『ごみ』གད༌སྙིགས།"Garbage" ཚེ༌དབང༌རྣམ༌རྒྱལ། Tshewang Namgyel 才项南杰 / 『チベット幻想奇譚』བོད་ཀྱི༌འདྲེ༌སྒུང༌ངོ༌མཚར༌གཏམ༌ཚོགས། "Tibetan Fantasy Tales"より 読了

チベット幻想奇譚|星泉 チベットの現代作家たちが描く、現実と非現実が交錯する物語

装画・扉絵 蔵西 装釘 宗利淳一 ←クギの字を使った「装釘」は、暮らしの手帖などに使われていると、ほかの方のはてなブログで拝見しました。

収められている十三の短編の、一個一個の感想の、十二個目。第三のチャプター「Ⅲ現実と非現実のあいだ」カテの作品。星泉サン訳。初出は「ダンチャル」《章恰尔》2016年。邦訳初出は書肆侃侃房「たべるのがおそい」vol.5、2018年。

「たべるのがおそい」vol.5|文学ムック たべるのがおそい|書籍|書肆侃侃房

打ち込んだ原題があってることは、Wiktionaryで確認しました。

གད་སྙིགས - Wiktionary

著者の漢語名で検索したら、この小説の漢訳も出たので、貼っておきます。自撮りみたいな写真つき。本人でなく、別の人が訳してます。2017年。

短篇小说:垃圾(才项南杰 著 旦正加 译)_藏人文化网

富士山頂並みの?標高のラサにもスモーキーマウンテン的な場所があって、もともと巡礼が物質的に豊かな都市にとうちゃくすると、幻惑されて安易に物乞いになってしまう現象があるので、その結果、ゴミ拾いを生業とする連中がやっぱり出現するのかという話。今これを書くにあたって、フィリピンのスモーキーマウンテンはぱっと名前が思い浮かびましたが、タイのバンコクのそういう地区の名前が思い出せず、クロントイであることを検索で確認はしたものの、クロントイが夢の島だったのははるか昔で、今は別の地区で、スラムの住民も流入したミャンマー人主体になってるとか。

この小説は、それで遺棄嬰児、生きてる赤ちゃんを拾ってしまうという展開です。以前見た、深圳と香港を行き来して通学するJKの映画同様、何かよろしくない場面をブツッと切られて、それをそのままにしてる感じ。そういうのをとりつくろわず、あえてそのままにして公開するムードがあったのでしょうか。

stantsiya-iriya.hatenablog.com

しかし、ふつう捨て子を拾ったら届けて対処してもらえるはずの、おかみの機関、公安や保険保健施設が、どこへ行ってもああだこうだの屁理屈で不受理の連続という不条理ドラマを、サラサラ描けているので、ペルソナ・ノングラータ(好もしくない人物)ならぬイクスプレッシオ・ノングラータ(好もしくない表現)というわけでもないのだろうと。なんでオチをこう、ブツッと途切れさせたのか、知りたい気はします。

前にも書きましたが、私は甘粛省は河西回廊、万里の長城の西の果て、嘉峪関で、ゴミ捨て場みたいな空き地に嬰児の遺棄死体を見つけたことがあります。同行者たちと公安に届けて、まだ若い公安の人たちが、動揺しながらもお礼を言ってくれました。なので、赤ちゃんを屋外にほっとくとどうなるかは分かりますので、それ以上何も言うことはありません。以上

【後報】

私が打ち込んだ『チベット幻想奇譚』の、チベット文字がいちぶ違ってるとご教示頂きましたので、つつしんで訂正します。まだほかにもあるんだろうなあ。

✖: བོད་ཀྱི༌འདྲེ༌སྒུང༌ངོ༌མཚར༌གཏམ༌ཚོགས།

○: བོད་ཀྱི༌འདྲེ༌སྒྲུང༌ངོ༌མཚར༌གཏམ༌ཚོགས། 

 

トッホッホ。(2022/11/16)