装画 櫻井乃梨子 装幀 芥陽子(note)
訳者の松永美穂サンのエッセー『誤解でございます』を読んで、この本を読もうと思ったのですが、それが何故か、もうまったく思い出せません。
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英語で書いてたら、柴田元幸とかが大好物だったのかなあ、くらいしか感想が残りませんでした。とにかく若いキャラクターが旅行ばっかりするもんで。アイスランドとかチェコとかフランスとかアメリカとかイタリアとか。「若いドイツ人の旅行者」がそこにいるというふうに脳内でジグソーパズルをあてはめると、もうそれで、って感じで。
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左はカバー折。若いデス。でも墨入れてるかもしれない。鉄分が入ってないので、MRIだいじょうぶなやつ。
訳者あとがきで、原題は「幽霊ばっかし」とか「まさに幽霊」みたいな言葉だけど、版元のカワデ(田中優子さんと木村由美子さん)と相談のうえでコノタイトルにしたんだそうで、ぜったいポール・オースター意識してると思いました。そしてそこにも、英語翻訳者シバターの影。
もっとゆっくり読みたかったのですが、そうも言っておられず、ヴィム・ベンダースはパトリシア・ハイスミスを『アメリカの友人』にしたんだよなあ、とか、シバターといえば、マキシーン・ホン・キングストンの『アメリカの中国人』こそちゃんと読み終えなけりゃあなあ、とか、《走马观花》は走馬灯に呼応し、《彷佛》はそのまま日本語で「ほうふつ」だが、英語はそうではない、とかgdgd思いました。
『ヒモ』という作品には、欧州の湯治場に長期滞在して死んだ中国マダムの伝聞が登場し、「中国までは長い道のり」"It's a long way to China."という英語の一文が繰り返しリフレインの同語反復なのですが、今はウィーチャットのグループに囲い込まれて相互監視だから、どれだけ中国から遠く離れても逃れられないんよ、とziyanziyu.
なんだかよく分かりませんが、中国料理(具体的には何を食べたか不明)が出る確率が高くて、そして、スシやテンプラは一回も出ませんでした。今のドイツはそんなものか。
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読み始めるまで著者を女性だと勘違いしていて、ジュディスを男性と思うわけないのに、なんでだと悩んで、松永さんがやはりエッセーでよく書いていた、ベルンハルト・シュリンクとごっちゃにしているからだと気づきました。こっちを読めばよかったかも。
『ルート(女ともだち)』という話には、ラオルという男性が登場します。彼を女ともだちはラウルと発音。しかし、スペイン系なら、ラウールのがふつうではないでしょうか。
ドイツ語だと「ガオル」のようにも聞こえるので、アールがガーと聞こえるのはむしろフラ語ではと、フラ語のforvoもみましたが、フラ語のラウルはそんなにクセ強くないかったです。
それくらいで。以上