『風水ペット (2) 』"Feng Shui Pet"(ビッグコミックススペシャル)読了

 九月三十日発売で、発売当日に買ったので消費税8%です。

風水ペット (2) (ビッグコミックススペシャル)

風水ペット (2) (ビッグコミックススペシャル)

 

 デザイン・装幀:柳谷志有(nist)連載担当及び単行本編集:平井まみ 

初出はビッグコミックオリジナル増刊号2018年5月から2019年7月まで。

奥付のレイアウトが多少適当で、初出と印刷所が「のど」すぎるというか、本の背の部分に綴じ込まれてかけていて、読みづらいです。

 下は帯です。左が切れましたが、あまり考えてないかった。背の狗はアイヌ犬だとか。

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世界経済+風水+動物=超絶大人ファンタジー!! ニッポンの山里に唸る金脈、吠える人!世界経済は、ペットが握る! ニッポンの原風景は花輪和一

編集が、奥付だけでなく、内容も匙投げてるのだろうか、頁186の豚コレラの説明間違ってないかと疑いましたが、私のほうが間違ってました。人間が食べたら発熱食欲減退下痢便秘結膜炎を引き起こすのか。

豚コレラ - Wikipedia

コレラは、症状として、発熱し食欲減退、急性結膜炎を起こす。初期に便秘になったのち下痢に移行する傾向が見られる。全身リンパ節や各臓器の充出血、点状出血などが認められる。

⇒しかし、NHKでさかんに、ヒトに影響ないと言ってるので、再度検索しました。

豚コレラについて:農林水産省

仮に豚コレラにかかった豚の肉や内臓を食べても人体に影響はありません。また、感染豚の肉が市場に出回ることはありません。

本書は装幀が凝ってるのでページ数がななめに振られています。

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頁62に出てくる『隻手の音なき声』は読んでみます。筑摩書房から今世紀翻訳された本なのに、近隣の図書館に在庫ナシ。

筑摩書房 隻手の音なき声 ─ドイツ人女性の参禅記 / リース・グレーニング 著, 上田 真而子 著

前半はほぼ日本の職業革命家でマオイストの大堂さんの物語です。ネトウヨの人が揶揄うサヨクのイメージを体現した人物なのですが、思想面での肉付けが甘くて、マルクスレーニントロツキーをほっぽって毛沢東のみ連呼って、そんなサヨク日本にいるかなあという。一巻を読んで、ゴチエイがすくなからず投影されてるのかとも思いましたが、ガンで余命半年と宣告された71歳で、しかし死因はおそらく活動資金絡みで粛清です。その享年で、狩撫麻礼も反映されてたらおもろいな興味深いなと思いました。花輪和一は学歴コンプがあるのかルサンチマンなのか、笑われるサヨクを描こうとして、自身の知識の限界に突き当たってもがいてる気がします。ぜんぶ石平からコピれば楽だと思いますが、ネトウヨ業界もカンパというパイを確保するため足の引っ張り合いくらいはしてそうなので、迂闊にロジックの完コピは出来ないのでしょう。黒金ヒロシのニッポンポンなら鷹揚にネタ使いまわさせてくれそうですし、同じ小学館だから大丈夫な気もします。

頁43で、大堂さんの高血圧は上が179とあり、そんなに高くないじゃんと思いました。

大堂さんが地上に残留思念を残しつつ死ぬと、主人公がなんでんかんでん反日」になります。意味分からない。実は作者反日が好きなんだろうか。タイトルの風水は共産体制の中国では信用出来ないものになっており、真の風水を受け継いでいるのは日本と台湾だけというのが本書の主張で、作者の理想の完璧な母親像がひょっとしたら投影されているかもしれない風水師は、「日式」風水を創設しますが、「日式」という言葉自体が日本語の文脈から出てくる言葉でないと思います。でも「和風」だとサマにならないのだろうか。振興正宗風水などとやられると、韓国朝鮮の小中華思想のようにしか見えないです。『刑務所の前』では母親との相克が語られていますが、本作ではそうした女性は理想のネトウヨリーダーに昇華されています。本棚には『全滅一帯一路』などの書名が。

頁94

 中国の交通事故多発地帯の竜脈に、東京九段のあのお社の玉砂利一粒埋めるだけで、事故はピタリと止むから不思議よのう。

 本書はほっとんど半島は出ません。頁16のセリフでひとこと触れられているだけ。

頁102など、時おり登場する「ふぁんびんび~ん」する、という言い回しは最近のネットスラングでしょうか。周囲への連絡なしに当局に長期拘留される事象とはまったく関係ない使用法です。風水スポットを感じる心、的な意味合い。

范冰冰 - Wikipedia

頁166などの、「←今ココ」というネットスラングは、理解出来ます。頁179の単語は、かなり分かりません。「パナマ文書」あったあったそんな事件、くらいです。李国強の名前もヘーって感じ。頁178、”小日本”と”日本鬼子”を組み合わせて"小日本鬼子"という新語を創出せんでもエエと思いました。"战"の簡体字は出せるが、美国でなく米国と書くなども、あれって感じ。

<目次>

第9話 曜変天目

第10話  反日田んぼ

第11話 忠犬海太

第12話 日式風水あきづ流

第13話 殷代山線石開放

第14話 満州霊宝

第15話 反解放的狸汁

第16話 注連縄紫禁城

baike.baidu.com

ジサクジエンという言葉がありますが、この漫画は、作者の、こころの内なるサヨクとの戦いの記録なのでしょうか。さくらももこも、自分がキャラの名前を借りた一律ガロ系作家たちが、エビスさんもそうですが、その後どういう人生を歩んだか見て、アタマクラクラしたと思います。以上