『波よ聞いてくれ (12) 』"Wave, Listen to me." vol.12 Samura Hiroaki Presents 沙村広明(アフタヌーンKC)AFTERNOON KC 読了

灼熱の梅雨明けに合掌造り(ちがう。松前藩豪農?)が雪祭りでジェンカな新刊発売。cover design : tadashi hisamochi (hive&co.ltd) アフタヌーン2024年1月号から3月号、5月号から8月号、11月号から2025年3月号掲載。あとがきによると作者はこの間一週間ほど入院していたとか。かき揚げの喰い過ぎで胃がもたれたわけではないと思います。入ってた広告はアニメ「出禁のモグラ」「CITY」アニメ化「ふたりソロキャンプ」ドラマに続きアニメ「矢野くんの普通の日々」実写&アニメ「忍者と極道」アニメ、からかい上手の高木さんの作者が打たれたという侵略!イカ娘の作者の新刊と、押見修造サンが絶賛する『澱の中』①巻、『到達のアクタ』『伍と碁』『妹は知っている』『社長と酒と星』*1

カバー(部分)

よく待たせる漢おとこ沙村広明 無上の最新刊

帯。「広明」って一発変換されないですよね。前に書くのが「佐村」でなく「沙村」なんだから流石にAIが反応しそうなもんですが、「弘明」や「宏明」「浩明」のほうが永遠に先に出る。

各人の進む道が交差しては乱反射を重ね 自分にとって一番居心地のいい場所って何だろうって… たまに考えるんですけど………… 別に 自分が有名になってるとかの世界線じゃないんですよね 世界線…………って何? 私がずっと身を置いていたい場所は えもいわれぬ結末へ物語は揺れつつ進む

帯裏 上のカバー裏の影法師たちは、つげ義春『外のふくらみ』へのオマージュじゃないです。

外のふくらみ - Wikipedia

カバー(部分)と頁75。後者は有名な詩だそうで、ウィキペディアもありました。

pity this busy monster, manunkind - Wikipedia

前者はAIがまったく使えず、どこのロゴかさっぱりでした。

これで合ってるんでしょうか。

松村組 - Wikipedia

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/b/b6/MatumuraLOGO1.pngまた、松村組のロゴや、韓国のスキンケアブランド「SAM'U(サミュ)」ロゴ説も出ました。AIアタマオカシイ。

主人公が二十代の皮をかぶった四十代五十代というのは既に読者の大半に共有されてる認識だと思いますが(ファーストガソダムのブライト・ノア19歳のようなもの)この巻はあまり主人公は活躍しません。正直、読者が作者ならこう来ると思ってる展開のパターン破り(©富野由悠季)をやってるというか、時代の要請でその路線が描けないか、どっちかだと思いました。中盤は和装の麗人の自分史なのですが、まったくバンコランとマライヒみたいな話は出ません。『音やん』に出てくる和装の麗人(女性。有閑倶楽部の白鹿野梨子がBBAになったような感じ)でもないし、下記のような話でもないし。

stantsiya-iriya.hatenablog.com

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

北海道ということで、カルーセル麻紀の自伝みたいな話(下記の近況では、日ハム時代の大谷翔平サンに夢中)になるかというと、それもない。

stantsiya-iriya.hatenablog.com

左はカバー折。石畳編みで作ったマイク。頁20。頁79にラジオライフが出るんですが、ラジオライフって、ラジオの雑誌ではなかったような。自販機から小銭を盗む仕掛けとかそういうのがいっぱい載ってたアブナイ雑誌だったような気がします。昔はそういうライフハック(意味ちがうかな)が大目に見られていたというか、赤電話で常時コインが入ってる状態のように擬装して電話カケホーダイとか(在日イスラエル人がやってたので注意しようとしたが逃げられた)米国の小説でも須賀田サンは長距離電話をすべてタダになるよう知り合いのハッカーに電話会社の通信システムをいじってもらってますし、そういう話で、ぜんぜんラジオじゃないと思う。座間の某農地ではそこからペットボトルのロケット弾が座間キャンプに向けて発射された(無人の時限装置)ので、今でも毎日定期的にパトカーが巡回に来ますが、そういう雑誌だったと思う。いやそれは言い過ぎかな?⇒と思ったら今でも続いてる雑誌でした。撤回します。そういう雑誌じゃアリマセン!!! たぶん。

www.kanaloco.jp

ラジオライフ - Wikipedia

頁109に出てくる吉田日出子「もっと泣いてよフラッパー」は知らないので検索しました。

www.youtube.com

左は中表紙。毎回反転してたかどうか覚えてません。この漫画は読み終わるとブッコフに売ってるので。断捨離。それだから和服の人物の記憶がアイマイなんだろうな。どうもよく覚えてません。

頁151の木漏れ日の扉絵はいいと思いました。そりゃプロだから木漏れ日くらい描けるんでしょうけれど、頁101みたいな扉絵のが得意な人だと思っていたので。

それでなんていうか、後半の下宿ネタはさらに???で、若き日の官能小説家が姉妹の家に下宿とか、どう考えてもそっち方面にしか行かないだろうと思うんですが、行かないです。ポルノ小説でなくても、誰のなんという小説だったかな、忘れましたが、書生が次々と姉妹を毒牙にかける小説を以前読み、自殺した娘もいればその男と新婚生活スタートしあわせいっぱいの娘もいて、最後に手籠めにされた末娘(雷鳴の夜)が、毎日姉の新居の周りを自転車に乗ってあてつけがましく走り回る、というオチがすごく秀逸だった記憶があります。別にそういうストーリーにしてほしいわけではありませんが、あえてウラを狙ったのか、あるいは時代の要請があって、もうそういうストーリーをバンバン書く時代じゃないのか、どっちか指向性があったら知りたいです。

ウグイス色ってウグイス餡みたいな色? それともJIS規格のほう? あ…… JIS規格のほう…… このページのインクみたいな色です やめなさいよそういう表現 壁は真っ白でミモザなんかを飾って…… 床はパキッとしたウグイス色… そんなお店にしたいですねー……

カバーをとった表紙と裏表紙。私はこういう店は「ラウンジ」だと思ってるんですが、北海道では「ニュークラ」と呼ぶのかな。行ってみたいなあ、また。いや、行かない。

以上

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