この巻の表紙はユルールだと思うんですが、彼は髪を下ろしてるはずで、このような七三分けではないので、何か、なんだなあと思います。作中のヴェロニカサンと同じ理由で作者が疲れてるのかもしれない。現在進行形のまんが&感想でそんなことを書いたら性骚扰ですが、十二年前のまんがだから… 「ダメなものはダメ。山が動いた社会党」
「月刊!スピリッツ」2012年8月号~2013年1月号掲載。連載担当/山崎敬仁 単行本責任編集/高嶋雅 単行本編集/山崎敬仁、槌田征良(銀杏社小学館ナニング)

巻末にアシスタント六名明記。装幀/孝橋淳二 東外大AA研准教授荒木サンと新潟大超域学術院准教授佐藤サンと弘前大人文学部教授松井サンへ謝辞。買ったのは二刷*1帯なし。
頁20
瀕死の負傷のジルグス「その西夏の文字にてか。くだらぬ。どちらも近く滅ぶ。我が金国きんこくも。すぐれた王を―― この時代にいただけなかった不運のために。無念よ」
(回想:ハラバル「「すぐれた王」はモンゴルに居る。そうモンゴルには神ほどの」)
ユルール「——だれをもへだてなく救う“すぐれた王〟なんているのか。金国の人、西夏の人。いかなる王の世にあるか、の偶然のみが人の幸、不幸を決めるなんて。これこそが――無念じゃないか。おれはくやしい。何千年とそれが続いているから、それだから従うというのは」
ジルグス「かくもきかん気の小僧だったか」
ボルドゥ「このわしも苦労する」
ユルール「ボルドゥ!」
ジルグス「きかん気のままで通せるつもりか」
(略)
ユルール「文字を手に入れれば、人は出会うことができる。時と道のりも超えて。人が人を知り、結びつくことができる。扶たすけ合うこともできる。文字は多分—— 人人が扶け合うしくみを作ることもできる。どんな王の世でも、王の不在でも、いつ現れるかもわからない”すぐれた王〟の、来るのかもわからない救いを待つまでもなく―― 人々自身が人を救う。いつでも」
(ジルグスの内心の声:「——王は不要だと… 王というものを棄ててしまえと―― 言い放ったか」)
ジルグス「…死んでもかなわぬ夢よ… この俺は―― 王道というものがあると信じた。民を導き世を救う、すぐれた王の現るを待った… 王道の成るを待ち、己は王佐おうさの生を往いかんとし―― …そして今日、死んでもかなわぬ夢となった。だが… ははっ… ははっ… はあっはははっ」
(ジルグス内心の声:「…死ぬその日に新しい夢を… 途方もない夢を聞き、新しい景色をかいま見た)
ジルグス「まこと愉快な語らいだった。この剣はおまえが抜け。…ユルール。何処にあってもおのれの、生なまの台詞を吐け―――」
(ジルグス内心の声:「——面白いものだ。いま、あの方(金に幽閉された北宋最後の皇帝・徽宗)のお気持ちがわかる」)
ジルグス「…言い放ったこととは不思議と逆に―― まるで王様だのう、ユルール…」
断首
坂口尚『石の花』というよりは、厨房作家(©2ちゃんねるのスレッド名)田中芳樹っぽい思想の会話だなと思いました。7巻くらいになると、時代も近いし、影響が出てくるのか。特筆すべきは、これが近隣民族同士の会話で、「皇帝専制」vs「王侯将相いずくんぞ種あらんや」の会話を紀元前にやってた漢族と無関係という点です。陳勝呉広の乱の漢族が出るのは次の巻で、日中関係の悪化も踏まえたのか、かなり作者の漢族を見るまなざしはシビアです。
独逸人の修道女も出るし、ナイマンだかケレイトはネストリウス派キリスト教だったはずで、ロシア語のツァーリの語源は古代ローマのカエサルですが、このマンガに古代ローマの元老制や古代ギリシャの議会政治なんかの影響は今のところないです。
頁151に、家畜化したトナカイが髑髏をたくさん角にひっかけて歩くコマがあります。これまでもたびたび家畜のトナカイ出ていた。このまんがのタイトルの「モンゴル語」シュトヘルは、ハルハ・モンゴル語やチャハル・モンゴル語ではなく、ブリヤート・モンゴル語ではないかと韓国で噂されてた件は前の巻の感想で書きましたが、確かトナカイを家畜化してるモンゴルはシベリアのブリヤート・モンゴルだけと、海外青年協力隊員が置いてったナショナル・ジオグラフィックの記事で読んだ記憶があります。そういうシグナルなのかなあ(ちがう)
巻末おまけ四コマ。作者も敵キャラに「美形」がいないことを気にしてたことが分かります。
頁206
足りぬか2
とうとう若き いけめんが登場したよ!!!
ナランての
はげでもデブでもおじさんでもおじいちゃんでもないよ
友達 かりあげだね
もしィ 人気ばくはつしちゃったらどうしよう~
ふだん着ないのにベストジーニストに選ばれたりネ
かりあげだね
18才でふたごで王子なんだよ? ね
でもかりあげだね
おまけまんが「居酒屋あの世」ではイバハがまだ来ないという話をしてて、ひょっとしたらこんなところで伏線と思い、ウィキペディアを見たら当たってました。イバハの漢字、亦巴哈は珍しくバッチグーでそのまま北京語でもそう読めます。
トゥルイと私が覚えていたトルイが実はふたごで、成人前の死亡率の高い社会なので、ふたごのかたわれは影武者として育てられた、という新キャラ説明。メルミというょぅι゛ょを連れ歩いており、次の巻を読むとょぅι゛ょの部族もまたツォグ同様全滅させられてます。頁199に歌と書いてホーミーとルビが振られてますが、説明がなく、読者はすぐ分かったのだろうかと思いました。


カバー折とカバーを外した表紙。西夏文字の意味は分かりません。これ、最終巻くらいにどばっとねたばれするんでしょうか。
西夏タングートの文字盤・玉音同ぎょくおんどうをめぐり
衝突する金国軍と蒙古軍。
敗北を悟った金の将軍ジルグスは
ハラバルもろともの爆死を選ぶが……
一方、ユルール救出を目指し同じ地を目指す須藤。
シュトヘルの肉体に転生している彼の内面にも、
重大な変化が起き始めていた………!!
毎
日
書
い
て
る
の
で、もうあまり感想がない… 以上です。


