ビッグコミック2020年6月増刊号掲載(諸星大二郎劇場19 Morohoshi Daijiro Theater Vol.19)『星童シントン』読了

朝、ラジオ体操のついでに買おうと思ったのですが、その時行ったコンビニには置いてなくて、昼前にホームセンターに行って浮草を買ったついでに隣のコンビニで買いました。ホームセンターにはほんとうは霧吹きを買いに行ったのですが、なかったです。こうなるともうどこに行くか。

表紙の煽り文句

美しい少年と、その少年にそっくりな人形。

私は彼らを手放せない。たとえどの様な代償を払うことになっても—— 

 第一頁、柱の煽り文句

なまずん / 少年に抱いた愛情と、人形に感ずる恐怖心。相反する二つの感情が、次第に私の心を侵していく—— 

 最後の頁、柱の煽り文句

なまずん / 箱に閉じ込め、愛で、壊れるまで手放さない。本当に人形だったのは星童シントンか、月童ユエトンか、それとも私か…

 この煽り文句だけ読むとミスリードになるので、ネタバレとは無縁です。劇場16,17の『月童』前後編の続編で、かなり露わな性交渉の場面もあります。諸星大二郎読者の大事なパートを占め、mixiコミュを構成していた、妙齢のご婦人たちは(渋谷のタワレコでも強くそれを感じた)彼の描く少年にアンテナが反応してますので、今回、こんな直球でインカ帝国という気もします。というか、最初に読んだ時は、性と鴉片に溺れてすっからかんなだけじゃんと思い、作品のこわさに気づきませんでした。『昨日何食べた?』のジルベールが、昔美少年、今ナルちゃんなだけのオッサン、なのから推して知るべしな展開。

それと、小島毅先生も、こないだ読んだ『父が子に語る日本史』で、科挙に関してのワンアンドオンリーの名著と称していた宮崎市定科挙』の写真や説明を思い出そうと一生懸命になってしまいますので、それもあって、ストーリーのカラクリに気づくのが遅れます。郷試殿試会試だっけ?とか、無断で試験放棄すると何回受験資格を剥奪されるのか? とか、親の喪に服する間受験出来ないのは何年か? など。

最初に読んだ時は、ので、これで終わりなわけがない、新中国まで話は続いて、最後は習近平かトランプが少年たちをゲットして溺れるのではないか、とも思ったのですが、次に読んだ時は、そんなこたーない、これで終わりだろ、と思いました。

そんな話です。しかしアヘンパイプをくわえた絵というのは、口尺というより、恵方巻というか、快楽より苦痛のような顔にも見えるので、胃カメラにも見えるというか、面白いもんだと思いました。寝ながらくわえるので余計胃カメラに見える。あと、頁294の女装した少年の絵。じっさいこういう遊びが多かったという資料を読んだのでしょうか。そうでないと、ぱっとこういう絵は描けないので、あいかわらず構想をよく練って描く人だと思いました。

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<以下ほかのまんがの感想>

表紙は安田顕小学館のマンガが原作のドラマの、主人公ではない役柄で、メールで交わした「インタビュー」も併録。文章、書き言葉でキャッチボールすると、どうしても体言止めのぶっきらぼうさや、固くなったりする部分が出そうに思いますが、うまいことそうは見えないように構成されています。編集が汗をかいたか、プロダクション側に気の利く人がいるのか(本人含む)

高橋ツトムの新連載。ギターは、『BECK』であれこれ登場してもさっぱり分かりませんでした。"STONES"というラベルの洋酒が出るので、最初、ウイスキーかと思ってウイスキーとアンド検索したのですが、ウイスキーストーンというグラスに入れる石しか出ず、ラムでも出ないので、あきらめかけた時に、ふと「ストーンズ 洋酒」で検索したら、このラベルの、イギリスのジンジャーワインがぱっと出ました。直輸入もあれば、サントリー(!)が日本販売してるのもある。生姜を入れて販売されるボトルワインなんてものがあること自体知りませんでした。ラベルの紋章の由来(ロンドン市の紋章だとか。1740年からの銘柄)や、オックスフォードの学生に愛されてるとか(じゃーケンブリッジ飛鳥は)ウイスキーと割って飲むカクテルなどがアマゾンの商品説明でも出ました。度数13.5%。さすが小学館。ラベル銘記は必ずリターンを狙える大手販売元? でもこれをタンブラーで飲むのかという。そして、さらにこの、度数が高くないので食前酒食後酒どうのこうのと商品説明にある混合ワインをストレートで開けて寝落ちするのかという。

藤子不二雄Ⓐのエッセーは、多くのはてなブログの意見と同様の、自粛生活のストレスなど。コンボのサイバラが意味不明でした。アメリカで12月から大流行で死者多数のインフルは実はコロナだったんじゃ…というつぶやきへの世間の反応を諧謔的に書いてるのかどうか。この人の描くかっちゃんとリアルかっちゃんのギャップは変わらず。それだけで愛だと思う。

次に経済学のコラムで、コロナ関連のクラウドファンディングに警鐘を鳴らしてました。あすか。ここまでピンポイントで、クラウドファンディングに、あやしげなものが混ざりこんでそれを排除出来ない現状を「コロナで」書くとは、相当怒ってるなと。

岩谷テンホーはコロナネタ連発。本誌の山科けいすけといい、四コマは反応が早い。

ギャラリーフェイクと、ゴーダ機械仕掛けの愛は、どちらも中国もの。へーという感じです。あれ、オークションに出していいレベルなのか、世紀の新発見ではないかと。でも出どころが不明だと、やっぱオークションか。

病室で念仏は、前回から続きがちょっとあって、臓器泥棒ってなんだっけ? と思いました。延命拒否はコロナ対応のスウェーデン方式のキモなので、拒否で描ききれないかとも思いました。

『愚モニュ』伊図透という作品がウェブの公式に見えますが、オチたみたいで、ゾンビまんがの人の、団地ともおというか浦安鉄筋家族というか、みたいな作品が載ってました。元気な子どもの話はそれだけでいいので、ゾンビよりこっちを読みたいです。でも出前の食べ物を勝手にぜんぶ食べて、配達しないのは流石におかしい。注文客からの未着クレームがなくて店が気づかないのもへんかな。

ビッグコミック増刊号 | ビッグコミックBROS.NET(ビッグコミックブロス)|小学館

落とした人も面白い漫画家のように見えますが、知りません。

ゾンビとかそういうシチュエーションSFの世界に現実がなってるので、そこに関しては特になし。ドラマでパニックに陥るタイプが現実にいると分かる。個人的に思うのですが、今日は左手だけを使って生活してみようとか、そういうことをひそかにやってる人は、この生活ふつうに出来ると思う。カラオケはアニソンしばりやアイドルしばりがあったほうが燃えるとか、そういう人。解除後の燃え尽き抜け殻現象もありそうで、「コロナロス」という言葉を考えましたが、絶対に放送コード的に使われないと断言します。ハッシュタグになっても、炎上半分だろうな。

刀剣まんがは、蕨手刀という、古墳時代、否、鎌倉幕府前夜の東国の刀。研げてしまう。碑文は書かれていません。

次の四コマは、あいかわらず情報量が多くてごちゃごちゃしてますが、今さら芸風は変えられない。

飛行艇まんがは、試験飛行でいろいろ試してその場で想定外の欠陥が毎回見つかるのですが、墜落しないようベテラン操縦士が神経使う場面がリアルです。喫煙とか。

剣豪まんがの、薩摩示現流開祖は知りませんでした。

美大まんが、舞台が京都だったのをたぶん私は忘れてます。イケズが出ないから。

b.hatena.ne.jp

中古レコード屋まんが、私が引き継いだ真空管ステレオ(もう十年以上鳴らしてないので、音が出るか不明)は売れないか教えてほしいです。それだけ。弁護士供給過剰がこのまんがの背景にもあったとは知りませんでした。

ゴルゴアーカイブは、2001年7月に脚本協力/氷室勲で描かれた「クランプタワー」のクランプさんの話。劇場貸切ひとり鑑賞は、社会的距離も保てて安全ですし、サイバラ夫ほかにもやってもらったら、野田秀樹も悦ぶと思います。現実はもうロシア人嫁ビアンカサンがいたと思いますが、まんがではオフィスで「あ、ああ~~っ!!」「おおお~~っ!!」とかやっています。さいとう・たかをの喘ぎ声は、庶民がAVに毒される前、さらに日活ロマンポルノとかとも無縁の、洋物無修正ばっかり見れた人の感覚だと思います。サウスパークのカートマンのママ(ドイツ人)を思い出す。

以上