『午前零時の男 他三編』(盛林堂ミステリアス文庫)読了

午前零時の男 他三編 - 書肆盛林堂

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(1) なぜかその辺にあった本。外見はまったく普通の文庫本なのですが、ISBNがなく、限定二百部と奥付にあり、価格は税抜税込の表示がない。なんじゃこりゃと思って読みました。西荻古書店が2012年の師走から、古今東西のマニアックな幻想小説怪奇小説、探偵文学、推理文学から、ちょぼちょぼ出版していこうというシリーズだそうです。ウェブの注釈みると価格は税込。

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はてなダイアリーを書かれている古書店でしたので、最初の刊行物刊行時の青雲の志が読めましたが、はてなブログには移行してないようで、FC2ブログのホームページやツイッターなどになるのかな? 分からないです。

(2) 作者は生島治郎の冒険小説の主人公みたいな名前の人ですが、ほかにもいろんな名前で執筆活動をしていた人で、その中で、無国籍冒険ハードボイルドみたいなのを書く時の名前がコレだったとか。巻末に古書店主?が「あとがきにかえて」という文章でその辺書いていて、さらに検索で下記も見つけました。

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(3) 表紙デザイン 小山力也(乾坤グラフィックス)あとがきや奥付に協力者の「善渡爾宗衛」という人が出て来るのですが、誰だか検索しても分かりません。なんだろうあやしげとか、そんな世界の人なのでしょうか。初出は、共栄社という出版社の「探偵倶楽部 耽奇ミステリーよみもの」昭和三三年十月、十一月、三四年一月、二月号。インターネットのヒュージなナレッジの蓄積は、こっちには効力を発揮しました。いろかわたけだいが編集してたんだ~(棒

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(4) 無国籍ものといいつつ四篇ぜんぶチャイナ関係で、最初がマカオ、次が横浜の台湾独立運動(=反革命運動と書いてあるのですが、意味が分かりません。台独は革命だろうに)次は香港ですが蒋總統の使者も出てきます。その次はまた横浜中華街。当時国交のなかった中共は出ません。主人公は一貫して日本人で、出て来るいい女も何となく日本人です。ハードボイルドの内容は、アメリカのペーパーバックのマッチョをそのまま写した感じ。台独が突然出て来る以外、はっと思う個所はなかったです。最初のマカオの話で、あっけなく見つかった財宝が実は…というフェイクなりひねりがあれば、もっと考えて読んだと思うのですが、考える必要はどこにもなかった。

(5) しかし、午前零時ってタイトルの文学作品、異様に多いですね。検索してのけぞった。

午前零時の男と女―五木寛之対話集2 (角川文庫) | ダ・ヴィンチニュース

午前零時の出獄 | 映画 | 日活

午前零時の自動車評論 14

(6) 世の中にはいろんな本があると改めて思いました。デジタル時代で紙の出版も大幅に敷居が。以上