『禁酒法と民主主義』 (社会の科学入門シリーズ)読了

禁酒法と民主主義 (社会の科学入門シリーズ)

禁酒法と民主主義 (社会の科学入門シリーズ)

以下後報
【後報】
生類憐みの令を紹介した本と併せて、学校の教材などにして、
生徒に考えさせるシリーズとのことです。
よいと考えられることも、やり方次第でうまくいかない、という社会の勉強。

出版社のサイト
http://kasetusha.cart.fc2.com/ca27/419/p-r27-s/

だから、飛ばさず順番通りに読んでほしいし、抜き書きなどもあまりしないで、
ということわりを序文で読みました。だから引用しません。
http://ww61.tiki.ne.jp/~kinsyukaikan/kinsyukaikanhyousi.gif
岡山禁酒会館
http://ww61.tiki.ne.jp/~kinsyukaikan/index.html
http://www.okayama-kanko.jp/modules/kankouinfo/pub_kihon_detail.php?sel_id=5881&sel_data_kbn=0
アメリカの禁酒法をタイトルに掲げていますが、
日本の未成年者飲酒禁止法成立など、日本の禁酒運動の歴史(戦前)に詳しいです。
運動内部の本なら当然詳しい本があるのでしょうが、知りませんでしたので、
この本で読めてよかったです。
1873年明治6年)にすでに横浜に禁酒会があったこと、
1885(明治31年)から全国各地で禁酒会の結成がさかんになったこと、
キリスト教勢力だけでなく、本来は酒を禁じてる仏教界でも運動がさかんだったこと、
そうした運動の本には、
例えば陸軍第二師団の武勲は禁酒主義を採用した理由も大きいとか、
日本最古の禁酒の勅諭は大化二年孝徳天皇日本書紀にも載っていて、
爾来九代にわたり畏きあたりが時代時代で禁酒を宣っておられること、
などが書いてあるそうです。

で、そうした禁酒啓蒙の本は、1887年(明治20)年から1935(昭和10)年まで、
毎年一冊以上出ていたそうですが、
いつのまにかほとんど見られなくなったとあります。
酒が配給されるようになったのと、関係あるのかなあ、とぼんやり思いました。
配給のおかげでそれまで飲まなかった人が酒の味覚えたのではないかと、
山口瞳の本なんかで読んだ記憶がありますので。

最近、エヴリデイ・ドリンキングで、
アメリカ以外に帝政ロシアも禁酒施策を行っていた、
と知りましたが、この本にもそれが載っています。
革命で酒でうさをはらす必要のない社会が建設できるから、
酒不要と考えたボルシェヴィキも、
その後、密造酒蔓延の現実の前に敗北し、廉価なウォッカを専売したとか。

よい本でした。機会があればまた手に取りたい。
(2014/11/30)