『日本の小さな本屋さん』読了

これもビッグコミックオリジナル『前科者』で登場人物が読んでいた本。マンガの中ではこれほどの大きさとは思いませんでした。A4くらいのサイズはあるんじゃないでしょうか。写真 砺波周平 デザイン 芝晶子(文京図書室)エクスナレッジという出版社名にまったく認識がなく、どこのウェブから出てきた人たちだろうと思いましたが、日本ハウジングセンターが1958年か1959年創刊の建築知識を合併して、新世紀エクスナレッジに社名変更したとのことです。地元の図書館に蔵書なく、来るとしたらTSUTAYA図書館からかなと思いましたが、ぴあの表紙のやまとん号のナントカウスから来ました。

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 キンドル版はないみたいです。

はじめに

 小さくても個性的な本屋は全国各地にたくさんある。

(略)

 本書では、全国、津々浦々にあるそんな23の本屋を紹介する。

 そう言いながら、北海道東北、四国、沖縄はまったく登場しません。23軒しか紹介出来ないから仕方ないのか。中部も、長野県だけで、しぞーかも名古屋も出ません。でも長野市は二軒出る。中国は岡山倉敷と広島が出ますが、地球防衛軍は出ません。本屋じゃないので。新潟なども出ないわけで、もちろん神奈川県も出ません。続編が二年後の2020年に出て来るので、ある程度本書未収録地域もカバーされてると思います。そのへんの注釈、ことわりがきがまったくないのが、本書の醍醐味のひとつでもあります。おそらく著者は、「紙数の関係で紹介出来る書店の所在地に偏りが出てしまったが、全国にまだまだ魅力的な小さな書店はたくさんある。またいずれ機会が得て、日本の小さな書店を紹介してゆければさいわいである」みたいなことを書く必要性を一切感じていない。

こうなった理由は、二つ考えられます。①こういう断り書きをするのが礼儀なんだよ、と、社会に出てからは出版社、学生のうちはゼミなどで厳しく躾けられなかった。指導教授は、コピペの盗作論文をチェックするだけで日常業務の85%を忙殺され、まったく余裕がない。②「ここに登場する書店以外にも素敵な書店はたくさんある。私は2010年サラリーマンの傍ら書店の魅力を伝える「BOOKSHOP LOVER」の活動を始め、現在は独立。そちらもご覧頂ければ、全国のさまざまな書店の素晴らしい活動ガー」「あ、ステマ」「ステマだ」はっきり言う場合はステルスじゃないと思いますが、とにかく個人の宣伝と結び付けて攻撃されるのを極度に嫌うあまり、弱みを見せることにもつながる、23のチョイスが均等でない旨を、あえて文章化させなかった。

さて、①②どちらでしょう。

本書に出て来る書店で、私が知ってるのは京都一乗寺恵文社のみ。そもそもカフェ的な書店でまったり和もうと、もう思わないです。私も台北の誠品書店に行った時は驚きましたが、もうそれは昔の話。今は、図書館で借りて、家か職場、あるいは飲食店で読むだけです。で、東京の書店含め、本書掲載の書店が、継続年数が10年未満な、サスティナブル的なアレな書店ばかりなので、吉本ばななの随筆で、賃料が高いから、自分で自分をやりがい搾取する時期が終わると、だいたいみんなカツカツ人生に見切りをつけるみたいな文章があったのを思い出しました。

stantsiya-iriya.hatenablog.com

一軒目の書店が、そろそろこうしたやりかたにもあきてきた、と、うまい転戦理由を言ってるのにもニヤリとしました。この本の内容はすべて2018年7月のものだそうです。

で、著者のツイッターを見たら、あーポポタムがいる、とか、リービの弟子の温又柔がいる、とか、リツイートの多さに驚きましたが、著者もまた下北に書店を開いたとあり、ばんがれと思いました。で、このリツイート群に入ってるのかどうか知りませんが、桜が丘の書店は私も一度行ってみようと思ってるので(もちろん面識はナシ)そういう方向性は著者的にはどうならと思いました。

www.kanaloco.jp

 以上