ヒューゴー賞(雨果赏)栄獲(荣获) 大谷真弓訳 初出一覧では《文艺风赏》2014年2月号掲載とあるのですが、英文説明では雑誌名を"ZUI Found"と書いていて、"ZUI Found"なら《最发现》ジャナイノと思ったのですが、"ZUI"シリーズは途中から漢語名を変えてる感じでした。理由は知りません。
『「八〇後」作家の出版研究 ー郭敬明集団による出版文化作業の創出を中心に』張瑶 2014/07/17(東京大学中国語中国文学研究室紀要 第17号)
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最世文化の出版事業は、雑誌『最小説』(ZUI NOVEL)と『最漫画』(ZUI COMIC)の編集作業にはじまり、より幅広い分野を扱う雑誌『文芸風象』(ZUI Fount)、『文芸風賞』(ZUI Found)『放課後』(After School)の刊行、「THE NEXT」作文大会を主催することを通じた新人――「ZUIer」の育成、外部企業の依頼も受ける「ZUI Factor」デザインプロジェクトなどにまで広がり、「ZUI(最)」という文化企業ブランドを確立するに至った。民営出版組織の「文化有限公司(文化株式会社)」として、「最世文化有限公司」はすでに中堅出版社と同等の規模を持つに至り、精密な分業体制により高い効率性を実現した「文化出版集団」となったといえよう。
有限コンスが日本で言う株式会社相当かどうかは兎も角、日本でもラノベが「なろう系」にとってかわられたなど、若者を巡る出版事情には変化があったわけで、それは世界的なダイナミズム、うねりの一環かもしれず、中国もまた、そのホワンチウナントカとは無縁でなかった(過去形)ということなのかも。
画像で見る"wenyifengshang"表紙には確かに"ZUI Found"と併記されているのですが、バイドゥの記事にその記載はありません。英訳は2015年、"Uncanny"というSF雑誌に。
Folding Beijing - Uncanny Magazine
う~ん、これは… この小説は…
中国が嫌いな人からすると、共産党中国の階級社会、階級格差を、SFという手法で「見える化」したと思うかもしれず、それは、当の中国人は空気のようなものだった点への「気づき」なのでしょうが、今そんな話をしてもと。
むしろ、人口爆発と都市集中がもたらす、ひとつのSF的未来図の中に、急激な少子化のリアル(収入や時間配分などに出産育児の入る余地がなく、その前段階の、愛を語る時間もない)がすでに織り込まれていることに、素直に喝采をしたらよいかと。中国の創作者はどこを戦場にして活動したいのか、するべきなのか、したらよいのか、やっぱり考えてしまう。
stantsiya-iriya.hatenablog.com
1950年代の北京のひとりものは、海外帰国子女のやもめのオッサンで、つれそったらいつ批判対象になるか、こわあてこわあて、みたいな人だったですが(社会の大部分が若年くっつき所帯形成)時はめぐり、中国は変わる。
stantsiya-iriya.hatenablog.com
実は、ネタバレかもしれませんが、読後、上記ラサを舞台にした小説を思い浮かべ、北京とラサではかくも違う(作者の境遇も)ということに思いを馳せました。もっとも、かくけいほうさんのこの小説の冒頭、第三スペースの屋台の描写は、北京というより东莞みたいに私には見えたです。あと、足が長時間はさまれたのにこの展開はご都合主義かもな、と。
以上