『フライト』DVD鑑賞

フライト [DVD]

フライト [DVD]

アル中が主人公で自助グループのようなものも出てくるよ、
と聞いたので、へえ、と思い、アマゾンで千円になったので買いました。
確かにアマゾンのレビューでも、
アル中の垂れた肉体を作り上げたデンゼル・ワシントン流石、とか評されてます。

Wikipediaより
マーケティング[編集]

1本目の予告編は2012年6月6日に公開された[8]。
日本では航空サスペンスのように宣伝されたが、実際の内容はアルコール依存症の主人公を描いたヒューマンドラマであり、コカインなどの描写も冒頭で登場するにもかかわらず予告ではまったく触れられることがなかった。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88

http://www.flight-movie.jp/information/images/news/0226_0.jpg
マスコミ殺到の中、
ハンディカムのデブが抜け駆けするシーンは、
マイケル・ムーアのパロディかと思ったら全然違うとか、
親父がP-51乗りだったシーンと、
日系スッチーは絡むのかと気を回したら
気の回しすぎで全然絡まなかったとか、
微妙なオカズが多すぎてあまり没頭出来ませんでした。

でも、せっかく断酒した主人公がウォッカダブルのタンブラーを干すシーンは、
声が漏れそうになります。あーあ、みたいな。
http://img.xooimage.com/files46/d/0/e/163262_4704893526...372840_n-236be8d.jpg

映画と関係ない画像です。すいません。

自助グループのようなもの、は、自助グループでした。
但し、アメリカなので、話者はひな壇演壇に立って話します。
日本とはそこのスタイルが違う。

チャプター10
ニコール"Oh,well,I promised Sheila that I'd go to this AA meeting now. She's my sponsor, the one that's been helping me."

日本語字幕ではスポンサーを保証人と訳してますが、スポンサーです。

チャプター11
ウィップ""You just worry about yourself. Don't worry about me."
ニコール"We're the same, you and me."
ウィップ"No, We are not the same. I don't suck dick to get high, okay?"

男女の依存スタイルの違い、
仲間を助けることと自己の回復どちらを優先すべきか、
ピンクの雲なのか、とか、底ついてる奴とそうでない奴の違い、など、
いろんなものが詰め込まれたシーンで、面白かったです。

チャプター11
ウィップ"I choose to drink! And I blame myself!"

彼はこう言って否認の病気ぶりを見せつけますが、
曲芸飛行で墜落を回避し、
犠牲を最小限に抑えた責任能力と飲酒の関係が映画の焦点、
というのは、ちょっと現実のホットな論点とズレてるかな、
と思います。
グアムのひき逃げみたいに、明白にラリってて、
それが心神耗弱を理由に無罪かつ治療を主張する、
みたいな風潮をどう考えるか、
に皆の関心は移ってると思うので。
酔って路上に寝る奴と酔ってその財布を抜く某息子とかね。
http://cinetri.jp/photo/news/flight-specialclip_main.jpg
ここからネタばれを含みます。
そうせんと言いたいことが書き切れない。

アメリカには生活保護はなく、刑務所で自助グループにつながる例が多い、
と聞きますが、
次長課長河本大先生の時のデーブ・スペクター発言を思い出せば、
アメリカにも生活保護はあって、その不正に対する社会的制裁は、
日本のそれより相当強烈、ということだったはずです。
ニコールや、死んだ恋人スッチーはシャバで自助グループにつながっており、
スッチーは休職手当てもらいながら施設に行ったという、
日本にもあるタイプです。
そういえば、シャバの自助グループシーン、黒人は女性ばかりで、
黒人男性はふたりしか見えません。
それに対し、刑務所の自助グループは、半数が黒人です。
ふと、日本での自助グループにおける白人黒人の比率を思い浮かべました。

主人公がスッチーのために否認を翻したのは、結局、
女の前でええかっこしいの性格が出ただけで、
(酔って女に当たる権利があるのは自分だけと思っているので、
 他人が自分の女にあたろうとすれば、守る)
酒は(刑務所で強制的に)やめれても、酒を飲んだ原因が取り除かれたわけではない、
ということだと、刑務所内自助グループのシーンを見て思いました。
http://1.bp.blogspot.com/-neuT9KN1wvY/USNj7lIN3FI/AAAAAAAAGLY/1bb_W3IfZHY/s1600/Flight+2012+denzel+washington+ending+final+scenes.JPG
離婚した妻が引き取った息子に、卒論で父親を書くので教えてほしい、
"Who are you?"と言われる場面で終わるわけですが、
短い尺数でアダルトチルドレン問題にまで言及しようとしたんだな、
アメリカ人なら理解出来たのではないかと思います。日本人は、どうやろ。

チャプター14
ウィップ"
And again, like I said, you know, some of them will never forgive me. Some of them will. But at least I'm sober."

ソーバー(素面)がそんなにスゴいのかと思ってしまいますが、
アメリカの禁酒を巡る歴史の本*1を読むと、
あちらにはスゴいと考える価値観があるのだな、と思います。
別の本*2では、
アメリカでは禁酒自助グループがごく自然に社会に息づいているとあり、
自助グループ用語の字幕にも苦心する日本とはまだまだ差が大きいな、と思います。
この映画は、アル中映画であることを前面に打ち出して宣伝すべきだったです。
けれど、日本とアメリカでは、アル中映画を見たがる人の数にへだたりがあるんでしょうね。
https://fbcdn-sphotos-g-a.akamaihd.net/hphotos-ak-ash3/487252_616267708389078_1961805566_n.jpg
https://fbcdn-sphotos-b-a.akamaihd.net/hphotos-ak-frc1/p480x480/644579_620368627978986_1792208779_n.jpg
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おしまいケル