『あつあつ!スタグル旅』01 "(In Love With) STADIUM GOURMET TABI (=Travel) " VOL.1 NOHDA TATSUKI 能田達規(HC ヒーローズコミックス)読了

農業用シルバーマルチが近所のJAにないかったのでアマゾンで買って、送料無料にしようと思って、なんか一緒に買うものないかと漫画家さんの名前を打ち込んでたら、のー先生の新刊があったのでポチりました。

のー先生には前にもスタグルのまんががあって*1、そっちはJ2、J3メインでした。ネタがないので今回はJ1で二匹目のドジョウをということかと口さがない私は最初思いまして、今までJ1を題材にしなかったのはそれなりの理由があるから(混む、マスプロが多くてどこも似たり寄ったり、など)(また、J2J3を積極的に取り上げることで、ご当地グルメの広報から地域おこしの一環まで担えたらという目論見があったのかもしれません)なので、そこをご都合主義に書いたらおえんぜよと勝手にご意見番的に読みましたが、最近はもう、現地観戦どころかだぞーんでもJリーグを視てない私がスタグル最新事情なんて分かるわけもなく、ただただ自分の浦島太郎状態を満喫するだけでした。

サヤとヒロはサッカー1部リーグ、AC東京のサポーター。

チームの応援ももちろんだけど、アウェイ遠征の一番の楽しみは"スタジアムグルメ"――。

毎週末、最高の体験が夫婦2人を待っている!

傘をさしての観戦は周りの観客の迷惑なのでNGで、だからだと思うのですが、ポンチョはあれど傘までグッズになってるクラブは多くなく、ああという感じで。甲府じゃない。

YOU'LL NEVER WALK ALONE KING AMARAL STADIUM 大都会東京

主人公は瓦斯サポです。これまで出身地の愛媛と居住地の千葉を交互に描いてきた著者が初めてそのしばりを破ったので、ほほうという感じでした。瓦斯なので、とにかく食い尽くすという瓦斯サポの形質をまんがとしても押し出したいのかなー、と最初は思いました。

本書では「イナ活」ということばが使われており、「スタグル(スタジアムグルメ)」「ユルネバ(ユールネバーウォークアローン)」はなんとかついていけても、「イナ活」が蝗活動の略とはまったく気づかず、フィリピンの鶏料理「イナサル」と関係あるのかと思いました。

マン イナサル | 【公式】フィリピン政府観光省

マング・イナサル - Wikipedia

瓦斯のイナゴや山雅サポ、しいては全国津々浦々のスポーツクラブの遠征サポすべてに言えると思うんですが、子育てが終わって時間と金銭面に余裕がある夫妻が主戦力というかモデルになっていて、本書のように、SNSでヨロク収入を狙ってるような若い世代軍団や新婚夫婦は、そこまで金銭的余裕があるんだろうかと思います。それで観戦が遠ざかるというのなら、逆によく分かるのですが。前にも書きましたが、平塚のセブニレブンで食パンと炭酸水だけ買ってたレッズサポの若夫婦を見て、身も心もすべてクラブに捧ぐというのはこういうことかと、雷に打たれたような気持になったことがあります。レッズにずっと寄り添って生きていきたいし、マイホームや出産育児の貯蓄もしたい。なら、削れるところは削るしかない。

大本国の ステーキサンドー スタグル最高――ッ!! 京都で! 磐田で! 肉川の肉弁当! イタリア食堂 3種類井当!!!! 東京で! スタジアムに来ないで。 どのグルメも美味しくて沼から抜け出せないよ。 大本屋のステーキサンド! 横浜で! 鳥栖で!

帯裏 最初、主人公は前グルメまんがの名古屋セレブ嬢かと思ったのですが、違いました。両親ともに瓦斯サポで(父親はトヨエツ似)、ゴル裏派の両親に連れられて幼少期からスタジアム観戦を繰り返し、食費を犠牲にしてきた反動で、スタグルを食べねば人に非ず的渇望を常に持つ人間になってしまったとのことです。ゴル裏育ちの有名人と言えばニータンさしこですが、そういう形質があった話はしりません。

サッカーもスタグルも"あつあつ"がイイ!! 新婚夫婦だって“あつあつ”がイイ。 スタグル旅に行けば行くほど、2人の距離は近くなる――!

帯。ふたりはマッチングアプリで知り合ったそうで、パートナーの人はスタジアム観戦歴ナシ。静岡出身で、サッカー部の連中が理由もなくえらそうだったので、サッカー全般が苦手になってしまった過去があります。王国ならでは。

「あつあつ」が英題に含まれてないので、てきとうに足しました。グーグル翻訳だと"hot"になるのですが、藤井隆の出世ギャグみたいなイメージですので、「熱愛」的な英語を足しました。

ejje.weblio.jp

前作「ぺろり」は"eat up!"かなと。英訳すると。

ejje.weblio.jp

パートナーの人はだからJサポとはいろいろ価値観が違うのですが、鳥栖駅かしわうどん食べる場面で、かしわが鶏肉の意味であることに気づかないのがいちばんヤバいと思いました。

①瓦斯はホーム入場時スマホで抽選で整理券番号もらうので、待機列はもはやない? ②瓦斯はスタグルもモバイルオーダーで待ち時間ゼロ 左記①②で、ダイナミックプライシング導入以降現地観戦できてない私はもはや、何も出来ないと思いました。イニエスタポドルスキも引退したわけだし、ダイナミックプライシングやめてほしい。無理ですけど。③J1といいつつカップ戦の名目で当時J2の磐田が出ます。④スタグル不毛の地と言われた横浜が記念すべき第一回なのがすごい。⑤西京極から城陽に移転したとばかり思ってた磐田京都が、野中広務大本教でお馴染み亀岡にメインも移していたとは知りませんでした。大阪かすうどんのネガポジ反転に匹敵する慶事

⑥右はサックスブルーの焼きそば。たまごふわふわは出ません。⑦パートナーはさわやか童貞でもあり、意外でした。甘いもので酒が飲める人で、その点も異能者です。⑧新横浜のスタジアムには温水プールが22種もあるそうで、それは知りませんでした。一般開放。今日あたり、職場の同僚のオナクラクンがゲーム仲間と新横のビジホでモンハン&スプラトゥーン三昧のクリパをやってるはずで、新横というと、そういうイメージと『吸血鬼すぐ死ぬ』しかない。

カバーをめくると湘南カラーの世界ですが、主人公夫妻は湘南戦は発熱で観戦せず。柏戦はチケット取れずで観戦してません。"J's goal"という読者投稿サイトが消えたこともJの黒歴史のヒュージなひとこまですが、なーうげったちゃ~んす柏バカ一代が一夜にして消えたことも色即是空のことわりを示しているのかもしれません。この世に永遠なるものはない。上の写真を見ると、微妙に表紙が折れてるのですが、カバーは折れてません。印刷は共同印刷

ddnavi.com

ダ・ヴィンチwebを見ると「全9回」とあるので、打ち切られたのかと思いましたが、のー先生のエックス(旧ついった)を見ると第十一回が十二月に公開され、次回は一月更新とあるので、まだ続いてると分かり、ほっとしました。アマゾンレビューが嵐しかいなかったりするので、心配してしまった。続いててよかったです。

初出は「ヒーローズ」2023年2月~6月配信。装丁 竹内亮輔[crazy force] 編集担当 高部格

頁86、コアサポの結婚はサポ千人集めてスタジアムウェディングすべし、だそうで、スタジアムで式挙げられるとは知りませんでした。選手が誓いの神父役やってくれたら(キリスト教圏の外国人選手だったら尚よし)とても盛り上がるでしょうが、そこまではないか。

というように、本作は前作より物語に趣向を凝らしたつくりになっていて、アマゾンのDISりレビューとは裏腹に、飽きさせませんでした。著者のお子さんの実話をもとにしたという「京都でスマホ落とす」話のリアルさはすばらしい。私は仕事柄、スマホを落としたというお客はフツーの人より対応してるほうなのですが、GPSアプリで場所を特定してその場所に℡するという本書の対応は、最適解です。1㍉も遠回りしてない。ほんと、お手本になる話だと思いました。

今後、人生とJ観戦をどう両立させていくか、両親が就職氷河期っぽかったりするので、それでも人は生きてゆける、言い訳はしない、などなどが主人公だったらいいなと、楽しみです。南無三。以上

【後報】

今から考えれば「イナ活」の一種の余談だったんでしょうが、「J2舐めてません」時代の瓦斯の鳥取戦で、JR西日本は駅のトイレにロールがない(自販機でティッシュを買う)を知らない瓦斯サポが文字通り雪隠詰めになって、2ちゃんの掲示板で助けを求めた件が今でも忘れられません。今ならLINEで助けを求めるんでしょうが、時代。

(同日)