エッセイ Essays『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』"INVISIBLE PLANETS Contemporary Chinese Science Fiction in Translation" ケン・リウ=編 Edited by Ken Liu (Liu Yukun / 刘宇昆)(ハヤカワ文庫)

『ありとあらゆる可能性の中で最悪の宇宙と最良の地球:三体と中国SF』

"The Worst of All Possible Universes and the Best of All Possible Earths : Three-Body and Chinese Science Fiction"

劉慈欣 鳴庭真人訳 Tor.com May 7, 2014.

劉慈欣サンによる、前半は『三体』自画自賛

中国SF史の鳥瞰を、梁啓超から始めてますが、これは林サンの大修館書店のあじあブックスでも同様に触れられていた、ある意味共通認識が出来上がってる項目。未来にはセクサロイドみたいのが出来て結婚出来ない人類の数割の男性を救う話が梁啓超の小説にはあるんだったかな。

『引き裂かれた世代:移行期の文化における中国SF』

"The Torn Generation : Chinese Science Fiction in a Culture in Transition"

陳楸帆 鳴庭真人訳 Tor.com May 15, 2014.

三本のエッセイのうち、もっとも過激な一本。受賞で訪れた広州の珠江ナイトツアーで、同行者が文革のさなか目撃した光景をくちばしる。

頁490

「こっちからあっちまで」と陳は腕で夜を一薙ぎしていった。「木という木から死体がぶら下がっていたよ」わたしたちが彼の示した方に目をやると、そこにあったのはマンハッタンで見かけるのと何ら変わらない、ライトアップされた商業施設の摩天楼だけだった。(略)

(略)陳の言葉には多くの知恵がこめられているのだろうとは思ったが、その言葉が放つシニカルな価値観は政府が推進する”中国の夢”の精神とどうにも合わないのだった。

この点に関しては、岩波新書で、かなり苛烈を極めたであろう文脈の本があります。

私は中国の地主だった : 土地改革の体験 (岩波書店): 1954|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

彼は、中国当代早期に、魯迅がSFを提唱したことに触れています。

『中国SFを中国たらしめているものは何か?』

"What Makes Chinese Science Fiction chinese?"

夏笳 鳴庭真人訳 Tor.com, 2014.

特になし。例の、四川の人からパクリを指摘された作品が影響を受けた作品を列記してて、その中にもちろん四川の人の作品を入れてません。そこを読むエッセーではないんでしょうが。