『おあとがよろしいようで』 (from rakugo) "That's all from me, and now the next speaker." by Okaya Izumi オカヤイヅミ BUNSHUN 文藝春秋 読了

若葉台の書店でこの漫画家さんの『いいとしを』を買って、面白かったので、ブッコフに在庫のある漫画を数冊買ったうちの、最後の一冊。

デザイン 大久保明子 初出は「文學界」2015年10月号~12月号、16年2月号~12月号と、「CREA WEBコミックエッセイルーム」2015年11月~2016年11月号

英題は、検索してWeblio辞書から。Yahoo!知恵袋の回答のほうが気に入りましたが、まあそれはその方の知恵ですので、尊重します。

ejje.weblio.jp

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

日本語の意味:次の人の準備が整ったから、私はもう帰りますね。 Next person had ready. So, I would like to finish my turn.

回答者は、英語落語のオチ、サゲを見れば分かるのではと考え、いくつか動画を見られたようですが、「おあとがよろしいようで」“后面就好了。”を使ってサゲてないかったとか。

死ぬ前に、 なに 食べたい? 食べるのが好きで 死ぬのが怖い だから死が怖くなくなる 食べものを知りたい そんな漫画家が 今をときめく人気作家 15人に聞きにいく 文藝春秋刊/定価(本体1050円+税)

帯 文学界の息抜きマンガコーナーの企画として、インタビューで、かつ食をテーマにしたので、「まちがいない」「これぜったいおもしろいやつ」とプレゼン段階では思ってたはずなのですが、何か微妙に齟齬を感じつつ、それでも回を重ねるごとにうまくやれるだろう、そうでもないな、おつかれサマンサ、で、終わったのではないかと思いました。

帯裏 出てくる作家さんはみんなこんな感じに描かれています。最初、女性作家サンたちが、外見でヨイショされる人と一目おかれる人、どちらも同性から見た「かわいい」に落とし込んでフラットに描いてる点に目がいったのですが、男性作家のガタイやねこぜなどは、この後連載開始した、小説家を主人公にしたマンガ『ものするひと』に影響を与えたかなと思い至りました。

料理はこんな感じ。食エッセイまんが多数をものしてる方ですので、そこには一家言というか、絶対の自信があったと思うので、ありふれたチェーン店での歓談でなく、もっと隠れ家的なお店をイニシャルネームで出してくれていれば、などなど思ったかもしれません。その辺は、作家さんが、そんな自分だけの秘密の行きつけを読者に公開するわけもなく、という。わずらわしいのが来たら煩わしいですから。

出てくる人。

綿矢りさ 一九八四年生まれ。芥川賞作家 ○○
戌井昭人 一九七一年生まれ。川端賞作家・劇作家・俳優
山崎ナオコーラ 一九七八年生まれ。文藝賞作家 ○○
津村記久子 一九七八年生まれ。芥川賞作家
円城塔 一九七二年生まれ。芥川賞作家 ○
西加奈子 一九七七年生まれ。直木賞作家 ○○
平山夢明 一九六一年生まれ。大藪賞作家 
桜庭一樹 一九七一年生まれ。直木賞作家 ○
朝井リョウ 一九八九年生まれ。直木賞作家 ○
辛酸なめ子 一九七四年生まれ。コラムニスト・漫画家 ○○
村田沙耶香 一九七九年生まれ。芥川賞作家 ○○
加藤千恵 一九八三年生まれ。歌人・作家
朝吹真理子 一九八四年生まれ。芥川賞作家
春日太一 一九七七年生まれ。映画史研究家
島田雅彦 一九六年生まれ。作家・芥川賞選考委員 ○○

私が知っている人はマルひとつ、読んだことのある人はマルふたつつけました。桜庭一樹を読んでないのは我ながら意外。朝井リョウは初期にチョン・セランと絡んだりしてたですが、その後は知りません。村田沙耶香だけ、加藤千恵という人とふたりで登場して、その回はサシ呑みでなく鼎談になっています。加藤千恵という人は別途オカヤサンと共著も出しているので、共通の友人ということか。

円城塔タヒんでるだろとあらぬ妄想を抱きましたが、それは伊藤計劃サンで、円城塔サンはバリバリでした。毎回、死ぬと分かったら最後の晩餐は何を食べますかと質問して、それをイジろうとするのですが、「どういうシチュエーションで死ぬかですよね」「一人だけ最後なのか、周り人類ぜんぶ最後でも変わりますよね」と、毎回相対化のまぜっかえしをされて、98%不発に終わります。だから作家なんて理屈っぽくてイヤなんだよっ、これが文学界の企画で対談相手ヒモつきで選ぶのでなかったら、もっと中央線沿線群像の、気安く空気読んでくれる、芸人や役者とばかり対談するのに、と、作者が思ったか思わなかったか(思ってないでしょう)

胃ろうとかそういうので食事はチューブとか、誤嚥防止のゼリー食とか、そういう状態で死期というエブエブ会話はありません。思い浮かばないわけはないので、たぶん、ボツにしたと思います。

さいごの島田雅彦だけあたま一つ世代が上で、年下の女性漫画家をイジリに来ます。同じ漫画家でも、ヤマザキ・マリほど処世術に長けてるわけでなさそうなので、ある程度イジられるのは仕方ない感じ。川崎の多摩区だか麻生区に住んでる島田雅彦が日常テリトリーをひろげようとして、せいぜい東十条までという感覚がリアルでした。逆に大宮あたりまで行ってしまうと、なんか川崎感が強まるという。戸田とかはどうなんですかね。小田急複々線化前の企画ですので、現在の相鉄東急乗入なども踏まえた生活圏も知りたいです。でも年も取るしな。

山崎ナオコーラがおそろしく予想通りで面白かったです。裏切らない。

以上

【後報】

[B! 島田雅彦] 安倍元首相の「暗殺成功して良かった」で大炎上、作家で法大教授の島田雅彦氏 発言翌日に岸田首相襲撃 夕刊フジに寄せた全文を掲載(1/5ページ)

(2023/4/20)