「ホワウェイ100面相」Not "face of farway" But "face of HUAWEI"(竹内亮ドキュメンタリーウィーク)"TAKEUCHI RYO DOCUMENTARY WEEK" 劇場鑑賞①開始から日本まで “开头到东瀛” From start up to Japan.

中国全土でナンバー1のインフルエンサーは、 リアルな中国を映し続けた日本人だった。 ※Weibo 旅行関連インフルエンサーランキングNO.1 (2023年1月時点)

製作国/地域:中国 言語: 中国語/日本語 「国家安全保障に関わる」 として3年前、トランプ前大統領から名指 しで批判された中国通信機器企業・ ファーウェイ。 その後、 CFO の孟晩舟氏がカナダで拘留され、 半導体輸入や Google の使用も 禁止され、 米中関係が悪化するなど、 国際政治の話題に上り続けて 来た。 しかし多くの人は知らない、 “ファーウェイとは一体何をしてい る会社なのか” を。 ファーウェイ本部と 「竹内監督の撮影内容には一切干渉しない」 という約束を交わした後、 竹内は日本を含む世界13カ国を周り、 世界各地に散らばる20万のファーウェイ社員を撮りに行く。 彼らは 一体何をしているのか、誰も見たことがないファーウェイ世界戦略 の真相に迫る。

イ族の人に会うかもしれないので、ネタとしてインフルエンサーが撮ったイ族の映画を観とこうということでサンビスデーに行き、ついでだからもう一本見るかということで、「おひさしブリです、ウーハン」は初期バージョンをつべで見たことがありましたし、英語タイトルが素直に揚子江(Yangyze River)な「再会長江」は、同じテーマにいろんな人が挑んでるので、宜昌より川上に遡航出来なかった『12万円で世界旅行』の下川裕治サンに敬意を表して(うそ)見ませんで、そうすると消去法でこれなのですが、開始早々後悔しました。

館内を二分するカタワレの中国人観客が、人気インフルエンサーのこの超人気シリーズのコアなファン、リピーター、もしくは口コミでうわさを聞きつけたニワカで、特にニワカの私語が途絶えることなくて、うるさいというより、何を話してるか気になってしかたなくなってしまったからです。いちばん中央に陣取った、リアルウォーウルフ(战狼)みたいな恰好の、袖に五星紅旗を縫い付けたホワウェイ私設応援団みたいなオッサン二人と、あと二組くらいが、ギニアのお手軽通信基地開設とカタールワールドカップインフラ設営成功の場面で鼓掌(拍手)してたのですが、ジャンランの片方は、エクアドル環境保護の場面では退屈だったのか、スマホの画面を見やっており、光が漏れてまぶしいので、同じ列のご婦人がいやそうにしてました。そこで中国の广场舞BBAなら即座にひとことモノ申すのでしょうが、何も言わないので、あっ、この奥巴桑日本人だと思い、ジャンラン見てたらそのうちスマホやめて、何故か二人ともマスクし出しました。

パンフ「はじめに ご挨拶」

「竹内亮は中国政府のスパイだ」 by 日本のネット民 10年前に中国南京市に移住し、オウンドメディア会社を立ち上げた私は、 中国社会や文化を紹介するドキュメンタリー作品を撮り続けてきました。 作品の中で少しでも中国を褒めると、日本のネット民にスパイだと言われてしまいます。 これがもし、私がフランス在住でフランス文化を褒める作品を撮り始めたら、 「竹内亮はフランス政府のスパイだ」とは言われないでしょう。
日本に溢れる中国関連情報の多くは、マスコミが日本のモノサシで中国を見て「恐ろしい国」 と決めつけて発信されたものばかりです。 逆に中国にも自国のモノサシで日本を見て批判 する人がいます。 例えば日本で高齢のタクシー運転手が多いのを見て、「こんな御老人を 働かせるなんて、日本はなんて残酷な国だ」と決めつけるのです。 自国のモノサシだけで他国を判断してはいけません。
私はこれまで日中両方のモノサシで中国(又は日本) を見て、撮影して来ました。 有難いことに 「竹内監督が撮る中国は、中国人が撮るよりリアルだ」とよく言われます。 今回の映画イベントを通して日本の皆さんにリアルな中国を見てもらいたい、私はそんな 思いで2020年から2023年にかけて制作した作品の中から、選りすぐりの4本を集め ました。 中国の絶景と庶民の生活を記録した「再会長江』 中国経済を代表する企業を取材 した『ファーウェイ100面相」、 中国社会の現実を映した 「お久しぶりです、武漢』 『大涼山』 など、作品を見れば多角的に “中国の今” を知る事ができます。
中国ほど面白い国は無い、これは数十カ国で撮影してきた私の素直な思いです。 さあ、私と一緒にこの面白くて飽きない不思議な国を旅しましょう!

中国をほめるから叩かれるのではなく、中国の批判すべき点をきちんと批判しないから叩かれるのではないかと思うのですが、网络民=ネトウヨなら、あながちそういう捉え方もまちがっていないのかもと思います。ただ、今の中国で中央政府批判するのは、かしこい人間のやることとは思われないでしょうから、「するわけないじゃん、アホデスカアナタは?」という感じで、彼我の温度差、距離は、永久にどもならんと思います。愚公移山は、けっきょく本人の努力で山が動いたのでなく、努力に感動した神さまが大いなるチカラで山を動かしたわけなので、要するに監視国家の他力本願。

ゲストに関しては、公安に半年拘束された朱建榮教授登壇の回だけ気になってますが、どういうトークをしたんだか。検索しても何も出ません。いっさい触れず、しかし行間で、生きてゆくことのすばらしさを讃えあったのか、あるいは、まるで何もなかったかのようにそらぞらしい時間があったのか。

この映画のポスターも、いちばん目立つ部分が ”华为没有成功“ なので、"好了!竹内先生也认为华为失败"「やっぱりホワウェイは失敗なんですよね」のようにはやとちりしてしまうのですが、よく見ると暗い部分に "只是在成长" と続いていて、「ホワウェイには成功はなく、いまだ成長し続けているだけだ」という日本文が上にあります。ソーナンダー。諸星大二郎『会社の幽霊』は、高度経済成長という夢を永遠に貪る会社のエネルギー複合体の話。

そして、次の文章が "活下去是最大的动力!"「生きることが最大の動力(原動力)です」つまり、朱建榮教授とか、袁克勤教授とか、鈴木英司サンとか、アステラス製薬の人とか、失脚した赵立坚バッカーサンへの、ホワウェイからのエールかと。中島みうきのファイト!なみに沁みる、わけでもないです。

そんなわけで、ジューネイリャンにハートをわしづかみにされつつも、少しでも自分たちの意に染まぬ中国関連が現われると一気に場が冷える、非常にむずかしい舵取りの映画館で、ひとり疎外感を味わいつつ見ました。一気に館内が寒くなった例として、分かりやすかったのがカタールワールドカップで、中国が予選敗退して本大会に進めず、日本がドイツとスペインに勝って一次リーグ突破したわけですから、何を言い出すんだリーベンレン、みたいな不穏な空気が一瞬観客の半分の中を漂ったです。インフラ設営と運営のすべてをホワウェイが請け負った、大変な責任が伴う、重圧がすごいタスクだ、みたいなナレーションが流れて、すぐ場はなごみましたが、「中国が参加しなかった」というナレーションは余計でした。まるでコロナカで不参加だったみたくミスリードされそう。思わず、"淘汰了!"(予選落ちダヨ!)と言ってしまった。

「竹内亮是中华人民共和国的間諜」かどうかは知りませんが、ジューネイシエンションは、日本語でさべるときだけ「ファーウェイ」と言って、プートンホワになると「ホワウェイ」になるのが流石でした。で、エクアドルほかの場面で、英語で"HUAWEI"をはっちょんする人たちはむろん「ホワウェイ」というわけで、要するに日本語だけ「ファーウェイ」というわけの分からないはっちょんでこの半官半民のコングロマリットを呼称させられているので、なんだかなあと思うです。

この人の世代は原宿の竹下通りというかホコ天竹の子族なんかいなかったと思うのですが、なんというかそういう帽子をかぶったファッションで、いかにも中国人の好きそうなイタズラ好きでヤンチャで、でもまっすぐな部分もあるみたいなキャラを立てていたので、すげえなあと思いました。ワイフが竹内サンのファンという人に会った時に「あなた自身がファンじゃないのね」と言ったせりふなどは聞き取れませんでしたが、概して簡単な言い方が多く、なまじ漢検がさかんなくらい漢字が好きな国なので、成語熟語をこねくりまわしたりしたがるナゾの一衣帯水唇歯輔車になりがちな邦人にあっては、稀有のすばらしさだと思います。ギョーカイ人がなにを指差しても「コレ?」と訊くのと同じのりで、なんでもかんでも"这个?" 同様に、山でも景色でも"漂亮", ”漂亮“ で、HSK対策なんかしないので、当然 ”美丽“ などの言い回しは出て来ないわけです。すばらしい。こういうところが、《大涼山》に出てくる、英語訛りのべろべろ中国語でえんえん自己主張をする白人に比べ、ダンゼン中国人に受けるのでしょう。たぶん。出口調査をしたわけでないので、本当のところは分かりませんが。

最初が、例の広東の、おとぎの国みたいな町全体がホワウェイタウン*1で、そこを《白日焰火》に出てくるような軽便電車が走ってゆく光景のドローン空撮です。職場の、上海ディズニーLCC最安値¥6k日元弾丸ツアーに参加した、かつて80年代には訪中団旅行なんかもアテンドしてCITSと交渉してた人が、同じ景色をほめてましたので、竹内亮って人の動画を見たんですか? と訊いたのですが、「忘れちゃった」とのことでした。この人も以前はホワウェイのスマホだったのになあ。

『薄氷の殺人』(英語タイトル:BLACK COAL, THIN ICE)(原題:白日焰火)劇場鑑賞 - Stantsiya_Iriya

その次が海外各地から集まった優秀な新人たちを軍隊式ブートキャンプwithヌンチャクでしごく場面で、海外のそうそうたる大学名が並ぶ中、日本の大学がないかったので、"没有日本的" と言った途端東大卒が出て、私も慌てて "youle" と言ったです。ここは日本育ち以外の中国人観客には、溜飲が下がる場面ではなかったでしょうか。中国の大学高校は、夏季二週間くらい、人民解放軍の指導教官が来て訓練しますので、そうした経験のない、海外子弟が入社後同じしごかれかたをしてザマーミロって感じで。台湾もそういう訓練あったような気がします。「若葉のころ」で見たのか、「あの頃ボクらはアホでした」で見たのか、王貞治サンのパパを描いた小学館文庫で読んだのか。

『あの頃、君を追いかけた』(原題:那些年,我們一起追的女孩)(エイゴタイトル:You Are the Apple of My Eye)劇場鑑賞 - Stantsiya_Iriya

「若葉のころ」(原題:5月一号)"First of May"劇場鑑賞(台湾巨匠傑作選二〇一九~恋する台湾~) - Stantsiya_Iriya

その次が日本。日本ホワウェイの社員サンが、上海にちょっと留学しただけで、中国語はちょっとだけ、と謙遜しつつ、竹内さんが落ち込むくらい流暢な普通話を立て板に水で滔々としゃべるのですが、逆に、この人、日本語しゃべるときに、ちょいちょい助詞が抜けます。ので、日本名の人ではあるのですが、もともと家庭環境などで漢語の素養があった人で、それをスタンダードなものにブラッシュアップor学位取得のために上海行ってたんじゃいかなと思いました。助詞が抜ける日本語をそれと気づかせずしゃべるのは日本語ペラペラ白人サンのお家芸ですが、ほかの民族でもそれをする人はむろんいる。

この調子でエクアドルグアテマラ(!)タンザニアギニアガンビアパキスタンカタールUAEと感想を書き連ね、かつ登場する中国人についた字幕の日本語読みカナ表記などにも突っ込みたいのですが、もう寝ないと明日にさしつかえるので、以下後報で寝ます。

【後報】

いつまで経っても後報が書けないので、世界各地をブツ切りに数回に分けて感想を書くことにします。

(2023/6/21)

*1:

www.businessinsider.jp

もちろん竹内亮サンのこの作品では、日本企業が設計したことなど1㍉も触れられていません。