中原尚哉訳 かの有名な『三體』の一部を抜粋した独立した短篇に仕立てたそうで、今回はケン・リウ英訳版からの重訳ですが、この後早川は『円 劉慈欣短編集』で漢語原作からの直訳版も出しています。英訳初出は下記。2014年刊。
もう漢語版を読んだ記憶を忘れてるのですが、なんとなく、折りたたみ所収のほうがマイルドな気がします。英文と、漢字の羅列の違いかも。
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漢語版を読んだ時の感想、地中海の海底の古代コンピュータとか、スチームSFとか、そういうの好きな人が多いから好評なのかなあというのは今回も変わらず。それ以外に、ふと気がついて立ち止まって大前提を振り返って、そういえば、ゼロの発明(発見)はインドで、しかも始皇帝の時代はまだじゃんと思い至りました(同じ気づきを得た人は多かろうと思います)
「無」が実在することを認め、ゼロを数として定義したのは「無」や「無限」を含む宇宙観を持ち、哲学的に「無」を追究した古代インドにおいてである。(略)古代インドの数学で数としての「0」の概念が確立されたのは、はっきりしていないが5世紀頃とされている。
それまでは中国でもゼロを空白で表していたそうですので、下記のようなことはないです。
頁407
荊軻は六本の旗を用意していた。白三本、黒三本で、三人の兵に白黒一本ずつ持たせた。
「白は数字の零、黒は一をあらわす。よろしい、ではよく聞け(以下略
インドにおける零の発見は,人類文化史上に巨大な一歩をしるしたものといえる.その事実および背景から説き起こし,エジプト,ギリシャ,ローマなどにおける数を書き表わすためのさまざまな工夫,ソロバンや計算尺の意義にもふれながら,数学と計算法の発達の跡をきわめて平明に語った,数の世界への楽しい道案内書.
以上