月刊たくさんのふしぎ2016年3月号(第372号)『家いえをせおって歩あるく』"Carrying a House on My Back and Walking Around"

これもビッグコミックオリジナル『前科者』に出てくる本。出てくるのは2022年1月20日発売号。

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たぶんまんがのキャラが読んでいたのは2019年のかんぜん版だと思うのですが、私が借りたのは2016年の月刊たくさんのふしぎ3月号。

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amazonの内容紹介によると、差分は下記。

『家をせおって歩く かんぜん版』は、月刊「たくさんのふしぎ」2016年3月号の『家をせおって歩く』を増補改訂したものです。月刊誌では、白い家との生活のはじめの1年間を描きましたが、『家をせおって歩く かんぜん版』では、8ページ増え、その後の生活、そして韓国やスウェーデンでの生活を紹介しています。

表紙タイトル文字、本文見出し文字 大原大次郎 本人撮影以外の写真 市川タカヒロ デザイン 飯田将平 巻末に「自分で作る ちいさな 村上さんの家」という厚紙シートがついてます。これのデザインは坂啓典という人。たくさんのふしぎなので、ふしぎ新聞がついていて、作者のことばがあります。2年目にのぞむ感興、家は分解すれば電車内持ち込めるとひらめいたこと、家を設置したらずっとそこにいるわけでなく、空身でほかの土地へ出張し、グループ展やら打ち合わせやらしていること。全国一周とか全都道府県制覇を考えているわけではないこと。移動中の、ねぐらが定まらない不安と、無事見つかって銭湯やら睡眠やらのタスクに移行出来る時の安堵感はとほうもないこと。

次の宿泊地を予約して移動しているわけではないということみたいです。FBなどSNSを駆使しているので、見知らぬ人からお誘いを受けることもあるようですが、それをスケジューリングして効率的に移動することはしなかったようです。旅立ち当初は、ご本人も書いているように、片雲の風にさそわれて、気もそぞろに、次へ次へとせわしなく移動していたようですが、悪天候の足止めもありますし(強風に弱い)だんだん泰然自若のゆうゆう移動になったようです。家を置いた180の土地を見ると、クリスマスから一ヶ月、まるまる大分市に家を置いてます。家を獅子舞にみたてて、お正月のかどつけをして歩いても、民家の人に意味が通じないのかもしれない。あるいはさしこが好きだったから大分なのかも。冬は越冬がたいへんで、大分でも湯布院などは雪が降るので、ロマンティックではないだろうなと思いましたが、そっちには行かず、プロ野球がキャンプする宮崎へ抜けています。

地図を見ると、最北が岩手、関西からフェリーで九州の大分と宮崎に行ってるだけ、新潟長野北陸から、天狗党の道でもとおって滋賀に行った、そんな感じで、神奈川県には来てません。

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ご本人の垢による動画。いろんな人が撮った動画を、ひとつひとつその人に連絡とって許可とって、つなぎあわせて編集したみたいです。小熊英二首相官邸の前で」作戦*1。なんで自治体の道路管理車両とすれちがうところを見出しにしてるんだろう。動画で見ると、家のあかりとりの部分の格子が目だしになっていて、虚無僧みたいな感じにうまいこと顔が外から見えないんだなと分かります。

勝手に国有地等に野宿はしないようにして、必ず土地の所有者に許可をとって、家を設置しています。横になると、寝袋ごと足を家の外に出さないと寝れないので、雨のさいは、軒先などでないと、シートで被うにしても、濡れてつらそうです。でも本人の感想では、虫や、道路の車両の騒音などに悩まされたそうです。まったく無人の野に宿泊するという選択肢がないのは、ある程度セキュリティも考えた結果なのでしょう。家を置いたら、食料の買い出しや銭湯、その他もろもろに出掛けて、防犯リスクもあるので。

食事のページでは、別府の、朝見汁と呼ばれる豚汁と、金沢の、薄焼きと呼ばれる、ご飯をコロッケ型にして卵や小麦粉をつけて焼いて、はちみつをつけて食べる料理にひかれました。が、どちらも🔍検索でめぼしい結果が出ず。後者は、はちみつをつけなければ、ラオス料理店のカオチーという料理に似てると思いました。

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カオチー。まあ、オヤツです。たぶん。

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カオチー拡大

SNS更新や仕事も兼ねて、スマホとマックブックエアーも常時携帯なので、その充電も必要。長野県や新潟県では、キャンプ場やオートキャンプ場の写真もあるのですが、グランピングしてるような感じかどうかは分かりません。インバウンド時代のだいぶ前、徴兵終わったイスラエル人がタイのヤワラーでアクセサリー買って日本で夜屋台で売って、社会に出る前のさいごの自由期間を満喫するライフスタイルをしてた頃、ヒッチでキャンプ場行って、ちょうしよく人のリーオゴでタダメシただ酒享受して、歌ってギターひいてふいんきモリアゲ係でチャラみたいな話を聞きましたが、作者はそういうことはしなかったのか、しても絵本には書いてないみたいです。ちゃんとした本も書いて、北村薫の名前が関連で出たり、武田砂鉄が評を書いたりしてるので、そっちも読むと、もっといろいろあるかもしれません。

中には神棚もあるそうですが、カマボコ板のような気もします。「棚」なのか。かまどの神様の、火のおふだと、盗難除けもあるといいのかも。

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総工費二万円くらいで、発泡スチロールなので、けっこう断熱性にすぐれているそうです。夏はちっちゃなファンくらいついてるのかなとも思いました。そういう想像力を喚起する力があります。ご結婚されて、もうこういう家には住んでないみたいで、別のプロジェクトをどんどんやっておられるみたいです。以上