『セクシー田中さん』"Step of Sali" 【第15幕 底なしの優しさ】後編〈ACT 15: BOTTOMLESS KINDNESS〉rear (end) part. by ASHIHARA HINAKO 芦原妃名子(姉プチデジタル 2024年2月号)ANE PETIT DIGITAL 読了

まだ単行本化されてない第15幕の後編を課金して読みました。

csbs.shogakukan.co.jp

左はデジタル版のページ調整で?ついてた最新刊告知。英題"Step of Sali"をガッツリ書いてます。

(1)

三好サンのマンション最寄り駅が神谷町なので、こりゃますますお金余ってる人だなと。ヒルズ族でしょうか。東京タワー見放題。1月号に三好サンの冷蔵庫が出ますが、麦芽100%のラガービールと水しかなくて、狩撫麻礼伝説*1かと思いました。迷走王ボーダーに、当時一部のライブハウス御用達だったモルツしか出なかった時期があり、お礼になんかサントリーから届いてたりしてと思ったものです。そういう技はどちらかというと小学館編集者の専売特許ですが、それでかどうか、『セクシー田中さん』は特定の銘柄描いてません。麦芽100%のラガーを検索すると、地ビールしか出ず、酒造会社にご教示頂いたところ、大手ではモルツが分類上はラガーになるそうで(プレモルはエール)三好サンの冷蔵庫に入っていたのは、モルツでほぼ間違いないかと。ヱビスピルスナーで、一番搾りは知りませんが、まあラガーじゃないだろうので。

麦芽100%ビール - Wikipedia

発泡酒第三のビールでなく、モノホンのビールしか冷蔵庫に入っていないんだから、やっぱり三好さんはセレブ、とだけ言いたかったのですが、余計な方向に筆が滑りました。

(2)

駅チューの場面があります。冷やかしてる小学生をはじに描けば尚よかった気瓦斯。こんなとこ、私立に通う小学生が多いと思うので、地下鉄駅にぜったいいるはず。六歳にして満員電車に乗せられてふびんとしか思わないのですが、親は子どもの未来を信じてるんだろうなあ。しかも重くて周りにじゃまなランドセルしょわされて。

というか、そこでもう一回ひねって、インタナショナルスクールに通う多国籍のガキどもにしてあげると、より趣が増したかと。一度、日比谷線の車内で、インターナショナルスクールに通うガキども(♂)が、覚えたてのスラングで、邦人女性を囲んで、ビッチとか、コックサッカーとか、サックマイディックとか言ってるのを見たことがあります。

(3)

で、朝帰りを例の不倫体験OLが目ざとく見つけ、公園ランチに誘われ、木漏れ日の白黒写真を撮ったり、樹木の芽を掬って持ち帰ったり、KINKSのサニーアフタヌーンを聴いたりしたらそれは役所広司なのでちがいます。彼女の名前は百瀬サンです。なぜ前編でその設定を公開しなかったのか。

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即行別れたし

「私は被害者だ」

って思っても

周りは容赦なく

裁いてくるし

「速攻」でなく「即行」なんだなーとか、2年半つきあって気づかず、向こうのヨメが職場に乗り込んできて発覚、すぐ分かれたという意味の「ソッコー」ということだったり、相談に乗るふりしていきなり肩に手を回してくる男友達がいたりして(バーカウンターでノースリーブ)こういうネタ、事例って、星の数ほどあるんだなと思いました。

(4)

その夜笙野が田中サンを訪ねてきて、父と母の近況を語ります。家庭内別居。下記の1971年映画が出ます。

haroldandmaude.jp

正直、七巻で三好一本に絞った展開を読んだ読者から、笙野の目も残してあげてという手紙でも殺到したのかと思った。見合い相手の山根サンとうまくいってると言いながら、「僕はやっぱり田中さんのことが大好きです」と告白する78など、いつからそんな器用になったと思いました。こういう非モテ系の女性がふたまたになる展開で、ジゴロ三好さんがサラリとした対応をするのか、鬼の三好に豹変するのか、見てみたかった。作者が自裁して続きが読めないのは、ほんとさびしい。

(5)

三好サンのほかの女が田中さんに攻撃してこないのかというと、前にも出て来た"Erina"という女性が再登場し、前はお互い挨拶してなかったのですが、今回面と向かって、

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――――は?

「田中京子」?

「Sali」って

アンタなの?

愛子先生がやたら褒めるから

どんな極上の女かと思ったら…!!

ブスでおばさんじゃん!!

ありえない…!!

ぶっつぶす…!!

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/stantsiya_iriya/20240317/20240317203341.jpg左はこの回の巻頭見開き煽り文句。紙版と同じと思います。ということは12月8日付公開or配本。

エリナサンの発言は三好サン絡みでなく愛子先生絡みかもしれませんし、狭い業界で、ベリーダンサーとしての報酬の多寡にかかわる切実な問題から出た発言かもしれませんが、ひょっとして、漫画家ならではの常套手段で、脚本家をまんがに登場させたのだろうかと、ふっと、思いました。現実にどこかでバカげた、ウマがあわないがゆえの切った貼ったの両者のやりとりが既にあって、それをまんが家ならではのホームグランド芸でおちゃらかして、シャレが通じない相手がああなってイキったと考えたら、それはそれで客観的に見たらおかしい出来事。でもそれって、当人間ではかなりモメるので、古今東西同業者同士でも気脈が通じてるからアリかと思って知りあいをマンガに出してそれで気まずくなったり、関係悪化した例は枚挙に暇がないかと。ただ、最近はSNSの発達で、逆にすぐ相互に意思疎通をとったり、あいだに共通の知人友人が入って沈静化することのほうが多い気瓦斯ですが、業界のことに詳しい人しか分からないことだと思います。ともあれ、思うのは、もしそういうことであっても、それで死なないでほしいです。ほんと、人生がゲームだとしたら、そのルール内で戦ってほし。相手もです。

以上