- 作者: 開高健,吉行淳之介
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頁22
……。ハマグリの生ジュースにウオツカを入れて飲むのもある。うまいの、これが。
吉行 うまそうだね。
開高 おれもやってみたけど、これはほんとうにおいしい。
吉行 いいハマグリならね。それはどこのもの?
開高 アメリカですよ。海岸の近くね。
吉行 名前知っている?
開高 ブラドレス・マリーと言うんじゃないか。“血抜きのマリー”というやつね。それで「あんた、なに飲んでるの!」とこうミウーラ夫人がお聞きになると、サイモンはすかさず、ぼく、クラムチャウダー飲んでるんだよと。
ここで揶揄されてるミウーラさんはこの人。
http://www.ikuhosha.co.jp/public/introduction06468.html
揶揄したほうは享年七十、享年五十九で逝去。揶揄されたほうはまだご健勝。
頁55
吉行 人はなぜ酒を語るかということの答えとして……。開高さんに言われて、あらゆる国の二日酔いの治し方というアンケート出したでしょ。そしたらインドネシアからの答えが面白い。インドネシア政府観光局の日本人の答えと、それからインドネシア人の答えと二種類あって、これが実に愉快なんでね。日本人の答えは、「回教国なので飲酒はポピュラーじゃない。宗教的に許されていない。都会のレストランやホテルなどは例外だが……。」ところがインドネシア人の答えは「人間が酒が好きだという先入観そのものを反省しろ」と。
開高 なるほど。
吉行 それでインドネシア人は、酒がなくても歌とか踊りで愉快に暮しておると。これは実に面白かったね。いろんな意味で。
そもそも酔っての対談だから、あっちこっちに話が飛んでしまうんですね。
編集がコントロールしてるわけでもないようですし。
1981年の対談ですが、当時テープがなかったわけでもないでしょうが、
速記者を列席させて、酩酊会話をかたっぱしから筆記してたようです。
頁78に、アメリカ旅行でシニア割引に出っくわして、
それは何の目的でやっているのか論じ合う場面があります。
当時日本にはシニア割はなかったんですね。
そりゃ高齢者は退職して収入がないから割引サービスがあるんだろうと、
現在ならばぱっと分かりますが、定年のない時代だと不可思議だったのかも。
人間は死ぬ迄働くのが当たり前という時代。
二人とも鬱の時救いを酒に求めたと語る箇所がありますが、
(北杜夫が鬱&酩酊独り酒を録音し、それを遠藤周作がレコードにして、
文壇界でリスニングの機会がもたれていた、というトークの延長)
これがコレクティブなやり方でないのは、現在なら分かります。
なだ いなだも会話に登場するのですが、
二人に酒害をきちんと説明しなかったようです。
二人は、自己の経験で内科的な酒害と酒乱については認識しており、
(長部日出雄は対談によると酒乱らしい)
洋画で飲酒シーンもよく見ています。
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そんなもんですよね、酔っぱらいトークなんて。
フランス語でヒモのことを鯖を意味するマクローと呼び、
ドイツ語でもそうらしいが、どういう意味なんだ、とか、
頁99の吉行淳之介の名言、
女というものは、絶え間なく少しずつ、自分を男に向かってこぼし続けていかずにはいられない。
とか。以上です。