- 作者: ロアルド・ダール,ピーターへイニング,Peter Haining,Roald Dahl,野村芳夫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2001/01
- メディア: 文庫
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『デトロイトにゆかりのない車』はここから採ったとのことで、
ヴィークル、モータリゼーションのホラーばかり集めた短編集とは珍しい、
と思って借りました。全19編。ジッサイには、ホラーばかりでもないかったです。
不思議な神秘的な話とか、狂っているのは実は人間なんだ(棒 とか。
編者はイギリスの有名なアンソロジストだそうで、
かつじっさいにカーキチだとか。訳者は訳す際、既に邦訳のあるものも、
ポリシーで読まずに訳して、その後既訳を読んだとあとがきに書いています。
野村芳夫 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8E%E6%9D%91%E8%8A%B3%E5%A4%AB
表紙カバーの折れてるとことか見て、このしとの訳業として最大の功績は、
チョンクオ風雲録をバババッと訳したことでしょう、と思いました。
私はネットの古書サイトを通じて、梅田の古書店から入手しましたが、
未読です。そんなのばっか。チョンクオは、チュンクオとカナあてたほうが、
より正確かと思うのですが、中國のウェード式アルファベット表記で、
(ピンインだと、チョングオと、濁ってまう)銀河宇宙の未来中国戦記?だったかと。
21世紀のシノワズリ垂涎の一冊…ではないですが、物好きにはいい本なのかな。
でも未読。
<収録作品と感想>
序
第一部 自動車狂−死の機械
『トラック』スティーヴン・キング
"Trucks" by Stephen King
⇒スティーヴンキングらしいホラーだと思いましたが、
私はスタンドバイミーもクジョーもイットもペットを責めたれも、
全然キング読んでないので、何故そう思ったか不明です。
原作映画はそれなりに見たから、それでそう思ったのかな。
巻頭を飾るにふさわしい、何故アメリカ人とマイケル・ベイは、
延々トランスフォーマーに固執し続けるのか? が分かる小説です。
『つちけむり』E・F・ベンスン
"The Dust Cloud" by E. F. Benson
⇒モータリゼーション初期に於ける幽霊自動車の話。
松谷みよ子編現代民話考の、狸が化けた陸蒸気とか、
自動車の話を、そう聞かされると連想する気がします。
聞かされなければ、英国ゴシックホラーやんね、としか思わない。
『二度目のチャンス』ジャック・フィニイ
"Second Chance" by Jack Finney
⇒盗まれた街も未読の私が言うのもなんですが、
デロリアンとドクがいつ出て来てもおかしくない話です。
勿論こっちが全然先ですが。頁85、日本の眠りの精、
聴いてみたい! と思ったら、英語版wikipediaで聴けました。
https://en.wikipedia.org/wiki/The_Japanese_Sandman
『中古車』H・ラッセル・ウエイクフィールド
"Used Car" by H. Russell Wakefield
⇒やり遂げることの大切さ、人間賛歌。粗大ごみのふとんは、
お亡くなりになられた方の布団だから収集所からぱくるな、など、
昔言われたことがあります。じゃあパクったのかというと以下略
『決闘』リチャード・マシスン
"Duel" by Richard Matheson
⇒あまりにも有名なスピルバーグの激突!の元ネタなのかな?
ネタバレですが、オチが健康的です。
『わたしの車に誰が坐ってたの?』アントニア・フレイザー
"Who's Been Sitting in My Car?" by Antonia Fraser
⇒つのだじろうが女性週刊誌に発表したマンガみたいな話。
『デトロイトにゆかりのない車』ジョー・R・ランズデール
"Not from Detroit" by Joe Richard Lansdale
⇒宮部みゆきのほうに感想書いたので、割愛。
第二部 高速道路での無謀運転−追い越し車線の殺人
『高速道路で絶対に停車するな』ジェフリー・アーチャー
"Never Stop on the Motorway" by Jeffrey Archer
⇒うまい! としか言いようのない佳品。こだまひびきなら、
そんな奴おれへんやろ〜と言うかもしれませんが。
『死の車』ピーター・へイニング
"The Death Car" by Peter Haining
⇒編者自身の作品。俺たちに明日はない、とか、
ボニーアンドクライド、とかを、誰もが知っている、
という言外の前提があるのですが、21世紀、果たして。
『夜間法廷』メアリー・エリザベス・カウンセルマン
"Night Court" by Mary Elizabeth Counselman
⇒松谷みよ子『茂吉のねこ』のねこのセリフ、
やんだ、おら、茂吉が好きだもの、
を思い出しました。今あらすじ見返すと、
茂吉はだらしない大酒飲みで、私は静かに目をつむります。
頁237、「鋼鉄の大梁をも溶かす目差し」分からなかったので検索しました。
大梁とは - 建築用語 Weblio辞書
http://www.weblio.jp/content/%E5%A4%A7%E6%A2%81
梁 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A2%81
『事故多発区間』ラムジー・キャンベル
"Accident Zone" by Ramsey Cambell
⇒中国の山間部にも、運ちゃんたちが、ここを通るときは、
息をとめて、エンストしないよう祈りながら、走り抜ける、
箇所があるやに聞いたことがあります。今グーグルマップで探しましたが、
高速道路の網がバカスカ出来てて、もう昔の峠道とか、分からなかったです。
『最後のレース』アラン・ディーン・フォスター
"The Last Run" by Alan Dean Foster
⇒命知らずの運転手と書いてバンザイ・ランナーと読む。とか。
『ヒッチハイカー』ロアルド・ダール
"The Hitch-Hiker" by Roald Dahl
⇒これもうまい! と思いました。
このアンソロジーには、映画化作品や、映画にヒントを与えた小説が、
ゴロゴロしてますが、さすがにこれはルトガー・ハウアーの、
ヒッチャーとは無関係かと。
『クラッシュ』J・G・バラード
"Crush" by J. G. Ballard
⇒長編の第一章を抽出とのこと。クローネンバーグが映画化して、
えらい酷評されたり、カンヌで審査員特別賞獲ったりしたとか。
映画見てません。
下記のカーセックル版と評されたそうですが、下記も見てません。
Oh! Calcutta! Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Oh!_Calcutta!
第三部 クロム・キラー−未来のオートゲドン
⇒オートゲドンとは、「車による大破局」だそうです。
『デス・レース二〇〇〇年』イブ・メルキオー
"The Racer" by Ib Melchior
⇒アンチモータリゼーション論者が極端に作った話、
として括られてしまう気もします。
『景色のよいルートで』ハーラン・エリスン
"Along the Scenic Route" by Harlan Ellison
⇒アイデアで勝利する話をアイデア作家が書く、という滋味。
エスエフが現実のものとなった数少ない実例として、
騒がれた小説だそうです。作者自身が、1969年のこの小説を、
1997年頃かなあ、OJシンプソン騒動の頃、回想した付記が、
併せて収録されています。
『異端車の火刑』ロジャー・ゼラズニイ
"Auto-da-Fé" by Roger Zelazny
⇒スペインの闘牛はなぜ牛と闘うのだろうか、
ドッグレースも、東洋の闘鶏も闘牛も闘蟋も、
みな動物同士の戦いなのに、なぜ、と思いました。
競馬は人が乗るし。
『違反』ウィリアム・F・ノーラン
"Violation" by William F. Nolan
⇒道路以外に、グリッドウェイという交通インフラがあるという、
設定になってますが、グリッドがなんなのかさっぱりでした。
送電線で人が移動できるわけもないし…
『乳のごとききみの血潮』 イアン・ワトスン
"Thy Blood Like Milk" by Ian Watson
⇒さいごの作品がジュディス・メリル好みみたいな、
なんちゅうか、ロングロングアゴーと書いて遠い未来と読む、
みたいな。全然関係ないが、つい数日前、夏休みこども電話相談室で、
ミルクの成分は血液から出来ている、赤血球のが抜けるから、
赤い色でなくなる、と、先生からの説明をラジオで聞いたばかりです。
先生、NHKでうれしそうに、JSの相談者に、おっぱいおっぱい連呼以下略
以上
【後報】
https://www.amazon.com/Death-Wheels-Peter-Haining/dp/0285635077
(2017/8/6)