『花の浮草』読了

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カバー装画 モネー「睡 蓮」ブリジストン美術館蔵 読んだのは1971年の三刷。

花の浮草 (新潮社): 1965|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

いつか読んでこます本リストに入れっぱなしで、なんで読もうと思ったか完全に忘れていた本。誰かのモデル小説らしいと、読みながら理解出来ましたが、誰なら、というところが分からず、読後検索したら真杉静枝という人でしたが、知らぬ。

真杉静枝 - Wikipedia

以前の日記を検索すると、いい加減にしてよアグネスの林真理子も真杉静枝を主人公にした小説を書いていて、そっちを先に読んで、で、『武漢作戦』&生きてゐる兵隊サンの石川達三もこの女性をモデルに小説を書いているのなら、読んでみようと思った、らしいです。たぶん。過去の自分の心の動きの轍を遡行する作業はいつもアホくさい。棚卸しなら棚卸しですが、こんなの棚卸しじゃないので。

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石川達三の小説は日記を書き始めてからは、ブラジル移民の『蒼氓』を読んでいるはずですが、当時の日本の農村は囲炉裏の煙などで眼病(トラホームとかでしたか)が多かったが、それが分かると新大陸に上陸出来ないので、売薬などでだましだまし、船医もグルで眼病ごまかして上陸、のくだりしか覚えてません。

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さらにいうと、なんでマリコの部屋で夜更けの縄跳びの真杉静枝を読もうと思ったかというと、台湾カルチャーミーティングで、先祖が大和で雷電を作っていた歩道橋の魔術師の翻訳者が作成した、台湾を扱った日本小説一覧に『女文士』が入っていたからだと、Stantsiya-Iriyaさんの日記を読んで初めて分かりました。そうだったのか。この小説一覧には、台湾新幹線を描いてNHKでドラマ化された吉田修一『路』や、吉本ばななのなんだかなーみたいな小説が、いろいろ入ってました。ひととおり読んでみようと思ったはずですが、達成出来たのか、途中で忘れたのか、不明です。

モデル小説というものの捉え方が、松本清張の杉田久女の小説もそうでしたが、現在の社会的道義責任的価値観からすると、どうにもというところがあり、それが、同性の田辺聖子が描いた場合それほどでもないので、虎の威を借るではないけれど、男性が悪女を描くというのは往々にして見苦しい、で、ファム・ファタールに滅ぼされる情けない男を描く時だけ、男性作家の筆は冴える気がする、清張なんかとは違うタイプの作家ですが、と思いました。以上