[装幀]黒木香+ベイブリッジ・スタジオ [編集担当]山崎博子 ←この人が同人誌即売会で作者を発掘した人でしょうか?
オダサガのインド料理店でビリヤニ食べながら、店員さんが日本人客が来たのでつけたテレビを見ていると、王様のブランチをやっていて、それでこのひとの新刊を紹介していて、これまでもさんざん表紙は本屋で見ていたのですが、初めて中の絵まで見ることが出来、こんな古典的な絵なのかと思い、今こういう絵を描く若い人ってどういうことだと思って前橋の煥乎堂で買いました。その辺に転がってるかと思ったら、これは転がってないかった。
読んだのは今年八月の9刷。初出がまったく具体的に書いてなくて、同人誌とウェブ、とだけあるのですが、それでインカ帝国。ハヤカワのSFアンソロジーにも、大森望がどうどうと同人作品を収録させるくらいの時代なので、境界は明確でないわけですが、いやー講談社でデビューしたけどほっとかれた人って、ほかにもいたような。てっきり小学館に投稿したらついた編集がうるさいので商業誌に描く気なくしたとか、そういう人かと思った。
ウィキペディアを見ると、影響を受けた漫画家が三人書いてあるのですが、その三人より、この本を読む限りでは、吉田秋生『河よりも長くゆるやかに』だろうと思いました。制服シャツのしわを、現実よりも漫画文法に忠実に描くことに悦びを感じるような。それとか、しげの秀一とか、表紙のこの角度は能條純一の十八番ですし、そういう感じで読みました。
そういうものって、今の若い人にはどれだけリアルなのか私には分からず、作者はけっこう年配の、同人歴の長い人なのかと勝手に考えていました。ちがうみたいです。
ということで、今の若い人なので、合法レシピとかそういう路線がヤンキーものに影を落としてしまい、スマホの観過ぎで目にドス黒い隈が出来るのもやんぬるかなと思いました。女性キャラは無難に描くとのだめのだめで二宮和子(頁143から)頁102の佐藤みのるというキャラの絵はどこから持ってきたのか、考えて、私の浅い漫画経験では皆目分かりませんでした。講談社なら絶対この絵で描いてほしかったろうに。
でも、あとがきまんがの『どうして? 男子小学生』の自画像がなければ、このマンガの成功はなかったと思います。これだけ表紙にマッチしたあとがきマンガはないと思う。『BUTTER』のような小説が大成功を収めてるわけですし、おかずくらぶ、否、ニッチェというふたりが番組で「ああもうホントに、和山センセイったら(ノД`)・゜・。」とためいきついてしまうのが、とてもよく分かります。時代はふっくらと、りりしく。私の職場にもひとりそういう方がいらして、肉の日にすた丼を食べに行くことをこよなく愛しています。
酢豚(古老肉)にパイナップルが入ってるのは清朝以来の伝統ですので、あまり考えなくてもいいかと。私は先日行ったベトナム料理店で、海鮮炒めにパイナップルを入れるセンスにすっかりイカれています。
Mực xào thập cẩm
以上