装丁 成原亜美(成原デザイン事務所) カバー写真 Chongtian/EyeEm/gettyimages
三つ目の作品。初出はチベット語版『路上の陽虎』2012年。鳥葬の話ですので、漢訳の漢語タイトルは《天葬》があやしいとにらんでますが、読んで確認しようとまでは思わず。訳者解説によると、ここでいう風は中国共産党の赤い暴風だそうで、『ナクツァン』*1なんかにも書かれた50年代アムドの大規模蜂起(起义)とその鎮圧、整風運動を指すとか。間違ってもハルキ・ムラカミが書いた、下記のようなオトコくさい小説ではないと。
新中国にならはってからずっと苦労しはったえらい行者さんが死んで、鳥葬しようとしたけれど、肝心のハゲワシがちっともつつきに来てくれない、という話で、その行者さんは結跏趺坐のまま死んだので、その状態で鳥葬場にほってたとか。かつてアメリカの小説*2で読んだ、チベットの村落共同体で下に見られると聞く鳥葬執行人、死体をブッタ切ってバラバラにしてハゲワシが食べやすいようにする仕事のひとは、今回何したはったん、と思いました。結跏趺坐のままお亡くなりになったので、あまりにありがたいからそのままにとは書いてありますが、業者はそんなことではひるまないはず。そこが、気になったと言えば気になったです。以上