表紙はサヨリのティラディート"TIRADITO DE SAYORI"
ティラディートはセビチェの一種で、薄造りを平たく並べてソースをかけた料理で、「カルパッチョのホットソース」と欧米では言われるとか。上のスペイン語ウィキペディアでも、英語版ウィキペディアでも、日系人の刺身のお造りの技術から来た代表的なニッケイ料理としてますが、包丁技術に関しては日系が関与した洗練はあるものの、料理自体はその前からペルーにあったとするのが本書の視点です。ビスコという港町の、ベヘレイという日本の藤五郎鰯に似た魚のティラディートが有名なんだとか。セビチェはふつうサルサ・クリオージャ"SALSA CRIOLLA"という赤玉ねぎを軽くマリネにしたものを使うけれど、ティラディートは伝統的にそれを使わないそうです。レシピと写真を見ると、茹でたユカ(キャッサバ)とチョクロ(ジャイアントコーン)が添えられていて、ペルーのほっそい葉玉ねぎ"CEBOLLA CHINA"代用の万能ねぎが散らしてあります。書いてないですけど、サヨリのチョイスはシェフである荒井サンのセレクトと思われ*1ソースをつくるボウルは金属製でないことなどの注意事項もレシピに盛り込んであります。全編こんな調子。
調理アシスタント 仲久美 徳田留美 撮影 天方晴子 デザイン 中村善郎 編集 木村真季
著者の荒井サンは、日本で十年ほど料理の世界にいた後、今まで誰もがメキシコ料理と思っていた料理が、実はアメリカのテックス・メックスと呼ばれるジャンルの料理であると料理本を読んで知り、衝撃を受け、その料理本の著者同様本場のメキシコ料理を学ぶため、まずスペイン語を身に付けようと日本の日系ペルー人経営レストランに入り、そこで今度はペルー料理に衝撃を受け、2003年ペルー渡航、孤児院の給食づくりから始まって、首都の名店、定食屋、海のホテルなどあちこちで修業し、2005年新橋にお店を出し、2014年本書を出したそうです。ホームページを見ると、来年、二十年近く続いた新橋から湯河原に移る予定とあり、なぜデビット的と思う一方、もともとハマの人らしいので、神奈川に戻ってきて、しかもME-BYOのほうに住むんなら、それはそれでいいことと思いました。
「荒井商店」という店名からどの程度のペルー料理というのが全く想像出来ず、グーグルマップに載ってるお店の写真のなかの、かわいい日替わりメニューの紹介と、お店のサイトの予約制の個別コース料理メインというこだわりと、本書の本格的な記述と、23区内や千葉だとどこにあるのか知りませんが、在日ペルー人コミュニティとの距離が脳内でうまく線が結べず、まだそのままです。先週十条と西小泉のあと、ここに向かえばよかった。
荒井サンによると、「コミダ・クリオージャ」"comida criolla"(クレオールフード)といったカテゴライズで都市部のペルー料理は語られ、コンキスタドレスとインディオ文化の融合、フュージョンの文脈でペルー料理は語られるが、主体はアフリカ系であるとしています。中国系のチファ料理やタヤリン(パスタ)のイタリア、日系はさらにペルー料理をバラエティに富んだものとしたが、原点は黒人が持ち込んで発展させた調理法が主体だそうで(頁3)それってこれまで読んだ本(あまりペルーの食文化について書いた本ってないのですが)にはない視座で、とても新鮮でした。
ただ、頁137の写真の、タマーレス売りのオバチャンなどが、荒井サン的には黒人であるなら、少し私と違うかなと思いました。私はむかしペルー人女性をタイ人女性とまちがえてアメリカ人から「失礼ですよ」と言われ、なぜタイ人だと失礼になるのか今でも納得いかないのですが、そんな感じです。南インド系の人も黒人には思えなくて、色が黒いだけでなく、ネグロイド的な特徴がないと黒人という感じはしないので。
ペルー代表でいうと、こんなかなあ。
タマーレスは、大和のペルー料理店で食べたことがあり、ここではカウサ・レジェーナという料理も食べていて、どちらもペルーを代表する料理とのことなのですが、鶴間に一軒(もうないです)八王子に一軒、本厚木に一軒、愛川町に二軒、大和に二軒ペルー料理店があって、愛川町のもう一軒は行ったことないのですが、行った店の範囲では、大和の一軒にしかこのメニューがないです。愛川町でも、ときどき外注で出すそうで、作れる人が町内にいるのは間違いないのですが、手間がかかるからか、でっくわしたら吉みたいな感じで。
タマーレス。本書では頁58。「とうもろこしのちまき」としていて、丁寧に包み方を十枚も写真を使って説明しています。"TAMALES"
カウサ・レジェーナ。本書では頁48で、蟹とアボカドを使った冷菜に仕立てています。"CAUSA RELLENA DE CANGREJO"
「男子厨房に入る」略して"dancyu"という、あまから手帖の二番ナントカやろ~的雑誌にも荒井商店のカウサレジェーナが載ってました。ダンチュー1991年創刊、あまから手帖1984年創刊。
私がこれまで行ったペルー料理店は、レストバー的な店と日系的な店に分かれていて(両者を兼ね備えた店、沖縄移民子孫のマスターのレストバーもあるそうですがまだ行ってません)後者ではいちげんさんというと、まずロモサルタードをすすめてきたものですが、荒井サン的にはペルー料理はまずセビチェになるようで、調味料や野菜の説明のあとは、まずセビチェ。圧巻の十六種類セビチェ大行進です。荒井さん曰く、「ペルー料理のアイコン」"CEVICHE, UN ICONO DE LA COCINA PERUANA"だそうで、コシーニャってブラジルだとコロッケじゃなかったけ、と思いましたが、"COCINA"はコシーナで、コシーニャは"COXINHA"でした。
セビチェづくりの極意がおしみなく紹介されていて、赤玉ねぎは伊達じゃないとか、あるペルー料理店でセビチェを頼んだら、まず倉庫にサンキストのレモンジュースのパックを取りに行き、そのあとおもむろに厨房で、という動きが丸見えだった、とかを思い出しました。
白身魚のセビチェ、"CEVICHE DE PESCADO"から始まり、もう私はペスカドと言われるとカジキのことだと思い込んでたのですが、白身魚もペスカドらしく、なるほど~と思いました。
八王子。
今はなき鶴間の、店主のお名前が船戸サンのお店。
大和の、タマーレスのあるお店。
テーブルシートでもろわかりの中津。
同。ランチセットのつけあわせ。
大和。スポセンのほうの店。
セビチェの汁を、レチェドティグレ、"leche de tigre"虎のミルクというそうで、滋養強壮にいいらしく、ペルーにはそれに特化したカクテルもあるとのこと。
汁ではないのですが、寅年の年賀状に上の写真を使いました。で、西小泉のペルー料理店には、なぜかこぞって、レチェドティグレがメニューにあります。よほど気に入ってるのか。私は頼んでません。
巻頭にも書いた、サヨリのティラディート"TIRADITO DE SAYORI"はサヨリが荒井サンの創作素材、まだ食べたことありません。
ここから後報で、2023年1月31日よりちょっと前に鶴見、2月12日よりちょっと前に本厚木でティラディートを食べたので載せておきます。
TIRADITO🌶
白身魚に特製クリームソース掛け
Fine slices of fish, marinated in a special sauce (Aji Amarillo and lemon)
Served with Choclo, Canchita and sweet potato.
クリームソースというと、マイルドな印象があるので、ここの、アヒ・アマリージョもしくはサルサソースは特製スパイシーソースとでも書けばいいのに、とお店の人に言いました。
魚はカジキかなんかで、セビチェと同じだそうですが、念願かなって、食べることが出来、よかったです。
本厚木のティラディート。暗いのでこんな写り。
そんな薄造りでもなく、鶴見のほうがスパイシー。でもチョクロ(ジャイアントコーン)はこっちのが豪勢に盛られてます。ここまで後報でした。
ムール貝のカジャオ風"CHORITOS A LA CHALACA"もティラディート同様、セビチェとは呼ばないが、こっちはティラディートと違い、盛り付け以外ほとんどセビチェだとか。
愛川にて。他の店にもあると思います。
ここから、私の知らない怒濤のセビチェで、「エビの温かいセビチェ」"CEVICHE CALIENTE LANGOSTINOS A LA PIEDRA"温かいって、どゆこと、と思いますが、山岳地帯アレキパの料理だそうです。エビって、手長海老なんかの川海老でもいいのだろうか。「キノコのセビチェ」"CEVICHE DE SETAS"「ウニのセビチェ」"CEVICHE DE ERIZO"「鴨のセビチェ」"CEVICHE DE PATO"「豆のセビチェ」"SOLTERITO"(これもアレキパの料理、本書の言い方をここではアレンジしてます)怒濤のセビチェ攻撃ですが、どれも食べれそうな気がしません。創作料理っぽいので。荒井商店に予約時頼んでみる感じでしょうか。
「セビチェリーア風魚介のフリット」"JALEA MIXTA"(フライドポテトをさらに炒めてしまうサルタードのセビチェ版といった趣の写真と料理で、中津にもこの料理はあるのですが、まだ頼んでなく、"Jalea de pescado"カジキだけのこの料理は頼んでみたところ、ちょっと本書と違う料理が来ました)
これが中津で来た、カジキのハレア。本来サルサは最初から載っているが、邦人だと、それがお気に召すか分からなかったので、別皿で持ってきたのを、載せてます。何年も何年も日本でお店やってても、相互交流の深度はそんなものというのが、私の実感です。インドシナ難民で、幼少期来日したはずの五十代六十代の人が開いたラオス料理店で、お店の人が菜の花を菜の花という日本語の名前だということを知らなくて、園芸店で種を買って渡したのですが、その時に、特にそう思ったです。
2023年3月2日の日記に載せた、最初からサルサが載ってる盛り付けのハレア。"Jalea de pescado"そういえば、ミクスドはまだ頼んでません。大和にもあるので、そっちでも頼んでみるかも。
20230413追記。
中津(愛川)のハレアミクスタ。"Jalea mixta" ジャレアミクスタと言いたいのですが、スペイン語なのでハレアミクスタデスヨ、という。こっちのほうが全然いい。ムール貝やタコ、ホタテなどのフライも入ってるので、少し余分に出してこっちを食べるべき、です。
つけあわせ。チョクロとユカとカンチャとサルサ。ジャイアントコーンとキャッサバと炒ったとうもろこしと玉ねぎの即席マリネ。
殻ごと衣をつけて揚げたムール貝。まさかそう来るとは。
サルサ。何度見てもきれいで、大好きですが、パクチーがダメな人には、ホントのメキシコ料理にもペルー料理にもコリアンダーが入ってるので、そこはしらしめたほうがいいかなと。私も、中南米にシャンツァイ文化が根付いているとは知りませんでした。
食後。ムール貝のカラとチョクロの芯。貝柱もちゃんとはがして食べている自分をほめてやりたいです。
追記ここまで。
「冷たいイカと温かいイカのセビチェ」"CEVICHE DE CALAMAR CRODO Y CARAMAR FRITO"(これも衣をつけて揚げてからマリネにしてしまう、衣がはがれるまへに食べたまへ料理)「ノルウェーサーモンのセビチェ、キヌア添え」"CEVICHE DE SALMÓN QUINUA AMARILLA"(キヌアは、私のような人間でも聞いたことのある新食材ですが、本厚木でしかメニューで見た記憶がないです。どこのペルー料理屋でも扱ってそうなもんですが、なぜか見てない。もう一軒の中津にはあるんだろうか)「パッションフルーツを使った、ホタテのセビチェ」"CEVICHE DE CONCHAS DE ABANICO A LA GRANADILLA"(フルーツを大胆に使う新しいペルー料理を本書では「モダンペルー」としていて、ヌーベルシノワみたいなもんだから、ヌーベルでいいんじゃんと私は思ったのですが、フラ語のペルー"Pérou"は、例のあのフラ語のアール音を含んでいて、カタカナにした時、ペホウと書くかペゴウと書くかの世界なので、無理に「ヌーベルペゴウ」にトライしてカタカナの迷宮にはまるより、「モダンペルー」にしたほうが無難なんだと思いました)「山菜のセビチェ」"CEVICHE DE SANSAI"(これも荒井サンの創作料理)この次のページ、頁41に荒井サンの写真があります。小野の時代の生き残りのBOZUスタイル。ここで、ペルー国内で食べれる、淡水魚のセビチェ(アマゾンのピラニアやピラルク含む)について書かれていて、「想像を絶するうまさです」とあるのですが、寄生虫だいじょうぶ?と思いました。一回冷凍するのかなあ。こういうネタだと、これも今はなきラオス料理店のネームクックを思い出します。「うちはしっかりやってますけど、ラオスで食べると危ないっすね」と言ってたお店がなくなって、じゃあどこに行けばという。
今はなきラオス料理店のネームクック。ແໜມເຂົ້າ 発酵させた豚肉ソーセージとお米のスパイシーな混ぜ物。
ここまでがセビチェのページ。ものごっつい。私はセビチェと書きますが、荒井サン的にはセビーチェで、実は本書の表記はぜんぶセビーチェです。雲丹とかカモとか山菜とか、なんでもセビチェにするんだなや。納豆のセビチェ、キムチのセビチェ、青いパパイヤのセビチェ、なんでもセビチェ。
次が、「冷たい冷菜と温かい冷菜」"ENTRADAS FRÍAS Y ENTRADAS CALIENTES"で、まず王道のパパアラワンカイナ"PAPA A LA HUANCAINA"登場。これは何度でも言いますが、そく居酒屋メニュースタメン入りしてクリーンナップ張れる味だと思います。次の「ロコトのクリームソース」"CREMADE OCOTO"という、鶴間のペルー料理で見たような見ないような、どのみち食べてない料理が出て、「オコパソース」"OCOPA"という、トウガラシの代わりにアンデスのハーブ、ワカタイをたっぷり加えたソースが登場し、私がこんだけペルー料理店に行っておきながら、いまだに名前を覚えてない、あの緑色のソースは、こういう名前だったかと思ったら、オコパはアレキパの郷土料理でほかにはないそうで、どこのペル―料理店に行ってもある、あの緑色のソースは、「アヒ・ヴェルデ」"Aji Verde"だそうです。不思議なことに、このソース、本書に登場しません。冒頭の各種調味料にも出てこない。なんにでも抜けはあるものですが、ひょっとしたらポリシーがあるのかもしれず、興味深いです。
「アボカドサラダ」"PALTA RELLENA"があって、その後カウサレジェーナ"CAUSA RELLENA DE CANGREJO"が続き、「サバのエスカベチェ」"ESCABECHE DE CABALLA"になります。サバをチョイスしたのは荒井サンの感性だと思います。中津ではオサカナはペスカド、カジキでした。
上にも出しましたが、大和の店の、カウサ"causa"とだけあるメニューの品の写真。カウサ・レジェーナと同じものですかと訊いて、そうですとのこと。マッシュポテト成形のあいだに挟むのは、玉ねぎと、ツナもしくは鶏のささみで、思ったよりシンプルです。
追記:20230404に本厚木で食べたカウサ・デ・アトゥン。
"Causa de atún" カウサ・レジェーナとのちがいは分かりません。
想像以上にマヨネーズ。グリンピースも多いです。
追記ここまで。
昨年九月の日替わりのエスカベチェ。
昨年十二月の単品のエスカベチェ。
記録的円安突入後の、今年十一月の日替わりのエスカベチェ。このお皿は現在ではもうお蔵入りしてるようです。また前のお皿に戻った? パパアラワンカイナはおいしいので何度も注文してますが(のでめんどくさいのでここでは写真割愛です、いや、やっぱり載せます➡*2)このエスカベチェという料理は、なぜかたまたま注文しただけで、ペルーを代表する料理とは思ってません。
「タコの冷製、ペルー産オリーブのソース」"PULPO AL OLIVO"これ、川崎や五反田にありそうなので、今度行った時見てみます。➡川崎のメニューには現在ないかったです。しかし、八王子にもあるそうなので、今度は八王子に再訪します。20230426追記。
20230502追記。八王子で"PULPO AL OLIVO"食べました。
ここはお値段はほかと同じ、量は… なので、薄切りです。町田のカンボジア料理店と並んでご当地外国料理店として紹介されたくらい昔からある店で、当時日本でロクに知られていなかったキャッサバを「ペルーの山芋」とメニューに書いたりしていたくらいです。そこにこの料理があるというのも、おもしろいです。
ブラックオリーブのソースなのですが、見た目はピンク色です。柴漬けみたいですが、ちがいます。ビーツでもない。お味は上品で、これまでのペルー料理の、すっぱいセビチェ系でも、クミンと醤油のサルタード一族でも、ピリ辛タマゴソースのアラワンカイナでもない、また新しい味(オリーブに慣れてる人ならそうは思わないかもしれませんが)
追記ここまで。
ペルーはアボカドやオリーブの産地でもあるそうで、なんというか、それらがいまいちドメスの中で終わってしまい、インターナショナルにならないのは、かつての乾燥ねぎペルー産と同じ理由かしらと思ったりします。今の乾燥ねぎは一律中国産。
stantsiya-iriya.hatenablog.com
まあ、国内向けが安定してれば、海外は二の次でええやさ、というのはどこもそうかもしれません。
次が「具だくさんの衣なしコロッケ」"PAPA RELLENA"で、ここでもレジェーナかっ! レジェーナって、どういう意味やねんと思ってみなくもなかったり(「みっちり」「ぎっしり」とでも訳せばいいのだろうか)ブラジルにはコシーニャとかキベとか、揚げ物がありますが、このコロッケはあまり見た記憶がないです。視界に入ってないだけかもしれません。英語版ウィキペディアだと、なぜかゴハンとあわせてあって、シュールな盛り付けになっています。こんなふうにコロッケ食べないだろ。
これは、愛川の他の店で見つけたので、今度食べます。
追記:20230408に食べました。
持ち帰りより、店内で食べると百円かもう少しか、高くなります。器や玉ねぎ、アヒソースのねだんが加味される。その旨、どこかにスペイン語で書いてありましたが、撮ってません。
これがそうかなと思ってましたが、これは消費税について。
アヒ・アマリージョだかロコトだかをかけたところ。ひき肉やポテト、玉ねぎ以外に、タマゴも入ってました。
なんでパパなのかは忘れました。サルチパパという料理もありますし、パパなのかも。ママのつく料理は聞いたことないですが、私がスペイン語世界を知るはずもなし、実はママを冠した料理もあるのかもしれません。
追記ここまで。
「激辛トウガラシとロコトの肉詰めオーブン焼き」"ROCOTO RELLENO"これまでレジェーナレジェーナと来て、ここでレジェーノと男性形?になっていて、スペイン語をやった人ならそく理由が分かるのでしょうが、門外漢なのでさっぱりです。
本厚木で食べました。ロシアンルーレットにはならないので、罰ゲーム用でしょうか。
「アンティクーチョー屋台風牛ハツの串焼き」"ANTICUCHOS DE CORAZÓN"今度は複数形"ANTICUCHOS"で表記されていて、ものの本によると、初めから複数であることが明確なものはあえて複数形にしないとのことなので、これはどないだろうと思いました。
章題を見ると、セビチェは"ceviche"で単数形、前菜は"entradas"で複数形表記が本書です。
話を戻すと、アンティクーチョは下記の本で読んで以来、食べようと思っていて、何軒か行きました。
stantsiya-iriya.hatenablog.com
中津
大和
今はなき鶴間の、パリアーダというバーベキューを意味するスペイン語とアンティクーチョとくっつけた、"Parrikucho"というオリジナルまかない料理。
中津の、セットのアンティクーチョ。
どの店でも串打ちせず焼いていて(メニューには串焼きの写真を載せていても、頼むとバラで皿に載せたものが出ます)その点、本書では串打ちした写真を載せていて、しかしケバブやシェハスコのような金属串でなく竹串で、これだと不経済ではないかと思いましたが、画像検索してもだいたい木の串でした。
なぜ木串なのか。使い捨てのほうが衛生的だったからでしょうか。金串の金気くささを嫌った…わけでもないと思うんですが。ヤキトリの日系からの影響がどれくらいあったかも、知りたいところ(絶対分からないと思いますが)
本書は、牛ハツをヅケにせず、焼いてから煮詰めたタレを塗る即席料理法で紹介しています。これもおいしそう。家庭を意識してるのかな。
次がトウモロコシのチマキ、タマーレス"TAMALES"で、その次はペルーに限らず南米全土で名前を聞くというエンパナーダ"ENPANADAS"こうやって見ると、どっちも複数形なんだなと。ウィキペディアのタマーレスは、単数形で書かねばならぬと考えたのか、タマルと書いてます。
コシーニャ、否、パパ・レジェーナにしろ、エンパナーダにしろ、このあと出て来るスイーツ類にしろ、愛川町でいうと、二軒ペルーのケーキ屋があるので、そっちに行くといろいろあるんだろうなと思っていて、現状は手が回らないのでまだそこは手付かずです。というか、レストランは中津のとばくちにあるのでまだ町外から行きやすいですが、愛川セントラルは、もう一段ロケット点火が必要。大和にはペルーのスイーツ店はないと思います。ブラジルスーパーは綾瀬にあり、たまにオブリガードでなくグラシアスと声を掛けられる客がいるので、近所の南米のスペイン語圏人はそこに行くのかもなと。
上にも載せた、大和のタマル。
愛川のタマル。いさぎよくバナナの葉など使わず、アルミホイルです。店内飲食だと、玉ねぎ代など載せるのか、百円増し。スペイン語でもそう書いてます。
カマボコのような気がしてしかたがない具が入ってました。
鶴見のタマル。せっかくバナナの葉に包んであるのに、持ってくるときははがしてあって、残念閔子騫。ここまで後報です。
追記。エンパナーダについて。
愛川のエンパナーダ。"Empanada carne/pollo" 牛肉入りと鶏肉入りがあります。ふつうはここまでツルツルカチカチでないかな。
鶴見のボリビア居酒屋で頼んだチーズ(ケッソ)のエンパナーダ。これがすごかった。
"EMPANADA DE QUESO"
最初塩かなと思ったこれが砂糖で、エンパナーダに砂糖振りかけるんですかと聞くと、チーズにだけ振りかける、合うからとのこと。
午後には揚げたチーズ・エンパナーダが、ときどき砂糖のアイシング付きで、供される。
日本語版ウィキペディアのボリビアエンパナーダの項目にだけ書いてある、一文。
Pastel frito: es una empanada grande de masa delgada, rellena con queso y frita en aceite. Se sirve espolvoreada con azúcar impalpable o molida. Suele acompañarse con api en el desayuno o merienda.
(グーグル翻訳:一部訂正)パステル・フリト: 薄い生地にチーズを詰めて油で揚げた大きなエンパナーダです。粉砂糖または粉砂糖をまぶして提供されます。通常、朝食やおやつにアピ*1と一緒に食べます。
英語版のボリビアエンパナーダに書いてある文章。ペルーではエンパナーダに砂糖をかける習慣はないそうで(在日ペルー料理屋調べ)ブラジルではどうかと綾瀬のブラジルスーパーで聞くと、砂糖は聞いたことないけど、グアバの甘いペーストとフレッシュチーズを入れた、「ロミオとジュリエット」というナゾの名前のパステウやタピオカがあるとのこと。綾瀬のメニューにはなく、パステウは鶴見、タピオカは大泉で発見しました。南米は広いです。
追記ここまで。
「スイスチャードのパイ」"PASTEL DE ACELGA"お惣菜入りパイだそうで、最初の単語だけ見て、ブラジルスーパーにあるパステウやないかと、何故か関西弁で思いました。これもエンパナーダも、檸檬がついてきて、お好みでしぼってかけながら食べるんだとか。いつかケーキ屋に行って食べてみようと思います。いつになるのか。
後報で載せます。スイスリチャードかどうか知りませんが、2023年バレンタインにぼっちで食べた、ほうれん草のパイ”Pastel de espinaca”私がさいごの一個を食べてしまい、ペルー人女性を悔しがらせてしまいました。
追記。20230411もう一軒の愛川のケーキ屋のほうれん草のパイ”Pastel de espinaca”
お値段も違うし、気持ちがアガる店とふだんづかいの店、二軒あると思ってもらえば。普段使いのほうはパパレジェーナやタマルもあり、シャレオツのほうはルクマのケーキなど、よくメディアに紹介されたりしてるようです。
追記ここまで。
その次が「豚耳のテリーヌ、サルサ・チミチュリ添え」"CHICHARRÓN DE PRENSA, SALSA CHIMICHURRI"ミミガーの煮凝りを、前菜としてきれいに盛り付けて、「アルゼンチン生まれの万能サルサ」を添えた一品。チッチャロン・デ・プレンサはごくふつうに総菜として売られている料理だそうで、市場では精肉店と店が分かれている加工肉店でチョリソ―類といっしょに売られているそうで、相武台前の肉屋で鶏皮ポン酢やラタトゥユを売ってるようなものかと思いましたが、相武台前は精肉店も兼ねているので、ちがう。町のパン屋さんでも量り売りしてるそうで、東北沢のエジプト料理屋も総菜量り売りしてたなと、関係ないこと思い出しました。
この後、ペルー人は朝昼晩何を食べているかのコラムがあって、ここでも、「意外と知られてないことですが、ペルーはお米が主食です」(頁66)と書いてあります。インディカ米。私が最近、農文協の本で、小西紀郎サンの記述で知ったことが、ここにも。
あと、ここは、これも農文協の、「絵本世界の食事」シリーズの『ペルーのごはん』とも共通していて、朝はパン、のあとに、絵本のほうだと、紅茶でパンを食べるとあって、本書では書いてないことを補完しつつ読めたりします。
stantsiya-iriya.hatenablog.com
長くなったので、感想をいったんここで切ります。このあと、スープとごはんもの、メイン、のみもの、デザートと続く。以上