「グリーンブック」"Green Book" 劇場鑑賞

用事の後レイトショー滑り込み。

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海老名

gaga.ne.jp

 スパイク・リーがこの映画に憤然としてたそうですが、具体的にどこがどうムカついたのか。知りたいですが、その辺のまとめサイトだと分からないです。理研の麻婆茄子の動画貼っておきますが、たぶん削除されるんだろうな、この動画も。

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味の素 クックドゥ1 麻婆茄子用 120g

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 私はこの映画の事実と違う点を探す係員ではないのですが、実物のドン・シャーリーがレニングラードに行ったことはないとウィキペディアに書いてあったのには参った。「はぐれ黒人」シャーリーがどこでキングスイングリッシュを学んだのか考え、レニングラードで旧英領アフリカ諸国からのソ連留学生と交流があったからとの仮説を建てたのに、オジャンじゃないですか。だいたいトリオのメンバーのロシア人とドンがロシア語で会話する場面はどうなるのか。

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Shirley also was invited to the 'Leningrad Conservatory of Music' as a child by a member of the audience, but he never went there.[6]

ブラック・クランズマンとこの映画、ビールストリートの恋人たちとこの映画、を比較するまとめサイトは見つけましたが、三つまとめて批評するとか、あるいはムーンライトやブラックパンサーもそこに加えてみるとか、そういうまとめサイトはなさそうな気がします。ビールストリートは、ハヤカワが新訳出してくれたのはいいのですが、もともとのタイトル『ビールストリートに口あらば』"If Beale Street Could Talk"を崩したのは残念。

ビール・ストリートの恋人たち (早川書房)

ビール・ストリートの恋人たち (早川書房)

 

 スパイク・リーもはぐれ黒人なので、それでかと思うのですが、でもドン・シャーリー2013年没なわけなので、生前のドンを知ってもいるでしょうし、それで違いにイラついたのかもしれないと。ロバート・ケネディが電話をかける原因となった男同士の裸の付き合いとか、毎晩一本カティサークだかなんだかを空けるとか。そういう小ネタがウィキペディアに書いてないので、戸惑う私。

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だいたいこのポスター自体がフェイクですもの。尊大でふてぶてしい黒人にこのポスターでは見えるけど、実際の映画ではバカていねいな言葉喋るはぐれ黒人ですから。繊細で、自分を殺して生きる術を身につけた男。

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行こうぜ、相棒。 あんたにしかできないことがある。

スパイク・リーがイタリア人をどう描いてきたかというと、ドゥ・ザ・ライト・シングで黒こげにされるピザ屋の親父とか、ジャングル・フィーバーで黒人と寝たばっかりに父親と男兄弟からベルトでしばかれる娘とか、未見ですが、戦争映画まで、黒人部隊がイタリアで戦う話にしている。

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セントアンナの奇跡 - Wikipedia

その意味で、虎狼の血が、東映の、たけしのアウトレイジへのアンサー映画だと言われたように(言ったのは古館一郎)、グリーンブックも、スパイク・リーのイタリア人描写へのアンサー映画なのではないかと思ったりもします。イタリア人は半分黒人で、字を書けば綴りを間違える。メリーに首ったけの監督の作品ということで、お下品ギャグを期待して行ったのですが、他の人の批評にも触れられてますが、そういうのはなかった。強いて言えば、いつもくわえたばこで、食事の場面でもタバコ吸いながら食べたりなど、誇張されたヘビースモーカーぶりなのですが、これがひところ喫煙シーンを一切入れなかったハリウッドへの映画人の抵抗だとしたら、「分かりづらいっす」とだけ言います。

あとはなんだろう。手紙の場面がいちばんウケてました。カーネルサンダース使えなかったのは何故だろう。オリエンタルが登場する場面はぜんぶで三つ。前の面接の「チャイナ」砲艦サンパブロのマコちゃんみたいな若いバーテンが、白人に対等に"ShoutShut up!I'm talking!"と怒鳴る場面。ディープサウスのスパゲッティはケチャップで味つけしたチャイニーズヌードルだ、の三つ。真ん中だけ日系人ぽくもありますが、ぜんぶシノワですよと言われてもそうかもなと。メリクリのイタ語「ブオナターレ」を「ボン・ナターレ」と字幕書くのはへんじゃないかとか。でも「ブオン・ナターレ」と聞こえるんですね。確かに。ブオナセーラは一節の単語ですが、ブオン・ナターレはふたつの単語による熟語。

buonasera の発音: buonasera の イタリア語 の発音

Buon Natale の発音: Buon Natale の イタリア語 の発音

ぬるい映画であることは確かなので(だからのんびり観れてよいとも言えます(´▽`)、ブラッククランズマンは見るつもりでビールストリートは見ないつもりでしたが、ビールストリートも見てみるかなあと。以上

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【後報】

思い出しましたが、スパイク・リーは、彼のいちばんの代表作、と私は思わないのですが、多分彼自身としてはいちばん力を入れた作品、マルコムXでも、イタリア人の血を引いてると自慢する黒人をマルコムが殴打して「この鼻か? この鼻がイタリアなのか?」と文字通り鼻をへし折る場面を入れてます。私の勝手な考えでは、東部アフリカの、エチオピアとかケニアの黒人は鼻がすっとしてる人がいると思うのですが、気のせいかもしれません。ナイジェリアや象牙海岸、ガーナやカメルーンがだんごっぱなやぺちゃっとしたはな、横にひろがったはな、かどうかも、印象で語るのはあれなので黙秘。そういう話になると、セザール・サンパイオが、来日当初とその後で鼻のかたちが違うのを思い出します。イタリアでなくても、アラビア人もインド人も鼻筋通ってると思うのですが、その辺の世界観があれで、映画マルコムXでもマルコムがサウジに行って正統派ムスリムに目覚めるあたり、幻想的には撮ってますが、スパイク・リー的にはマルコムの回心は受け入れられないのではないかと。あと関係ないけど、チベットには幾つかマルカムという地名があります。

マルカム県 - Wikipedia

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あと、「ブオン・ジョルノ」とは確かに言わず、「ボンジョルノ」だなと思ってみたり。ボンジュールに引き摺られてるのかどうかは知りません。

(2019/3/11)

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TAMA CINEMA FORUM 第29回映画祭

座間

(2019/11/16)