『オレンジ』(1) ~ (13)(少年チャンピオンコミックス)"ORANGE" by NODA TATSUKI, SHŌNEN CHAMPION COMICS 再読

 苦し紛れ。COVER DESIGN TOSHIO MIZUNO

オレンジ 1 (少年チャンピオン・コミックス)
 

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ORANGE (漫画) - Wikipedia

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秋田書店諸星大二郎のマッドメンもまだふつうに在庫あって買えるほどのおそろしい出版社ですので、当然オレンジも紙の少年チャンピオンコミックスで買えます。ただしこの漫画の連載時期は、相原コージ竹熊健太郎のさるまんが真似したような、表紙の上には白地の題字横書きスペース、下に「恐怖コミックス」などのジャンル分け文字横書きスペースが入った表紙は廃止されていたようです。

こうして背表紙ならべて見て、控えのキーパーの人がいないんだなということと、12巻の人はどこだっけ? サイドバックだっけ? という感慨を持ちます。2巻がオーナーなので、もう少し交代枠の選手がいたような気もしますが、もう定かでないです。

チャンピオンなんて読むの、ドカベンの土佐丸高校戦(センバツ)以来だよ、しかも連載追っかけてしまいにゃ毎週買ってるよ、という稀有な経験をした珍しい漫画です。そういう人間がたくさんいたから、後年「サッカー批評」などという複雑怪奇な雑誌が出来たり、「だからサッカーは能書きばっかで嫌いなんだよ」と言われたりもするのですが、この作品にもちゃんと、坂台好男という、サカオタの負の面を凝縮したライターが登場します。少年誌なので、たいしたことないですが。パワハラのリーク記事を飛ばしで量産したりはしない。

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代表か、クラブか、というファンをも二分した代表招集問題から、終盤の怒濤の昇格争い、サポ総動員態勢でのゲーム展開は、現実を超越して、破格だったと思います。作者はこの前の漫画で高校サッカーを描き、この後は離島の少年サッカーを描きましたが、この漫画は完全に当時の言い方でいう「確変」だったと思います。読者もまた、今はもう隔世の感がありますが、当時はまだおらがチームにこれだけ感情移入出来る素地があった。今はなんですかね。J3に落ちてから、身の丈経営を考えつつ、どうサポに夢をつなぐかみたいな漫画になるんでしょうか。

作者はこの後も断断続続、休んではサッカー漫画を描き、描いては休んで、を繰り返しましたが、ブレーンのついた近作より、バンチに連載した二度目のプロサッカー漫画『オーレ!』終盤で金主に言わせた台詞を超えるものはまだないと思います。このせりふは、ほかの何かから持ってきたか、オリジナルか、分からないですが、すべての不変法則だと私も思っています。

「人は理想に金を出すのではない。理想を実現する人に金を出すのだ」

うろ覚えですが、こんな感じ。

この人の最新作は紙版がなくて、講談社のサイトだけの連載なのですが、どうも講談社は本気でペーパーレスに挑みそうな感じなので、私の15インチパソウコンでもやや小さい画面ですが(全画面でやっと少年漫画少女漫画の単行本サイズ)、読んでみようかと思っています。読めば感想が埋まるし。

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以上