カワ・ラモ ཁ༌བ༌ལྷ༌མོ། kha ba lha mo『チベット女性詩集 現代チベットを代表する7人・27選』དབྱངས༌ཅན༌པི༌ཝང༌ལྟང༌ལྟང༌། "Tibetan Women's Poetry Collection. 7 Representatives of Modern Tibet, 27 Poems." (現代アジアの女性作家秀作シリーズ)(Contemporary Asian Female Writers Excellent Works Series)

チベット女性詩集│ゾンシュクキ/デキ・ドルマ他

編訳者:海老名志穂サン。段々社編集坂井正子サン。装丁者未記ながら、担当されたということなのか、草本舎の青木和恵サンにイラストレイアウトの謝辞。イラストは蔵西サン。日本学術振興会特別研究員研究奨励費と東外大AA研共同利用・共同研究課題「チベット・ヒマラヤ牧畜文化論の構築 ー民俗語彙の体系的比較にもとづいてー」の成果一部。

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概括は上記。

六人目はカワ・ラモサン。ཁ༌བ༌ལྷ༌མོ། kha ba lha mo 私の模造記憶で、オジュクキサンの写真をカワ・ラモサンだと思い間違いしてました。この人もアムドのしとで、祁連山山脈を越えるともうそこは酒泉、張掖の甘粛省河西回廊という辺境、天峻県のお生まれだそうで、セルニャでは、妖怪テウラン絡みなどで、たびたび天峻県が出てきて、縁があるのかなと思いますが、天祝県と天峻県を私がごっちゃにしている可能性もあります。

Tianjun County - Wikipedia

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この県から甘粛側へは、未だにまともな道がないようで、酒泉、張掖や嘉峪関にこの辺から山越えして行きたいと思ったら、原爆工場のあった門源のほうの道から行くしかなさそうです。衛星写真で秘密道路が見れるかと思ったけど、なんもなし。

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下の歌にもカワラモと書いてあるのですが、関係は分かりません。同姓同名かもしれないし、さっぱりさっぱり。

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打ち込んだチベット文字が合ってるか知りません。この人の詩がいちばん多く収録されていて、六個もあります。

ケルサン・ドルマの物語སྐལ༌བཇང༌སྒལ༌མའི༌གཏམ༌རྒྱུད།

初出は青海民族出版社から2014年に出た詩集『雪の耳飾り』ཁ་བའི་རྣ་ཆ​། カバイマチャとでも読むんでしょうか。ཁ་བའི་が雪で、རྣ་ཆ་​が耳飾り。

若い時の恋は盲目と言いますが、駆け落ち同然に夫の家に雌ヤクを連れて転がり込んで、婚家の嫁いびりと夫のDVに耐えかねて、青タンこさえて実家に帰ってくる話。胸にはみどりご抱いて。

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上は、男性側の歌に過ぎないんだなと。

あなたはまちがっているའཇིག༌རྒྱུ༌མེད༌ན༌བསམ༌བྱུང་།

初出は青海民族出版社から2014年に出た『雪の耳飾り』ཁ་བའི་རྣ་ཆ​།

テーマが、喜捨というか、富めるものが貧しいものへ分配することを嫌がることへの、ダメ出し、ノーですので、国家的にオッケーなネタなんですが、おそらくは女性が男性にモノ申してるので、そこがチベット的に革命的なのかと。

2023年度全国キャンペーン:聞こえてきた声|ACジャパン

日本人のヨメさんのアムドの牧民のひとが、ほんとに日本人ヨメはああいえばこういうみたいなボヤキをしてたようなしてないような。

涙なんてないང༌ལ༌མིག༌ཆུ༌མི༌འདུག

初出は青海民族出版社から2014年に出た詩集『雪の耳飾り』ཁ་བའི་རྣ་ཆ​། これもネットにありました。

ང་ལ་མིག་ཆུ་མི་འདུག-མཛེས་པའི་ཕ་ཡུལ།-མཚོ་སྔོན་ཞིང་ཆེན་སྲིད་གཞུང་དྲ་བ།

下記と同じことを詠ってるとしか思えなかったです。作詞の陽水サンもそう思うんじゃいかな。

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私は、「泣くのは浄化でもなんでもない」とか「泣くのはただの反射」とか自覚する日々ですが、それすらも、なんだかちがうと感じてた。

ダムニェンを弾いて歌をうたおうཁྱོད༌ནོར༌སོང་།

初出は青海民族出版社から2014年に出た詩集『雪の耳飾り』ཁ་བའི་རྣ་ཆ​།

Dramyin - Wikipedia

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原題にはダムニェン༼སྒྲ་སྙན་༽という単語は入ってません。

ここでダムニェンのイラスト挿入。

消えないでほしいと思うངས༌པི༌ལྦང༌དཀྲོལ༌བཞིན༌གླུ༌ཞིག༌ལེན།

初出は青海民族出版社から2014年に出た詩集『雪の耳飾り』ཁ་བའི་རྣ་ཆ​།

消えないでほしい存在とは何か。王宮(聖権)、文字(ことば)、民族(なかま)

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小さな村のはずれをめぐっている時སྡེ༌ཆུང༌ཆུང༌སྡེ༌མཐའ༌སྐོར༌དུག

未公刊で、執筆自体は2022年だそうです。

私が書くとしたら、こんな感じでしょうか。

今朝 阿夫利山を仰いで 相模川を見た。チベットの地を想った。

なぜこの人の詩がいちばん多く収録されてるか、分かる気がします。大上段に構えたいさおしでもなく、女性だけが体験する出産育児の詳細でもなく、愛でもない。愛に隠れてすぐ忘れ去られてしまう、日々の名もなき感情の、短いセンテンス。感想も、ことばを失うことなく、ひとつひとつていねいにつけることが出来ました。

そのあとはイラスト。童女、成人女性、成人男性、若年僧のスケッチ。

その後、【コラム6】「詩に詠み込まれた牧畜風景」海老原志穂サン。ほかに比べて社会的な記述は少ないですが、それでも、女性が伝統的に担ってきた家事労働の部分、糞拾いや乳搾り、バターづくり、炊事などが文学に描かれるのは、女性の書き手が登場してからの80年代以降という記述が見られます。私は、男性のバターづくり見たことあるのですが、奥さんの体調が悪かったのか、そういう家だったのか。夕暮れの草原で、糞拾いの兄弟婚とおぼしき女性について、なんか兄弟が私にエロいひやかしをしてきたこともありましたが、こどもだから分かんない。ぼく五歳©萩原一至