主人公と作者はずいぶん違うのに、なんで重ね合わせるレビューがあるんだろうと、少しふしぎでしたが、やはり別人という落ちです。
上は見返しの紙の、浮彫模様。
本書は英訳界ではスルーされているようで、著者の英訳小説のkindleを検索した時も、“liulangcangqiong”《流浪苍穹》しか出ませんでした。英題:"Vagabonds"
装幀 岡本歌織(next door design) 装画 平野美穂
訳者の櫻庭ゆみ子サンは、王小波の『黄金時代』も訳した人だそうで、李昂『迷いの園』は私も読んだと思います。『黄金時代』は読もうと思っているのですが、レビューでクサされているのが気がかりです。
私と天津とのかかわりは、前にも書きましたが、いっとうさいしょに中国語を勉強した時の先生が、天津の人でした。金老師。背も鼻も低い浅黒い人で、本人がおっしゃるには、南方系で、北方にはあまりない苗字とのことでした。そっからして、外に開かれた貿易都市なんだなと。
早稲田の奉仕園の話です。ということは、クリスチャンだったのかなあ。今考えると。
中国の大都市には、都市名とは別の名前を付けた名門大学があって、東京なら一橋大学(中国じゃありませんが)北京なら清華大学(ハオサンの母校)上海なら復旦大学、広州なら中山大学、そして天津に南開大学。行ったことないのですが、一度行ってみたかった。これ以外は、厦門の集美とか、あるっちゃありますが、のレベル。
初めて天津に行ったのは燕京號で、だから私は「えんけい」という呼び名にこだわってます。イエンジンピージュウはえんけいビール。船内では金日成総合大学に留学するという小平の朝鮮大学校の生徒さんと話をして、『ユンボキの日記』を読んだというと、マニアックな本を知ってますねえなんて持ち上げられてたのですが、上陸すると彼は迎えの同国人が数人すぐ来て、我々日本人には一顧だにせず三輪タクシーかなんかでそそくさと去ってゆきました。
その後宿を探したのですが、船で知り合った中に鉄オタがいて、彼らがまた、外国人は泊まれないそのへんの旅社をほんとにしらみつぶしに何軒もあたってあたって、どこも身分証!我们没有身份证,只有护照。ハァ?(/・ω・)/ことごとく断られるのですが、それでもめげずに安宿をさがしまくって、果てはとうとう野宿したです。春だった。
鉄オタ一行は蒸気機関車かなんかの写真を撮りに来たようで、確かに後年私も体験しましたが、黒竜江省の牡丹江から先に行くと、旧満州だからというわけでもないでしょうが、シェンフェンジョンなんか見せなくてもフリで泊まれてしまうわけで、彼ら鉄オタは一刻も早くその世界に行きたかったのだなと。
翌日もぽかぽかいい陽気で、公園みたいなところの芝生に寝っ転がって、夜眠れなかった分熟睡しました。中国で、芝生でごろごろした経験は、あとにも先にもこれだけかな。
その後、狗不理のパチモンでボッタくられたり、北京まで小公で行って、私人(汽車)だったのでやっぱり料金ガーだったり、そんで北京で、天津から鉄道で来たという明らかに中国人だけど日本に住んでるオバチャンから、「だから中国イヤだよ。どしてこんな不便か。きたない、みな親切でない」と日本語でえんえんグチを聞かされたりしました。今はむかしの物語。
そもそもはアンソロジー『絶縁』所収のポジティブレンガがおもしろかったので読もうと思った作家さんで、あと、グードゥーシェンチュー、レンジービーアン、リウランツァンチォンは読みます。挺住!