西南官話は中国語の方言の中で話者人口が最も多く、使用地区の面積も最も広い方言である。統計によれば、西南官話の話者人口はおよそ2億人で、全国の人口の5分の1を占め、北方方言(官話)の話者人口の3分の1を占める。
そんな簡単に言い切っていいものかという。
しかし、これと〈洗澡〉のみふつうの発音で、あと方言にしか聞こえませんでした。貴州方言は北方方言ですが、NHKドキュメンタリーで見る農村取材同様、訛りがきつくてぜんぜん分からない。ぜんぜんということはないか。でもきびしい。後半、蕩麥に登場するふたりの女性は、現地人ではないだろうので、付け焼刃のことばというか、ふたりのことばと、二人と話すほかの人のことばは分かります。分かるというか、字幕があれば想像がつくレベルですが、それが、老女医とかだと、けっこう厳しい。
というか、ここまでの映画と思いました。ポップでキッチュな部分は、野人と、時計くらいか。あとは例の、韓国行って「鯨捕り」でも観て来いよ、みたいなやさぐれ男のマロンばっかし。一発撮りの、ストリートビューというか、私が見ないユーチューバーの動画のすごい版みたいなものを除くと、なんちゃないかんじ。
何故これがそこまで高評価されて、次の地球最後的夜晩が初日だけで41億叩き出すとかそういうことになるのか、誰か説明してほしい。かいもく分からない。鬼滅の刃は三日で43億。地球最後的夜晩は一日で41億。別にジンバブエの通貨で話してるわけでなく。
監督の幼年時代をなぞってる部分が大きいとすると、中国では、親の仕事の関係で、親と離れて成長した経験のある人は多いでしょうから、その中で、売られる不安を持ったことのある人がそんなに多いのかと云うことも出来るのかなと。
監督の幼年時代だとすると、まだまだビリヤードで、スマホがないのもそういうことですかと。ただ、モータリゼーションは、監督の幼少期より現代に近いと思います。道路整備など、交通インフラの発達も。スマホのない時代の貴州の県城郊外が、こんなにキレイなアスファルト舗装で、廃棄中古車がこんなに多いかなと。
監督が出てる場面は気付きませんでした。
こうやって海外のポスター見ると、ヨッパライ犬を前面に出してるな、と。あとイルカ。中国では豚は猪ですから(韓国もベトナムも)豚という漢字が現存してる日本は珍しいわけですが、イルカは海猪と書かず、やはり中国でも海豚と呼ぶわけなので、奇妙といえば奇妙です。フグも、河猪でなく河豚ですね、あちらでも。たしか。
中国の河川のゴミにはかなりの確率で布靴が沈殿していて、天然温泉♨に行くと、入浴するすぐわきにスニーカーが捨ててあったりしました。
過去だとすると、爆竹禁止ってそんな前からでしたっけ? と、今ふと、思いました。
「二重生活」という中国映画を観た際、中国の高速道路わきで、死んだ女性を弔って、身内が紙銭を燃やす場面があったのですが、あれはまだオッケーな頃じゃないのかなあ。地方の幹部子弟が交通事故起こしても権力でウヤムヤにしてしまうことに対して暴動があってそれの動画が流出してた頃、それを意識した場面。
ということも含めて夢なのか。深く考えてはいけない映画なのですが…
『二重生活』(原題:浮城谜事/浮城謎事)(英語タイトル:Mystery)劇場鑑賞 - Stantsiya_Iriya
画像検索結果を並べると、実に多種多様な宣伝素材作ってたんだなと分かります。こういうのバンバン作れるのも強みかと。宣材を見て、この小道具に着目してほしいのかと考慮すると、まず、ミラーボールは分かりますが、わりと短期間の流行だったと思うので、貴州ではそんな長く流行ったのかと思いました。ブラウン管テレビは、ご愛嬌としか。あの型のスクーターと同時代なわけないだろうと思うのですが、どうか。だるまストーブは、今でもあるでしょうから、特になんも。
ヨッパライのこわれた人が廃車で運転ごっこしてる場面。この人、酒屋でポリ容器で两斤、いちリットル白酒買ってツケてますが、ぜったいそんな入ってない容器もらってますよね。騙されててももう分からない場面なのか。ちゃんとした壜でなく、ポリ容器なのは、工場に行って直に詰めてもらうと安いので、中国の地方県城では退休老人がよくそうやって工場に行って酒買ってると思います。私はこないだ、某神奈川県の森永のジャンボチョコモナカ工場に行って小売直売してないか聞いたのですが、してませんでした。そんなこと聞きに来る奴は相当いかれてるのかもしれない。
文革時代の恋人だそうで、もっと前の時代、中国学者の駒田信二さんが戦争中スパイ容疑で拘束されたのも貴州ですので、そういうネタでもいいけど、それだと検閲がアレなので、監督は危ない橋は渡らないだろうと思いました。
「凱」を「がい」と読むのは慣用読みで、漢音でも呉音でも「かい」だそうですが、しかしなあ。
フロンターレに神谷凱士(かみや かいと)という選手がいて、大坂には石田凱士(いしだ かいと)というレスラーがいて、宮崎に「凱」と書いて「かい」と読ませる居酒屋があるのですが、しかしなあ。「凱士」は、「士」を「と」と読ませるほうにも引っかかっちゃうのですが、う~ん。「土(つち)」でなく「士(し)」で「と」う~ん。「人」ではダメだったのだろうか。「凱人」う~ん。福士蒼汰は「ふくと そうた」じゃないので、う~ん。
鎧袖一触とこんがらがって「凱」を「がい」と読むようになったのかなあ、と勝手に思ってます。でも「鎧」の「がい」も慣用読みとか。
天台宗の開祖が智凱という名前だと検索で出たのですが、コレクトではないようです。
正しくは、違う字でした。「凱歌」で「凱旋門」なので、どうも日本語では「凱」は「がい」と読みたい。逆に、北京語では、これはもう「カイ」と読むしかなくて。
中国でカメラのフィルム買ってた頃は、フジやコニカより安い中国産の〈乐凯〉フィルムのお世話になってましたので(写真は血迷ってすべて捨てましたが)どうしてもルーカイのイメージが強いです。
カイリー・ミノーグも中文ではこの字。
ハイアットリージェンシーが「カイユエ」なのは多少違和感。
サービスデーで、観客九人でした。みなさん満足されたでしょうか。
姜文の尋槍も貴州方言だそうで、そうだったのかと。湖北とか、そんなんだと思ってました。この後、方言映画ドラマは一時期冬の時代が来るんですよね。
以上
【後報】
何故か、地球の歩き方はじめ日本のガイドブックでは、ここは凱里でなく、凱裏でした。地図の火車站は「凱里站」なのに、県の名前は凱裏。なぜだろう。読み方はもちろん清音の「かいり」でなく、濁音の「がいり」
この映画でもよっぱらいの犬とミスターコルサコフが登場しますが、貴州省はマオタイ酒の産地であり、白酒の蔵元が一万以上あるそうです。蔵元巡りすれば酒で死ねると思う。冗談でなく。茅台酒は毛沢東が愛したことで有名ですが、中国南方は蒸留酒の白酒でなく、醸造酒の黄酒が多いという先入観がありますので、最初はなかなか貴州が白酒の産地という事実に頭が追い付かないです。考えてみれば、官話を話す地方は、白酒文化の地域と分布が重なるのかもしれない。
で、気になったので、諸橋大漢和の「凱里」も覗いてみました。やっぱし濁音の「がいり」 権威にすがるわけでなく、慣用読みであっても、市井に浸透していれば、それが優先されることを確認したということになります。今回検索する中で、「害」も「蓋」も、漢音だと清音の「かい」となることを知りました。濁音の「がい」は同じく慣用読み。でも、どちらも「かい」とは読みたくないですよね。それと同じことかと。「茶」を「ちゃ」と読むのも慣用読みで、漢音呉音だと「さ」「だ」だそうですが、喫茶の習慣自体が宋代以降なので、漢音呉音で読むことはすなわち架空の、フィクションに属する事項ですから、別の話とします。
(2020/10/22)