『NHKにようこそ!05』"Welcome to the N.H.K." vol.05 STORY:TATSUHIKO TAKIMOTO×KENDI OIWA:COMIC 原作 滝本竜彦×大岩ケンヂ 漫画 (Kadokawa Comics A)角川コミックス・エース 読了

装幀・デザイン COVER DESIGN and PHOTO:大塚ギチGICHI OTSUKA(UNDERSELL Itd.) 月刊少年エース '04年1月号、'05年12月号~'06年4月号掲載

もう五冊目なのですが、なぜこの登場人物たちは、同じところをえんえんループし、足踏みし、逡巡し続けるのだろうとげんなりしだしてきました。う"ぉそっと池井田サン『世界のひきこもり』を読むと、そういうものだからそういうことだと理解はするのですが、もどかしい。同書(やその元サイト)には、「俺も昔はワルだったんだぜ」「俺も昔はいじめられててん(ウソやろ)」と同類項の、「俺も昔は引きこもりだったゼ、克服したけどな」的回想録が載っていて、なんというか、スティーヴン・キングの自伝を読んだときにも思ったですが、成功者ほど核心部分は書かないものだ、なぜなら本人にもよく分かっていないから、を思い起こしました。なぜ、どうしてひきこもりを脱したのか誰も分からない。ハシカのようなものだったとしか思えない。

『世界のひきこもり』“WORLD'S SOCIAL WITHDRAWAL”《环球宅神》by VOSOT IKEIDA 読了 - Stantsiya_Iriya

そういう風潮があるから、「引きはがし」みたいな荒っぽいのが介入する余地があるのかなと思い、検索するとウィキペディアでは「引き出し屋」という項目になっていて、「引き出し屋」と呼ぶべきなのかと思いました。

引き出し屋 - Wikipedia

戸塚ヨットスクールと大阪のかつての名教育者(夜間中学で不良生徒への講演をよくしていたとか)は似ているという論稿を読んだことがあるのですが、その教育者の名前を忘れました。理念なき金儲け主義もいけないし、理念があってもそれがトンデモだといけないし、等々大変だなと。

私が考えるに、とりあえず単純反復作業で体を酷使するやつをやると、頭がカラッポになるので、それをすればいいのではないかと思うのですが、なかなかそれをやる環境が周囲にないと、難しいのかもしれません。池の水ぜんぶバケツでぬくとか、一反の畑をクワ一本で耕してみるとか、そういうの。もちろん強制でなく、自分で考えて勝手に(でも許可はとるべき)やる。

この巻で初めて主人公がソロで表紙になり、借金は親が肩代わりして母親もパートで働きだすという説明があって、アパートから自宅へとお話の舞台が変わり、自宅生活というとその不便しかないのかというくらい、オナニーや勃起の話が延々出ます。相手がJKでも駄目なくらいロリコンなんですかね、この人は。またそういう人向けにも膨大なコンテンツが幾らでも電脳世界に転がっている現代は不幸な時代だと思います、つくづく。

この巻で初めて「脱法ドラッグ」という単語が出ますが、医師の説明の中で出る割には、やはり扱いが軽い。危険ドラッグより生活習慣の問題が大きいなんて、今なら言わないと思います。その意味で、精神医療界に失われた十年があったとしても、驚きません。頁28。両親の苦悩を見るにつけ、高額な謝礼と引き換えに社会復帰を持ちかける業者の存在にリアルさを感じます(業者は登場しませんが)

後輩と彼女、宗教二世のJKとクラスメイトのくだりは、それぞれ、描写はいいのになんでこうエヴァっぽい引きしか出来ないのだろうと、それももどかしかったです。シン・仮面ライダーを見たある人が、庵野人類補完計画を悪認定しやがった、自分が考えたことなのに、と言っていて、私はエヴァンゲリオンはあまり分からないので、分かる人はそう考えるんだと思いました。あと、ぼっち・ザ・ロックという素材の元みたいな場面がありますが、リスカとワンセットなので、扱いに困るというか、どう解釈したらよいやら、でした。キモいとエモいは似たような響きで意味がまったく違うけど、リスカとリスケもそうかなあとか、ハートチップルとか。

先輩女性の結婚後は、まんま松尾スズキの映画「クワイエットルームへようこそ」のオチだと思いました。これまたループ。なんでそうなるのかなあ。女性向けの施設に繋がるという展開はないのだろうかと思いました。考えたら、スリクはだいたいこのパイセン経由で来ますので、この女性がインフルエンサーというか、人を巻き込むタイプなのかもしれません。

『クワイエットルームにようこそ』DVD鑑賞&読書感想 - Stantsiya_Iriya

カバーの英文あらすじ紹介。

(グーグルレンズ)

The existence of the evil organization of "NHK", I happened to find All the reasons why I dropped out from the university, being unemployed and Hikikomori" - homicidal young person - are due to NHK's conspiracy. I'll keep fighting till the day I will beat the vice organization.But one day, an assassin from a religious group, show up to kill me.She is a neat and beautiful giri, Misaki-chan, with a parasol.Who is she? What can save our future contaminated with eroticism, violence and drug? Love, courage, or friendship? This is an ultimate non-stop Hikikomori Action Comic!

(グーグル翻訳)
たまたま見つけた「NHK」という悪の組織の存在 私が大学を中退した理由も失業もひきこもりも全てNHKの陰謀によるもの 一日も早く闘い続けます副組織をやっつけてやるが、ある日、宗教団体の暗殺者が現れて俺を殺しに来た彼女は日傘をさした清楚で美しい義理・みさきちゃんだ彼女は誰だ? 汚染された未来を救うものは何か?エロ、バイオレンス、ドラッグ?愛、勇気、友情?究極のノンストップひきこもりアクションコミック!

この頃も煙草は値上げにつぐ値上げでしたので、喫煙を続ける限り主人公は底をついてないと言えそうです(つまり彼の精神的苦難は続く)

以上