりから寝てしまいました。
世界で唯一の激レアグッズ!真夏は銭湯がアツイ!!「大田区&川崎市の銭湯でスタンプ3個集めて!」大田区、川崎市の銭湯でしか手に入らない激レアグッズをゲットしよう! 大田区
終わった後は、武蔵新城の、昨年夏にリニューアルして一周年を迎えたという銭湯に行って、多少なりとも体力回復につとめましたが、その後小田急が人身事故で新宿から経堂まで運転見合わせでダイヤが混乱したこともあって、それとは関係なく冷たいものを飲みすぎ、夏バテ気味です。今回の講演では、まず中村医師が表題を見て、砂漠を緑化したのではなく、砂漠化してしまった農地を緑に戻したというのがコレクトですと言ってました。寧夏回族自治区で一時期日本が支援してやってたけどこれも諸般の事情から中国ではアリバイ以外報道されなかった砂漠緑化事業とは、違うということですね。
カレーズ(枯れえず)なのに枯れる、などの駄洒落あり、パキスタンのフンザなんかにもあってあちらでは観光資源として素晴らしい一望になってる、山岳斜面散居のスライドと実際の交通の不便さの紹介あり、私が小川町でパネルを拝見させて頂き、本でも読んだ蛇籠や取水堰の話ありで、一時間ほどの講演時間でしたが、五分以上オーバーして、大拍手の中終了しました。
で、その後、一時間も質疑応答の時間がとられていて、少し押しましたが、それでも五十分以上質疑応答で、十人ほどの方が質問されてました。事前に知ってればここの過去の日記に書いてたこと読み返してたのですが、完全に頭真っ白でした。質疑応答見てるうちに、聞いてみたいことは出ましたが、別に私はペシャワール会の会員で身元も素性もあちらに分かっているので、そっちに手紙書けばよいことです。質疑応答の直前に、最初なに言ってるのか分かりませんでしたが、「言ってることとやってることがちがうじゃねーか」と野次飛ばして帰る人がいましたが、「おこらないからなんでも質問してください」と主催者が言ってたので、その人は質問すべきだったと思います。言いっ放しで帰られてもね。でもそうなると主催団体のスタッフはめんどくさいか。
いろんな質問がありましたが、回答の中で、質問がそれを聞いてなくても、アフガン伝統社会、回教、タリバンによる原理主義政権の社会にたいする批判の回答が織り交ぜられてたりしました。具体的に一つ書くと、例えば、女性労働が認められないので女性医師が活動出来なく、女性は家族以外に肌を見せられないタブーの状況下で、女性が男性医師の診察を受けることの可否。表のルールと裏のルールがあって、杓子定規に夫や男性家族以外が触れることNGで女性患者が死んだら男性家族がとっても悲しんで困りますから、彼らが立ち合いでおk出せば診察おkという実戦に基づく回答が、ありました。
あと、タリバンという集団自体への価値判断。ここは直球で質問がありました。イスラム自体の偏見は日本ではあまりなく、しかしISやアルカイダやタリバン、ボコハラム等、過激な連中についての知識は玉石混交で流布してるので、よい質問だったと思います。あくまで医師が接した人々、その政権の治安維持の手際のよさ、という面が回答では語られました。東部でしか自分は見聞きしていないと言われていたので、西部のハザラ人地域でのマサックゥルについての真偽に対し、立場を表明したのだなと思いました。どんな組織にもいい人間と悪い人間はいるもので、自分は、タリバンの中でも、いい人間、穏健な人たちに助けられてここまで来たのだと思う、と言われていました。スライドでマドゥラサ(神学校)建設が映り、難民キャンプの神学校が殉教者や聖戦士などの狂信者養成機関と化してるなどのルポもありますので、「難民キャンプでない、本土の農村地帯でのモスクとそれに併設される神学校の再建」という位置づけなんだろうけど、さらっと流してるなとも思ったので、質疑応答があって、よかったです。
PMSの基本方針として、現地の文化に対し価値判断をしない、すると、悪い外国人の例として、いいだの悪いだの、遅れてるだの進んでるだの、けしからんだのこうすべきだのが出てくるので、しないということは今回の講演でも最初に語られてますので、その中で、「しかしこれは惡でしょう」的なところを言うのは、なかなかセンシティヴだが、避けては通れないだろうなと思いました。中村医師はキリスト教徒ですが、イスラム教は、一般的には同じ経典の民ということでほかの一神教も認めてると、マルチカルチュラルの側からは擁護的プロパガンダがあるが、コーランほかをよく読むと、認めてるラインはたいして高くなく、イエスやマリアの定義からしてキリスト者には譲れなかったりするし、その点でキリスト教批判も多く回教側では書かれてる、とこないだ教会の講演で聞きました。別に論争するつもりはなくても、知っておいてもいいこととして。仏教はもっと悲惨で、否定されてる偶像崇拝がまず攻撃の対象ですから、私もイスラム教信者が巡礼してるのに会った時、仏教批判一席ぶたれたことありますが、別に傷ついたりはせず、その話を米国の大学出た邦人女性に話した時、なんて失礼なの、とその人がいきりたったことのほうが理解不能でした。何が言いたいかというと、PMSもファナティックな原理主義者とかからふっかけられることもあるだろうし、それで不快な思いをすることもあるだろう、それについてはどう感情を処理しているのかな、ということで。アフガンの山岳地帯は政府支配も及ばないが地元警察も精神病院もあるというから、そっちで解決してる…わけでもないだろうし。地図で、チトラール、フンザといった、回教以外の少数民族地帯で、現在はイスラム教の布教活動と、それに従わない住民へのバイアスが強いと一部で報道されるような地帯も書かれていたので、そっちに対するまなざしをもって、アフガンのムスリムを支援するだけでなく、パキスタン側のパシュトゥーやパンジャブやスィンドの原理主義者の、非回教徒への仕打ちにも声をあげるべきではないんですかという声に対し、どう対応してるか聞きたい気も、後からしました。でも答えはもうある気がする。
ほかのNPOをボロクソに言うのは、特に井戸掘り時代、カタチだけ水の出ないあるいはすぐ枯れる井戸掘って、援助金だけむしりとる海外NPOや、現地の情勢を正しく伝えず、大国のプロパガンダに従って、さっと逃げる海外NPOに対し、さいさんその都度、口を酸っぱくして本に書かれてたですが、今回の講演でそういうのはありませんでした。人間がまるくなったのか、あるいは、現在の日本をどう思いますか、という質問(かつて国会でタンカ切った人だから、快刀乱麻にぶったぎってくれるれいわ新選組的な?口舌を期待したのかもしれません)に、世界的にも言えることだが、簡単にキレるしとが多くなった、と言っていて、逆にいうと、それを反面教師として、おだやかに行こうとしてるのかとも思いました。PMSが井戸から灌漑に移行した際対象地域は変わったのか、移行後井戸とその維持保守状況はどうか、という質問もあり、本を読んでも分かるそうですが(そういう野次があった)真摯に言葉を選んで答えられていました。トップバッターがいちばん専門的な質問で、水利争いとその調停についてで、回答の中で、日本の用水より河川規模が大きいので、仲は悪いが、日常でトラブルが起こるくらい密接な頻度で接触する近さに暮らしていない、という話が、いいなーと思いました。
で、そう、話を戻すと、アフガンといえばある人たちにとってはソ連侵攻ではなくアメリカなどの空爆なので、トランプについてどう思うかみたいな質問をまあまあしようとしてる人もいましたが、これはネトウヨが崇拝してる人に韓国についてどう思うか聞いてカタルシスを得たいみたいなことと同質な感があるのかないのか、答えは拡散して明確になるはずもなかったです。こないだあるはてなブックマークで「アベアベ言ってる奴と韓国韓国言ってる奴は精神構造がいっしょ」という、至極的をついた意見があり、昨日もそれを思い出しました。
でもじゃあ何か自分はやってるのか、やるのかという所の免罪符として、わずかな金額でも、なにがしかの団体を支援するという方法をとる人は今後も増えると思います。それが、PMSというのは、別に私は悪いことはないと考えてます。事務局ボランティアに、何か別のことで稼いでるので時間を使える半グレが大挙「俺もそういうことに関心があるっすよ」といって入りこんで組織が変容して、海外の灌漑事業にかつて二十億円もかけることの出来たその資金力が狙われてダメになるとか、そうなったら考え変えますが。
そう、唐突に、医師が、今までアフガンで医療行為から井戸掘り、灌漑と事業を変えて来たからと言って、今度は突然、「中国を支援するとか、そういうことはしません」と言って、会場凍りついてました。前後の文脈と外れてたので、吃驚した。誰か、中国もドウデスカ、とか言ったのかなあ。GDP世界二位の国をどうこうするったって、人権問題と民主化、少数民族問題とか、そういう「政治」マターしかないだろうに。中村医師の、人間は(物理的に食料の供給が持続されて)食えるようにならないと、幸せのいとぐちはつかめないという考えからは、中国出てこないと思う。
むしろ中国の団体とかが、一路一帯の一環として、PMSに資金提供とか持ちかけてヘゲモニー握ろうとするとか、そういうことのほうがあると思います。ハングレと同じくらいの確率であると思う。高野秀行『イスラム飲酒紀行』アフガン編で出てくる飲酒スポットも、チャイパブというか、中国人経営の、中国人のお姉ちゃんがつくカラオケ、KTVだし。(これと講演であった、アフガンの売春の話は、まったく違う話です。講演で言ってたのは、朝日新聞社刊『カラシニコフ』で、ソ連時代、砂糖で現地女性がカラダ売った話の延長線上)パキスタンのカラコルムハイウェイは、中国人民解放軍が作ったし。カラチの軍港は、人民解放軍海軍が潜水艦寄港地にしてるとかしてないとかだし。
そう、ふと思ったのが、医師が、タジキスタン側から、あるいは、パキスタンでもバロチスタン側から(カンダハルのほう)、イラン側から支援してて、パシュトゥー語圏でなく、別民族の支援になってて、ペシャワール会でなく、ドゥシャンベ会とか、ザヘダン会とか、クェッタ会とかだったら、その後はどうなってたろうと。ペシャワールほど地名が知られてなくて、インパクトがないというのはあると思います。ドゥシャンベとおしゃまんべの区別がつかない、みたいな。そういうこと、医師は考えたことあるのか。聞いてみたいことは、後から思いつく。
そして、今回の講演で、ナマの肉声音声で初めて「カーブル」聞きました。生カーブル。私は「カブール」派なので。中村医師は「カーブル」私は「カブール」以上