『検事の死命』 (「このミス」大賞シリーズ)読了

検事の死命 (「このミス」大賞シリーズ)

検事の死命 (「このミス」大賞シリーズ)

借りたのは単行本です。

前作読書感想http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20151020/1445355641

確か、未読の第一作では、既にして、組織との相克で、ヤメ検になってるはずなので、
その主人公の検事時代の活躍と暗雲を予期させる展開、というていで読んでしまうと、
なんちゅうかそれほど爽快になれない、気の毒な短編集です。
気ままに書きますので、ネタバレを含んでるんじゃいか、と思います。
前作には腐敗刑事が出てきましたが、この巻のさいしょの話はもっとレベルの低い、
組織内不正、コソ泥の話です。ただその不正が出来るのは、
ユーザーがルール守ってないから、という箇所がそもそもあって、そこに関する、
作者なりのガイドラインというか、スジが知りたい気がしました。
山形のはなしで作者も東北人なのに、なぜ山形弁が出てこないのか前作では不思議でしたが、
本作では居酒屋のおやじがひとりで山形弁です。

ふたつ目のはなしは、正直前作でちゃんとオチている印象でしたので、
中国の失脚政治家の死後の名誉回復みたいな話だな、と思い、そういうのやっぱ大事だと、
作者も思ってるのだろうか、と思いました。

で、クライマックスの話は、たぶんツッコミどころがいろいろあって、
地方名家の婿養子がなぜそんな能力がないんだろう、よく婿に入れたな、とか、
痴漢はおとなしそうな人ほどよく狙われる(無限)と、
URL忘れましたがはてブで読んだので、ビリギャルみたいなのを常習犯が狙うだろか、
とか、拘留延長の問題点スルーとか(これも権力の濫用云々言われたりの制度のはず)、
権力には屈しないという理由で執行猶予なし実刑、を勝ち取りますが、
婿養子の加害者にも子供さんがいて、親がそないなったらいじめられるかしらん、
みたいに人権派弁護士に人情路線で攻められたら、ブレずに同じ求刑出来るんか、
と思いました。急ぎ足ッですが、空が暗くなってきて、図書館の閉館時間がありますので、
すいませんが以上。