アンソロジー五番打者。村上さまのあとの吉田選手が片っぱしからゲームをフォローしまくったようには行かなかったようです。
韓国版宣伝動画では、ただ街路が流れるだけで、本人が映ってないなと思うだけ。
アジアの9都市、9名の作家が参加する奇跡のアンソロジー『絶縁』を刊行! - YouTube
日本版を見ると、いきなり「この本が出る頃、私は今台北にいます」と言うので、ついにエクソダスかと思いました。コロナカの香港で起こった、激烈なあの法改正等への抗議デモの熱心な支持者で、それにまつわる著書もあるということでしたので。その後、動画を見続けると、「旅行で気がまぎれる」みたいなこと言ってるので、まだ香港から脱出したわけではないんだろうなと思いました。
版元の紹介文
都市に走った亀裂、浸透する秘密警察、押し黙る人びと。
ハンリージューでなく、ホンライチューデスヨという。
SNS時代の光と影というか、漢人はセルフプロデュースに昔から熱心でしたから(写真館で自分の写真をきれいに撮ってもらう習慣が、90年代からありましたよね)画像はいろいろ出ます。
お話としては、物議を醸した香港映画「十年」に、これは観念的なので、入れるとほかのレベルにそぐわないのではと思った、『冬のセミ』原題《冬蟬》"Season of the End"という話があるのですが、それを思い出しました。ちょっと強迫観念というか、抽象的な感情過多だった。
stantsiya-iriya.hatenablog.com
なので、香港を脱出して台北に拠点を移したのかと誤解した時にも、そうだよなあ、それでよかったんだよ、なんて勝手に思ってしまいました。
<寄せ書きの文句>
每個人都是一座孤島.
唯有對自身的孤獨有透徹的覺悟.
孤獨才能成為細線.把我們扭連.韓麗珠
これがなかなか読めなくて、邦訳が練れてない直訳調だったので、それでナゾが解けてよかったです。
邦訳(動画に出ます)
誰もが皆それぞれに一つの孤島。
己の孤独に透徹した覚悟を持ってはじめて、
孤独は細い糸となり、わたしたちを結びつける。韓麗珠
「透徹」と「覚悟」が、なかなか読めませんでした。直訳ナイス。で、たぶん私なら、一行目は「私たちはひとりひとりが孤島なんです」と訳して、「島の量詞は「一人」じゃないですよっ!「一つ」ですっ!人間じゃないんだからっ!」「擬人化した文章でしょう?ならアリだと思うんです(ネイティヴの傲りから一歩も退かない)」みたく、どうでもいいところで青筋立ててやりあうんだろうな、と思いました。「結びつける」は、直訳すると「よじりあわせる」だと思うんですが、それだと品がなくなるのは認めます。
以上
昨年秋にチベット文学の新作がないか検索した時、ラシャムジャの新作収録で出た本。12月の刊行直後に買ったのですが、春まで寝かせてました。一作ずつ感想を書きます。
装画=趙文欣 装丁=川名潤
オーディオブック同時発売とのこと。
日韓同時発売とのことで、韓国版は、さいごにチョン・セランと村田紗耶香の対談が入ってます。表紙のイラストや掲載のじゅんばんはいっしょですが、作家の帰属表記について、日本語版は日和ってると言うか、上海で中国ビジネスを営む小学館的に苦しいんだろうなあという書き方で、ウェブには個人名しか載せてません。対して韓国は直球。例:「라샴자(티베트)─구덩이 속에는 설련화가 피어 있다」
表紙のイラストを描いた人は上海在住。ではなく、今は多摩美に学んでるそうですが、今後どうされるのか。
巻末の、小学館編集部:柏原航輔サン、加古淑サンの弁によると、本アンソロジーの、どの国のどの作家に依頼するかの選定作業には、韓国文学の邦訳などを行っている出版社クオンの金承福サンと伊藤明恵サンが関わり、実際の契約交渉は、イギリスの出版社でそうした業務に従事していたパルミェーリ・ターニャサンというエージェントが大活躍したそうです。
絶縁というテーマは言い出しっぺのチョン・セランサンが出したものだそうです。
【後報】
下がレンガの「糸」は、日本のIMEでは自動修正されてしまうので、繁体字の絶縁が表示出来ないです。残念閔子騫。
(2023/5/24)
【後報】
及川茜訳。
ハングル版は、日本語版をホン・ウンジュというイファ女子大仏文出で日本在住の翻訳者がハングル訳したとか。
下がホン・ウンジュサンの紹介箇所。
下が翻訳スキーム紹介箇所。
『절연』의 작업은 각기 다른 언어를 사용하는 9명의 작가들의 작품을 각 언어를 전공한 일본의 7명의 번역가가 번역하고 그것을 도쿄에 거주하는 홍은주 번역가가 다시 한글로 옮기는 방식으로 이루어졌다. 편집 과정에서 의문점이 발견되면 일본의 편집자와 해당 언어의 번역자를 거쳐 저자에게 전달되고, 피드백이 역순으로 되돌아오면 다시 홍은주 번역가와 문학동네 편집부가 논의하는 식이었다. 쇼가쿠칸의 편집자와 문학동네의 편집자가 각기 국내문학을 담당하고 있어 서로 한국어와 일본어에 능숙하지 않았는데, 이때 동원된 것이 웹 번역기였다. 한국의 편집자는 한국어로, 일본의 편집자는 일본어로 쓴 수십 통의 메일로 의견을 주고받았다. 각국 작가들은 직접 촬영한 영상으로 인사를 보내왔다. 팬데믹 이후 동시적인 소통을 위해 급속도로 발달한 기술들이 활용되었으니, 『절연』의 작업은 말 그대로 이전 시대와 결별하는 일이었던 셈이다.
표지 그림은 상하이에서 활동하는 일러스트레이터 자오원신Zhao Wenxin의 작품이다. 같은 그림을 일본과 한국의 디자이너가 각국의 정서에 맞게 재해석해 디자인한 것도 눈여겨볼 만하다. 이번에 한국과 일본에서 동시 출간된 『절연』은 추후 작품집에 참여한 다른 나라에서도 번역되어 출간될 예정이다.(グーグル翻訳)
(2023/5/30)