གཉིད༌དུ༌ཡུར༌བའི༌ཆུ།『眠れる川』"The Sleeping Stream"《睡觉的水》読了_ལམ༌གྱི༌ཉི༌འོད།『路上ろじょうの陽光ようこう』"Sunlight on the Street"《路上的阳光》ལྷ་བྱམས་རྒྱལ། ラシャムジャ lha byams rgyal 拉先加 日本オリジナル短編集 Japan Original Edition 日本独创短篇集

『路上の陽光』ラシャムジャ|海外文学|書籍|書肆侃侃房

路上の陽光

路上の陽光

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装丁 成原亜美(成原デザイン事務所) カバー写真 Chongtian/EyeEm/gettyimages

(1) バイドゥのラシャムジャの項目にも出て来る小説。中国の少数民族文学におけるもっとも栄誉ある賞、「全国少数民族文学創作駿馬賞」第12回短編部門受賞作だそうで、中国で〈駿馬〉といえばオーノス・チョクトセンセイが首ったけな张承志《黑骏马》から来てるのかなあ、という。

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བོད་རིགས་རྩོམ་པ་པོ་གསུམ་ལ་སྐབས་འདིའི་རྟ་མཆོག་བྱ་དགའ་ཐོབ།

で、日本オリジナル短編集のうち、ふたつが新作、ふたつが『路上の陽光』、あとの四つがこの『眠れる川』を表題にした短編集から来てることが分かりました。もうこれで、『眠れる川』収録のあとの三つの小説に関しては、タイトルをひともじひともじ打ち込まなくても、コピれるって分かれたので、よかったです。この短編集の出版社名も、ཀྲུང་གོའི་བོད་རིག་པ་དཔེ་སྐྲུན་ཁང་།ってなんだよ状態でしたが、偉大なる検索の成果で、中国蔵学出版社と分かりました。

(2) 漢訳が《睡觉的水》で、邦訳が『眠れる川』で、原書の表紙に載ってる英題が"The Sleeping Stream"で、それぞれちょっと違います。漢語の〈水〉は、「河川」に相当する〈江水〉的意味合いかと思われます。主人公の幼少時の思い出に出て来る川や、洗車場の名前が『眠れる川』で、それぞれサンブンというか三声二声のお手本なのでいっとうさきに覚える単語のひとつの散文san3wen2というか、詩的なエピソードがキラキラ光ってるのですが、それとリンクさせていいものかどうか。母親との会話から英題を察するに、前田美波里、否美空ひばりの歌のような、川の流れ的意味合いがあるので、『まどろむ流れ』『まどろむせせらぎ』みたく訳してもいいのかもしれません。と、原題のチベット語がまったく分からないのにまくし立ててみるてすと。気がかりな点として、冒頭のラサ市街の交通事故の場所を地図検索すると、すぐそばに、渋谷川みたいな暗渠があることが分かりました。そのせいかどうか、衛星写真と地図とで、ズレがあります。これが暗喩として絡んでくるのか来ないのか。

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ダムラ路が《当熱西》路で、パークリー路が《巴爾庫》路。シュー新村路が、これすごくおかしかったのですが、《雪新村》路。《新村》は、シンツンxincunと呼んでくらっさい。その上に《中干渠》という川が見えますが、衛星写真だとありません。伏流水というわけでもなく、渋谷川のような暗渠なのでしょう。それか、埋め立てられたか。

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小説中の描写によると、ムスリム職人たちが働く鉄工所が西側にあるそうで、グーグルマップを拡大すると、「雷雷不銹鋼」「三禾不銹鋼」といったステンレス鋼(不銹鋼)の加工場が見えるので、それのことかと。回族がやってるんですね。この辺りにはほかにも、「張信戸水泥直銷店」(セメント卸)「漢江玻璃鋁材」(ガラスとアルミニウム)などのお店が。漢字って、ホントウに楽ですね。漢字とアルファベット以外のほかの文字だったら、こんなに見当つきまへん。

(3) 『路上の陽光』から始まった三部作の二作目だそうで、完結編はまだ書かれてないみたいです。おそらく、『路上の陽光』があんまりにも、そりゃないぜセニョリータだったので、フォローする必要があってこれが書かれたのではないかと。これが賞を取った体裁ですが、実際は前作もひっくるめての受賞対象だったのではないかと。それくらい、なんかいろいろ、前作の手籠め騒動を、儒教やらなんやらのタガにハメて越前裁きした感があります。金持ち中年の老母は出るわ、中年は前作押し倒した娘を、その場限りのやり捨てにしないで囲い者にして、怒り狂ったヨメが出奔するわ(ヨメもチベット人なのですが、怒り方が漢族のようだ)さらには、ヨメは家を出る前に、小娘の髪の毛を引き抜きまくったとか。その行為は漢人チベット関係なく、女性暴力の発現として見た方が良いのかも。

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事故現場周辺の洗車場を検索した結果が上記。眠れる川は、あったのでしょうか。以上